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日本の鯨肉を使わない理由を説明して欲しかったな

2010-01-10 19:44:56 | 捕鯨騒動
今回は小ネタを2つ。
なんせ、Sea Shepherd の Ady Gil 号に「調査捕鯨」団の第二昭南丸が衝突した騒動で頭がオーバーロードなモンで・・・(馬鹿)。


まずは1個目。
天下のナベツネ機関紙が、空気を読んでないのか何なのか鯨肉を使った『はりはり鍋』という料理を紹介していたのだが・・・。
・大阪発全国の味(3)はりはり鍋(2010年1月9日 YOMIURI ONLINE)

そもそも、『はりはり鍋』ってのは大阪発祥の料理らしい。
関東圏で育ってきた俺は正直この料理の存在を知らなかったのだが、大阪では結構有名な料理らしい。
『はりはり鍋』のレシピの一例については以下を参照(手抜き)。
・はりはり鍋(2002年11月2日 matagi.fr.a.u-tokyo.ac.jp)
・京風はりはり鍋(1人前 538kcal)(takagi.co.jp)
・冬はやっぱり鍋! 寒ぶりのはりはり鍋(2009年10月1日 All About)

最後の記事は、鯨肉を寒ぶりに変えた『はりはり鍋』になってるけど・・・。


話を戻す。
2010年1月9日分 YOMIURI ONLINE の記事では、『はりはり鍋』を最初に出した(と主張している)店の店主こと乾 誠治氏がこの料理にまつわるあれやこれやを語っていた。
しかし、そこに YOMIURI ONLINE の記者が余計なことを書いていた。
以下、2010年1月9日 YOMIURI ONLINE『大阪発全国の味(3)~』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
かつて沿岸捕鯨が盛んだったため、全国各地にそれぞれの鯨料理があるが、水菜を使うはりはり鍋の専門店は戦後、東京など全国に出現した。
西玉水(にしたまみず)4代目の乾(いぬい)誠治さん(67)は「鯨肉は牛肉よりもたんぱく質が多い一方、脂肪分は少なく健康的だ。古来、日本人が好んだ身近な食材なので、全国に広まった」と説明する。

 さらに国際捕鯨委員会(IWC)が1982年、商業捕鯨の一時禁止を決議したことで、はりはり鍋の人気は上がった。
「鯨が食べられなくなるのでは」「今のうちに食べておこう」という人が増え、乾さんのもとには東京などから「メニューに入れたい」という店の声がよく届いたそうだ。

 商業捕鯨の禁止で、はりはり鍋は今や高級料理となり、提供する料理屋は大阪や東京などの一部店舗だけ。
西玉水は商業捕鯨を続けるノルウェーから鯨肉を独自に取り寄せている。
家庭では鯨肉の代わりに豚肉を使うなど、工夫したはりはり鍋が広がっている。

---- 引用以上 ----

乾氏の発言内容については、素朴な鯨肉食支持という域なのであえて突っ込まない。
問題なのは、乾氏の発言後(要は最終段落)の記述。
要は、乾氏が「調査捕鯨」で確保した鯨肉でなくノルウェーからわざわざ鯨肉を取り寄せてる点だ。
ま、ノルウェーの鯨肉を取り寄せるほうがずっと安上がり、という単純な理由なのかもしれんが・・・。
乾氏がそういう面倒なことをやる背景について書いてくれないことには、読んでる人に妙な印象を与えかねないと思うけどな。
この辺を YOMUIRI ONLINE の記者の人はわかっているのだろうか?


