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Thanks for Israel's Medical Team(Apr 13,2011)

2011-04-13 21:27:13 | パレスチナかイスラエルか
先月発生した震災の人道支援の一環として、先月27日からイスラエル軍の医療チームが宮城県南三陸町で活動していた。

この医療チームに参加した産婦人科医兼軍曹こと Ofir Cohen MAROM(אופיר כהן מרום)氏が、イスラエルに帰国した後 Haaretz.com のインタビューを受けていたのだが・・・。
・Radiation is the least of Japan's concerns, says returning IDF officer(2011年4月13日 Haaretz.com)
・שיחת היום | "אופיר כהן מרום, היפאנים לא מתרגשים מהקרינה?"(2011年4月13日 Haaretz.co.il;ヘブライ語)

上の記事の見出しが語ってるように、インタビューをした記者の関心は未だに収束の気配が見えない福島第一原子力発電所の事故に向いていた。
しかし、MAROM 氏の受け答えは、記者の期待を悪い意味で(?)裏切っていた。
この辺は、イスラエルの医療チームが福島第一原発から遠く離れてた場所で活動してることが理由と思われるが・・・。

とはいえ、このインタビューからは、福島第一原発の事故について医療チームが活動してる地域の人達が抱いてる何とも言えない不安や不満を MAROM 氏が感じ取っていたのがうかがえる。
そして、日本でこの手の支援活動を行う際の困難についても・・・。


インタビューの冒頭、記者は福島第一原発事故によって放出された放射性物質に対する不安を南三陸町周辺の人達が抱いてるのかについて質問した。
しかし、MAROM 氏の返答は、違う意味でこの震災による被災地の人達が置かれてる状況の深刻さを示すものだった。
以下、2011年4月13日分 Haaretz.com『Radiation is the least of Japan's concerns~』から、冒頭部分を(略
ただし、インタビューをした記者の発言は斜文字にした。

---- 以下引用 ----
(中略)
Col. Ofir Cohen Marom, you left Japan the day the nuclear disaster level rose to seven, the highest possible level. Did you sense panic among the Japanese?

Not really.
For the locals, radiation is the least of their worries.
Their living conditions at the moment are so miserable they are now worrying about where they will get bread and water beyond the next few hours.
We just spent two weeks there, and now the infrastructure is already better, and there is a steady flow of food and water to keep them going, but many things are still lacking.
They don't even talk about the radiation.
(以下略)
---- 引用以上 ----

つまるところ、南三陸町周辺では福島第一原発事故によって放出された放射性物質の影響を云々する以前の問題ってことだ。
実際、南三陸町の近くにある宮城県石巻市の状況は相当酷いって言うし・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・「被災者の声あまりに悲惨」柳井の派遣ナースが帰任報告(2011年4月13日 mytown.asahi.com)

ただ、時間がある程度過ぎれば、南三陸町周辺でも放射性物質の影響への懸念も高まるだろうけど・・・。

この後、MAROM 氏は、イスラエル軍が放射性物質対策をどのように行っていたかについて触れてたが面倒なのでパス。


で、ここからがメインディッシュ。
放射性物質対策の話の後、MAROM 氏は医療チームが日本で救援活動を行うに至ったいきさつについて語っていた。
以下、2011年4月13日分 Haaretz.com『Radiation is the least of Japan's concerns~』から、救援活動に至ったいきさつを(略

---- 以下引用 ----
(中略)
How was the location chosen for where you set up the clinic?

The Japanese did not want to accept assistance from any country, even though numerous countries offered their help. As part of the ancient tradition, they always manage with their own devices.
Even the rescue dogs sent to them from New Zealand were first placed in 10-day quarantine.
Luckily for us, the mayor of Kurihara volunteered in Israel years ago, and he is a good friend of our ambassador in Tokyo.
This mayor decided to look after the fishing village of Minamisanriku, an hour's ride from Kurihara.
The village was completely destroyed by the tsunami that struck after the earthquake and nearly half of its 10,000 residents died.
The rest were left without shelter, and the mayor, together with the ambassador, pressed for the Israeli delegation to go there.
(以下略)
---- 引用以上 ----

佐藤 勇(Isam SATO)栗原市長の要請、ね。
どうも、佐藤市長はイスラエルに滞在してた経験があったとか。
実際、2008年に佐藤市長はイスラエルを訪問してたらしいのよね。
理由は不明だが・・・。
・First foreign doctors arrive to help victims(2011年3月28日 The Japan Times)
・イスラエル政府の救援チームが活動中(2011年4月2日 シオンとの架け橋)

佐藤市長がイスラエルに医療チームの派遣を要請したのは、日本国内の医療関係者だけでは足りないからと踏んだのかもしれん。
裏を返せば、日本政府の震災対応に不信感を抱いていたからってことかもしれんけど・・・。

というか、日本の場合、国外からの医療支援を想定してない制度になってるらしいのよね[おまけ参照]。
終盤付近での MAROM 氏の発言は、この制度が間接的に招いた問題点を示唆していた。
以下、2011年4月13日分 Haaretz.com『Radiation is the least of Japan's concerns~』から、終盤部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
How did the work with the local medical services proceed?

