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ナベツネ機関紙と 3K新聞にしてみれば、パレスチナの人達は「存在しない」らしい

2011-09-26 20:06:55 | パレスチナかイスラエルか
今月23日にパレスチナ暫定政府(PA)が国連に「独立国家」として加盟申請した騒動。
これについて、一昨日俺は『『Gaza 地区の人達やパレスチナ難民のこと、そしてパレスチナが置かれてる現状を無視して「独立国家」パレスチナの国連加盟を強行した』という批判を PA は受けなければならないのは確かだ』と書いた。
これについては以下参照(手抜き)
・What is "Independent" state of Palestine?(Sep 23, 2011)(2011年9月24日 flagburner's blog(仮))

で、昨日、ナベツネ機関紙と 3K新聞がこの騒動について論説で述べていたのだが・・・。
まずはナベツネ機関紙から。
・パレスチナ 国家樹立と和平に近道はない(2011年9月25日 YOMIURI ONLINE)

この論説では、「和平プロセス」の問題点(米国・EU・ロシア・UN がイスラエル寄り)について無視した上で、PA が「独立国家」として国連加盟をしたのを非難していた。
以下、2011年9月25日分 YOMIURI ONLINE『パレスチナ~』を全文(略

---- 以下引用 ----
パレスチナが真の独立国家の地位を得るには、イスラエルとの交渉しか道はない。交渉の早期再開こそが重要である。

 パレスチナ自治政府が23日、国連に加盟申請書を提出した。
交渉による国家樹立の道を棚上げし、国連加盟国に直接、国家としての承認を求めたものだ。
交渉の仲介役を務めてきた米国には不信任状を突きつけた形だ。

 国連加盟には、安全保障理事会による総会への加盟勧告が必要だ。
安保理は近く、パレスチナの加盟申請の扱いを協議する。

 常任理事国の米国は拒否権を行使する意向を示している。
安保理で採決する事態となれば、問題はさらにこじれる恐れがある。
米国の拒否権行使によって反米感情が高まり、中東情勢は一層不安定化するだろう。

 それを避けるためにも、イスラエル、パレスチナ双方をできるだけ早く交渉の席に着かせる道を探らなければならない。

 米、露、欧州連合(EU)、国連の4者は双方に、1か月以内に交渉の議題を決め、来年末までに妥結させる新たな行程表を示した。
その実現に、国際社会は全力を挙げる必要がある。
日本も、後押しすべきだ。

 自治政府が国家としての承認を焦るのは、中東和平プロセスが始まって20年たった今も、国家樹立の展望が開けていないからだ。

 パレスチナ側は、イスラエルとの合意で自治は獲得した。
だが、その後、国家樹立をめぐる交渉は頓挫したままだ。

 この間、パレスチナ側が将来の国家領土と考える土地では、ユダヤ人入植地が次々に建設され、イスラエル領化が進んでいる。

 自治政府はその袋小路を脱する最後の手段として、加盟申請に踏み切ったのだろう。

 しかし、オバマ米大統領が21日の国連演説で語ったように、イスラエルと自治政府の合意がなければ、パレスチナ国家の樹立も2国家の平和共存も達成できない。
そこに至る近道はない。

 自治政府側には、イスラエルの存在を認めようとしないイスラム原理主義組織ハマスが自治区の一部を支配しているという問題がある。
自治政府はまず、この足元の分裂を正すことが重要だ。

 イスラエルは、中東における自国の安全保障の要だったトルコ、エジプトとの安定的な関係を失いつつある。
これ以上の孤立化を避けるためにも、パレスチナ側が求める「入植凍結」に踏みきり、交渉を再開すべきである。
---- 引用以上 ----

上の論説における主張を簡単に書くと、「米国の面子を潰した PA が許せない」って所か。
どんだけ米国追随なんだよ・・・(呆)
まぁ、3年前のイスラエル「建国」60年に関した書いた論説で、見事なまでにイスラエル追随の姿勢を示したことを踏まえれば納得だが。
この辺は以下参照(手抜き)
・イスラエルに追随する読売新聞 (2008年5月17日 flagburner's blog(仮))

だいたい、「イスラエルと自治政府の合意がなければ、パレスチナ国家の樹立も2国家の平和共存も達成できない」って書いてるけど、実際は米国や EU などの合意がなければダメなんだよな。
そもそも、(1993年のオスロ合意以降における)「和平プロセス」自体破綻してるのに無理矢理存続させる提案をなぜ支持する?
このことが、いつまでもパレスチナの人達が置かれてる状況の改善に全くつながらないのを認識してるんだろうか?
謎だらけである。

一応、上の論説の最後の方で申し訳程度にイスラエルとパレスチナを批判してるけど、イスラエルの過去を踏まえればいかにその批判が甘いものかわかる(はず)。
それ以前に、イスラエルとパレスチナが「対等」の立場にあるわけじゃないってのを思い出す必要があるはずなのに・・・