それにそても。
『はりはり鍋』のアレンジ版が結構な数出てるけど、アレンジ版が広まれば広まるほど「鯨肉を使った奴を食べるべき」という妙な運動が出てくる悪寒が・・・。


もう1つ。
オーストラリアの新聞 Herald Sun の公式サイト上で、『日本は南極海での調査捕鯨から速やかに撤退すべきか?』というアンケートが行われているのだが・・・。
・Whale protest flag to fly again (2010年1月9日 Herald Sun;アンケートを行ってる元記事)
・日本は南極海での捕鯨から撤退するべきかというアンケートの結果の推移(2010年1月10日 minnie111.blog40.fc2.com)
・【捕鯨】 「日本を止める為、海軍を出すよう政府に依頼」「これは戦争だ!日本は、我々シーシェパードを殺しても正当化」…豪紙報道★3(2010年1月9日 午後の蒐集;2chニュース速報+板のスレッド転載)

みんな暇人だな(苦笑)。


2010年1月11日追記:
以下の記事に trackback を送信。
・(編集中)鯨料理店「西玉水」の鯨肉はノルウェー産なのか?(2010年1月10日 フリーランス英独翻訳者を目指す化学系元ポスドクのメモ)


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-01-11 17:09:12
初めてコメント投稿いたします。

この西玉水の鯨肉産地の件は、TBしました私のブログ記事にあるように、読売新聞と西玉水の両方に問合わせ中で、連休明けに回答が来る予定です。

ついでに、農林水産省・消費者の部屋にも連絡してあります。

何か回答があれば、私のブログ記事に追記しておきますので、もう少しお待ちください。
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marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-01-11 20:11:06
コメントありがとうございます。

>~読売新聞と西玉水の両方に問合わせ中で、連休明けに回答が来る予定です。
>ついでに、農林水産省・消費者の部屋にも連絡してあります。
ナイス突っ込みありがとうございます(手抜き)。
果たして、読売新聞と西玉水からの回答はどのような内容になるのか楽しみであり怖くもあります・・・。

それと、私も時々marburg_aromatics_chem さんの blog を見てます。
私があまり知らない話を紹介していただき、色んな意味で助けられてます(笑)
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Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-01-13 16:12:43
鯨肉の由来について、取材した読売新聞の記者の回答が来ました。これはグルメ雑誌などの記載にもない、驚くべき新情報です。

「店主の話では、アイスランドで捕獲したイワシクジラをノルウェー経由で調達した」とのです。

アイスランドは現在はミンククジラとナガスクジラのみ捕獲しており、調査捕鯨を除けば、イワシクジラは捕獲していません。日本にイワシクジラを正式に輸出したのは1990年が最後で、ノルウェー経由でもありません。
もしかすると店主は、20年前の情報のままで接客している可能性が高いですね。

私も念のため、アイスランドとノルウェーの情報を再確認する予定です。
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marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-01-14 20:34:39
コメント&続報ありがとうございます。

>「店主の話では、アイスランドで捕獲したイワシクジラをノルウェー経由で調達した」とのです。
マヂですか・・・(汗)。
この話の前半をカットして記事にした、という辺りにかえって不気味さを感じてしまいますね。

もっとも、この件については店主が勘違いしているだけというオチで片付けられそうな気がしますが。
日本の鯨肉はアホみたいに余ってるのに何でノルウェーから鯨肉を・・・。
という問題点については、放置されたままで終わりそうです(苦笑)。
返信する
Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-01-16 17:03:38
お待たせしました。西玉水からメールで回答がありました。
鯨肉の種類は明かしていませんが、輸入ルートについて勘違いしていることが判明しました。

「アイスランドはIWCを脱退しており、直接輸入はできない。ノルウェーの市場を一度通すことによって、正式に輸入できる。」です。

やはり20年前の話をしているように思えますね。

ただ、これでもまだ疑問は残っています。
アイスランドからのナガスクジラ肉輸入を再開する前の2007年時点で、「ノルウェー産ナガスクジラ」だと、グルメブログの筆者に話していたわけですから。

ということで、この食文化の現状について、水産庁に質問してみます。
返信する
marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-01-17 20:10:59
コメント&続報ありがとうございます。