Not all the Japanese liked the idea of our coming.
The Japanese health system does not like people interfering, so we pretty much arrived against their will and at first they limited what we could do.
As the commander of the delegation, my job was to organize collaboration and persuade them that we came to help them, and not to replace them.
Day by day, the collaboration grew and deepened.
After four days, they agreed to have us send teams beyond the population center where we were, to other centers, and even agreed to allow us to treat a few cases of people who could not leave their homes.
We went to see pregnant women restricted to bed rest with a portable ultrasound to do examinations.
Everything was done using vehicles we had organized and gasoline we purchased.
(以下略)
---- 引用以上 ----

なんだろうな。
日本の医師が外国人医師の受け入れに否定的なのは昔からのことだろうけど・・・。
こういう時には、日本の医師の方々は柔軟に対応する必要があったのでは?
いや、本当の話。


ま、とにかく、最後はこの〆で・・・。

To The Israeli Medical Team:Thanks for supporting to Japanese Medical Team and treating patients!!


2011年5月3日追記:イスラエルの医療チーム受け入れに関しては、2011年4月14日分参議院の外交防衛委員会でも少し触れられていた。
・参議院外交防衛委員会 平成23年4月14日 第5号(2011年4月14日 国会図書館)

イスラエルの医療チームに関する発言は、外国からの医療チーム受け入れに関する石川 博崇氏と高橋 千秋外務副大臣の質疑応答内で行われていた。
以下、2011年4月14日分国会図書館『参議院外交防衛委員会~』から、石川氏と高橋外務副大臣のやり取りの一部を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
○副大臣(高橋千秋君) 支援の申出につきましては百三十か国を超える国、そして三十を超える国際機関からあったわけでありますけれども、医療に特定をいたしますと、欧米の主要国を中心に三十以上の国から申出がございました。
また、我が国で活動する海外NGOにつきましては、医療関係で八団体が来日したと承知をしております。

○石川博崇君 ありがとうございます。
 今おっしゃっていただいたとおり、三十か国から申出がこの医療チームの派遣についてあったにもかかわらず、私が報道で目にしたところによりますと、この中で受入れが実現したのは、唯一イスラエルからの医療チーム五十三名が宮城県の南三陸町で活動するのが実現したと。
大変な状況の中、医師不足、また医療機関も倒壊、流されてしまったということで、現地の医療需要というものは大変に大きなものがあったかと思いますが、三十か国からの申入れがうまく実現せずイスラエルだけの支援の申入れが実現したという結果に今のところはなっているわけでございますが、これはなぜイスラエル一か国だけが成立してほかの国からの支援というのは実現しなかったのでしょうか。

○副大臣(高橋千秋君) 御指摘のとおり、三十を超える国々から申出があったにもかかわらずイスラエルだけだったんではないかということなんですけれども、これ、受入れ側の御要望等、調整等もかなり必要なところがあります。
 イスラエルの救援チームにつきましては、医療チームにつきましては、先日、私も隊長と会わさせていただきましたけれども、言葉の問題それから習慣の問題等ありまして、なかなか現地の受入れの調整が付かなかったというところもございます。
かえって被災地に対して御迷惑を掛けるようなことがあってはいけないという問題もありまして、なかなか難しいところがございます。
 ただ、このイスラエルにつきましては、栗原市それから南三陸町、この両市がかねてより共同してそういういろいろな活動をしている中で、栗原市の市長さんがかつてキブツに留学をされていた、その結果、イスラエルと非常に交流が深かったということがございまして、栗原市長の方から是非イスラエルのチームに来ていただきたいという御要望があって実現をいたしました。
 隊長に聞かさせていただくと、当初はやっぱりいろいろな戸惑いもあって、現地の方の戸惑いもかなりあったということなんですが、最後には、先日離日されたわけでありますけれども、そのときには本当にもう抱き合って別れるような、非常に献身的な活動をしていただいたという感謝をいただいております。
 ただ、これは非常にまれな例でございまして、なかなか受入れ側が、外国の方が来られて言葉が通じないのにどうやったらいいのかとかいう、そういう戸惑いもあります。
ただ、今後も、いまだに支援の申入れはいただいておりますので、調整ができるところで入れればというふうに考えております。

○石川博崇君 確かに、受入れ側の状況というものを最大限に重視していかなければいけない、被災地に余計な負担と重荷になってはいけないということはあろうかと思いますので、厳しい状況だということは理解しておりますが、さはさりながら、イスラエルの例にありますとおり、最初は非常に不安あるいは言葉の問題等に対する懸念というものがあったとしても、それを乗り越えてやってきたという実例もあるわけでございます。
一刻一分一秒を争うようなこの医療状況の不足に対して最大限の支援を、せっかくの申出でございますから、活用するということが私は必要だったんではないかというふうに思いますし、今後もその方向で御努力いただければと思います。
(以下略)
---- 引用以上 ----

普段からの付きあいが大切、って奴か?(違)


おまけ:
実は、日本の医師法によると、外国での医師免許を持ってるけど日本国内の医師免許を持ってない人は医療行為ができないのよね。
厳密には、「日本の医師免許試験を受ける資格のある者」扱いという・・・。
・医師法 (昭和二十三年七月三十日法律第二百一号)(2007年6月27日最終改正分;2011年4月13日最終アクセス law.e-gov.go.jp)
・外国医師等が行う臨床修練に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律(昭和六十二年五月二十六日法律第二十九号)(2006年6月21日最終改正分;2011年4月13日最終アクセス law.e-gov.go.jp)

理由の1つとしては、日本で認められてる医療行為と日本国外のそれとの違いを認識する必要があるってことかもしれんけど・・・。

ただし、今回の震災では(1995年の阪神淡路大震災もそうだが)特例で外国の医師による医療行為が認められた。
・平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害状況及び対応について(第16報)(2011年3月16日 厚生労働省;.pdfファイル)
・外国人医師の被災者への医療「違法性なし」-厚労省(2011年3月16日 excite.co.jp;キャリアブレイン)


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