だが、さらに酷い論説を書いてきたのが 3K新聞。
・パレスチナ申請 中東和平を阻害しないか(2011年9月25日 MSN産経ニュース)

この論説の前半は、ナベツネ機関紙とだいたい同じなので省略。
問題は、パレスチナ側の問題点について触れた後半部分。
そこを読んだ時、頭痛と腹痛が一遍に俺を襲ってきた(嘘)
以下、2011年9月25日分 MSN産経ニュース『』から後半部分を(略
読む前に、PC のデータのバックアップを取るように!(謎

---- 以下引用 ----
(中略)
独立国家を希求するパレスチナの悲願は理解できる。
米主導でまとめられた1993年のオスロ合意と翌年のカイロ協定で、パレスチナはヨルダン川西岸とガザ地区の暫定自治権を獲得した。

 その後の和平交渉が繰り返し頓挫した理由は、イスラエルがヨルダン川西岸の入植活動をやめないことにもよるが、パレスチナ側にも問題が少なくない。

 第1が内部の意思統一だ。
パレスチナ評議会(議会)は、和平交渉に反対するイスラム原理主義組織ハマスが多数を占め、アッバス議長率いる穏健派ファタハは第2勢力にすぎない。
ハマスが実効支配するガザ地区からのロケット弾攻撃が続くようでは、イスラエル側のパレスチナ不信は絶えることがない。

 第2に、現状では経済的にも「国家」として自立性に欠ける。
パレスチナは物資の多くをイスラエルからの輸入に頼り、輸出も大半がイスラエル向けだ。

 米国から年間4億7千万ドル、原油の9割を中東に依存する日本からも93年以降計11億ドル以上の支援を受けている。
和平交渉が途絶すれば、これらの支援にも支障がでることをパレスチナは深く認識すべきである。


 危機をあおる「国家」申請ではなく、時間をかけて妥協点を探る交渉でしか和平は実現しない。
---- 引用以上 ----

ここまでパレスチナの経済を支援依存にした主な責任はイスラエルによる占領政策ってのを豪快に忘れられると、俺としては恥ずかしいやら情けないやら・・・。

それ以前に、ナベツネ機関紙と 3K新聞にとってパレスチナの人達って何?って問いたくなる。
支援の対象?
米国やイスラエルに逆らう不敬の輩共?
悪逆無道のテロリスト連中?
そう問いたくなるくらいに、2紙の論説からは「実際に暮らしてるパレスチナの人達の存在」が欠落しているとしか。
一体何を考えてるんだ?


・・・で終わると気分が悪いので、この騒動に関する Ali ABUNIMAH 氏の論説を紹介して〆る。
・A Formal Funeral for the Two-State Solution(2011年9月19日 foreignaffairs.com)

この論説で、ABUNIMAH 氏は Abbas 議長の動き(「独立国家」として国連加盟を申請した)について、国連決議465(イスラエルによる入植地建設を非難している)などを無視してると非難していた。
その上で、本来 Abbas 議長達が行うべきことを「(パレスチナの人達の)権利」を取り上げることだと述べていた。
以下、2011年9月19日分 foreignaffairs.com『A Formal Funeral~』から〆の部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
Ultimately, any successful strategy should focus not on statehood but on rights.
In its statement on the UN bid, the BNC emphasized that regardless of what happens in September, the global solidarity struggle must continue until Israel respects Palestinian rights and obeys international law in three specific ways: ending the occupation of Arab lands that began in 1967 and dismantling the West Bank wall that was ruled illegal in 2004 by the International Court of Justice; removing all forms of legal and social discrimination against Palestinian citizens of Israel and guaranteeing full equal rights; and offering full respect for Palestinian refugee rights, including the right of return.
Palestinians and Israelis are not in a situation of equals negotiating an end to a dispute but are, respectively, colonized and colonizer, much as blacks and whites were in South Africa.
This truth must be recognized, and pushing for such recognition would resonate far more with the Palestinian public than empty statehood talk.
(中略)

The plans for truncated and circumscribed Palestinian statehood, which successive American and Israeli governments have been prepared to discuss, fall far short of minimal Palestinian demands and have no hope of being implemented (as the dramatic failure of the Obama administration's peace effort in its first two years underscores).
Even President Obama, in his speech to the Israeli lobbying group AIPAC last May, called the status quo "unsustainable."
But he offered no new answers.

These, then, are the lines along which the battle for the future of Palestine are going to be fought, no matter how many U.S. envoys head to Ramallah and Jerusalem to try to revive negotiations in which no one believes.
Meanwhile, the UN bid should be seen not as the means to give birth to the Palestinian state but as the formal funeral of the two-state solution and the peace process that was supposed to bring it about.
---- 引用以上 ----

なんつーか。
Abbas 議長にしてみれば、パレスチナの人達の権利より「独立国家」という地位獲得の方が優先するんだろうか?


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