>鯨肉の種類は明かしていませんが、輸入ルートについて勘違いしていることが判明しました。
うへ~。
これだと YOMIURI ONLINE の記事を書いた人が乾氏の発言をチェックせず一部を掲載したのが、乾氏の発言の間違いを訂正したという皮肉な結果になってしまいますね(苦笑)。
流石に、marburg_aromatics_chem さんが自身の blog に書かれたコメントにあるように、YOMIURI ONLINE の記者も乾氏の発言内容について確認を水産庁にしているみたいですが・・・。

水産庁から marburg_aromatics_chem さんにどのような返答が来るのか、楽しみでもあり不安でもあります(←誰?)
返信する
Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-02-02 07:23:14
西玉水の原産地不正表示疑惑については、行政対応のタライ回しに遭いましたが、最終的に農林水産省消費・安全局が対応することに決まりました。

料理店で出される場合には表示は任意ですが、店が通販で提供している鍋セットは表示義務があります。
この点を強調して再質問したため、農林水産省としても、とりあえず受け付けることになったようですね。
まあ、調査して不正表示が発覚しても、単なる指導で終わるでしょう。

日本の伝統食文化を伝える老舗が、この程度のレベルということは、非常に残念なことです。
日本文化とは、うやむやにすること、なのでしょうか。
「鯨肉が食べられれば、その由来など無関係」というのが、「クジラ食文化を守る会」の方針なのでしょうか。不思議です。
返信する
marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-02-02 20:31:47
コメント&続報ありがとうございます。
本当は、marburg_aromatics_chem さんのブログにコメントするべきところなのですが、私が Yahoo!IDを持ってないもので・・・。

>料理店で出される場合には表示は任意ですが、店が通販で提供している鍋セットは表示義務があります。
ご指摘ありがとうございます(←馬鹿)。
だとすると、西玉水が鯨肉の原産国についてどのように表示していたのか色んな意味で気になるところですね。


>日本の伝統食文化を伝える老舗が、この程度のレベルということは、非常に残念なことです。
西玉水も商売で鯨肉を使ったはりはり鍋を出してる以上、鯨肉の出所について気を回す余裕がないのかもしれませんが・・・。
せめて、自分の所で出してる鯨肉の出所については把握していただきたいものです。


話は変わりますが・・・。

通信販売における原料原産地表示を拡大するという農林水産省の方針に対して、日本通信販売協会が反論の意見書を提出してるんですよね。

加工食品の原料原産地表示の拡大に向けた表示の方法と品目の考え方に係る報告書案に対する意見( 2009年8月10日 日本通信販売協会;.pdfファイル)
http://www.jadma.org/pdf/events/090810iken.pdf

食品の通信販売をする業者の意見が露骨に出ていて、清々しさすら感じます。
返信する
Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-02-12 21:02:25
私のブログ記事に追記したように、西玉水から直接電話で説明がありました。
納品業者とは100年近い付き合いなので、原産地を聞くことはないそうです。
現代の消費者の動きを把握できていませんね。
やはり、うやむやにすることが、日本の伝統文化というわけです。

農林水産省が早急に立ち入り調査をすることを期待します。
返信する
marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-02-13 20:07:17
コメント&続報ありがとうございます。

>納品業者とは100年近い付き合いなので、原産地を聞くことはないそうです。
「阿吽の呼吸」って奴でしょうか(違)

変な話になりますが、西玉水が鯨肉の仕入れルートについて納品業者に頼りきりだったのを示してるかもしれませんね。
まぁ、西玉水が鯨肉の質について無頓着ってわけではないと思いますが、鯨肉がどこから仕入れてきたのかについて無関心だったのは否めません。

>農林水産省が早急に立ち入り調査をすることを期待します。
なんか、「調査捕鯨」のどさくさでウヤムヤにされそうな気がしますが。
いずれ、農林水産省が何らかの回答(立ち入り調査をするかしないか)を示すことを期待しつつ・・・。
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