flagburner's blog(仮)
マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。
 



ってことで、今回は昨日の予告通り、Greenpeace のメンバーが鯨肉横流しに関して調査→逮捕された件の裁判について2009年2月13日に Greenpeace 側が出した予定主張の話。
・国際人権法に基づく予定主張の概要 (PDF 1.8M) (2009年2月13日 greenpeace.or.jp)

ここでは、主に「表現の自由」に関する問題を例の一軒に絡めている。
とりわけ、NGO の情報収集活動がどのような位置づけにあたるのかについて色々述べている。
以下、greenpeace.or.jp の予定主張から、P.11の一部を少し長いけど引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
(1)報道だけでなくNGOの情報収集活動が「表現の自由」の保障のもとになる

報道機関が社会において重要な監視役であることは、言うまでもない。
そして上記で引用した表現の自由に関する判例の多くは、ジャーナリストの権利に関するものである。
被告人両名の環境NGO活動における調査作業は、多くの点で報道機関による取材と類似しているが、通常の言葉の意味からすると、彼らがジャーナリストでない事は明らかである。
したがって、国際的にも日本の法体系においても認められている取材の権利が報道機関だけの特権であるのか、もしくは同じ立場の全ての人が享受できる権利なのかをまず検討する必要がある。

最初に、世界人権宣言と国際人権(自由権)規約が、共に表現の自由を「すべての人」の権利であると定義していることに注目すべきである。
さらに、国際人権法と国際人権規約第2条(1)では、各締約国が「いかなる差別もなしに」全ての個人に対し、この気悪の権利を尊重し、確保しなければならないと規定している。
今日まで、自由権規約委員会は、その第19条において報道記者に「表現の自由」の行使について特権を供与するかどうかについて検討した例は無い。

しかしながら、欧州人権裁判所はこの問題に直面している。
欧州人権裁判所の意見は本件について考える上で、教訓的なものである。
なぜなら、ヨーロッパ人権条約は「世界人権宣言」に基づいて起草され、従って、国際人権(自由権)規約第19条とも表現や目的が極めて類似している「ヨーロッパ人権条約」の第10条(2)に基づいているからである。
(以下略)
---- 引用以上 ----

この後は、欧州各国においてNGOが行った調査(greenpeace と似た行動)への裁判での判例をいくつか例示している。
その上で、この予定主張で扱った裁判の判例から、今回の件の意義について触れている。
以下、再び greenpeace の予定主張から、P.17の一部を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
(5)ヨーロッパ人権機関の先例の本件における意義

このような、一連のヨーロッパ人権帰還の先例の特徴は規制の目的と規制手段の相当性を丹念に審査して、規制による利益・処罰の必要性と情報を求める自由を含む表現の自由とのバランスの良い決定・判決を導き出しているといえる。
そして、ここでの重要な争点は被告人らの調査活動の目的や、情報の収集方法及び、これを刑事告発し、一般に公表する際の方法がジャーナリストないしジャーナリストに類似した活動、すなわち、一般的な公共の利益に関する問題についての情報や思想を広めることによって国民的論議に貢献できるような活動を行う事が、NGOメンバーとのプロフェッショナルな倫理に即したものと評価できるかどうかということとなるのである。
(以下略)
---- 引用以上 ----

で、この後にある「第3 まとめ」では、当然というか(?)2人の行動は無罪と結論付けている。
そりゃそうだ。

・・・で終わるのもアレなので、「第3 まとめ」の P.19 から一部を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
(4)失われた保護法益は相対的に低い利益である

前述のとおり、国際人権自由権19条によれば、表現の自由に対する制限は、(i)「他人の権利もしくは信用の尊重」、(ii)「国の安全、国の秩序または公衆の健康、道徳の保護」という目的を実現するために、(iii)「必要なもの」に限られる。

まず、(i)については、本裁判でも明らかにしていく予定であるが、被告人両人が証拠として確保した鯨肉は、元々日進丸の船員が横領した鯨肉である。
つまり、その所有権そのものが不法な行為によって得られたものである。

仮にこの点が確実に証明できなかったとしても、被告人らの告発後には見直された、「不透明なお土産慣行」に付随するものであり、いずれにしてもその保護法益は小さい。

また、(ii)については、被告人らが起訴された窃盗罪と住居侵入在は個人適法駅に関する犯罪であり、「国の安全」「功の秩序」「公衆の健康」「道徳の保護」は問題とならない。

さらに、(iii)の「必要なもの」とは、前述の通り、民主的社会において必要なものと解されるところ、上記のように被告人両名の行為が、ジャーナリストと同様の目的で公共の利益に奉仕するという目的のために活動したNGO活動家のプロフェッショナルな倫理原則に忠実なものであったことに鑑みれば、「必要なもの」とはいえない事が明白である。
(以下略)
---- 引用以上 ----

う~ん。
この一件をネタにする際忘れがちなのは、元々「調査捕鯨」団の船員が持ち出した鯨肉自体が法的にヤバいブツってことなんだよな。ついでに書けば、この鯨肉持ち出しを水産庁とかが黙認してたってのも・・・。
それなのに日本の報道各社は批判の矛先を、鯨肉持ち出しをバラした Greenpeace へ向かった。
[不法侵入の件については Greenpeace 側にも責任があるが]
これはどういうことだろうか?
昨日の話に戻るけど、やっぱ報道各社は Greenpeace の行動(鯨肉横領をバラしたこと)が気に入らなかったのかもな。
その上、「調査捕鯨」への抗議や高レベル廃棄物処理施設への監視など日本政府のやることにケチをつける Greenpeace に対する不信感とかも積み重なってたのかもしれん。

今回の裁判の展開がどうなるかについて迂闊なことを書けないけど、少なくても日本では Greenpeace にとって不利な伝えられ方がされるんだろうな。
ってか、その前に、国外にこの話がどれだけ伝わるかわからないけど・・・。

コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )


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コメント
 
 
 
突然失礼します (赤坂)
2009-02-26 09:52:43
>元々「調査捕鯨」団の船員が持ち出した鯨肉自体が法的にヤバいブツってことなんだよな

推定有罪ということでしょうか。
この件は、GPJの告発を受理した検察が不起訴にしたわけですよね。
もちろん、日本の検察を全面的に信頼するべきだ、とは思わないのですが。
不起訴後に、この件について、GPJは、どのような法的対応を行っているのでしょう。
不勉強なため恐縮ですが、私は存じません。ご存知ならご教示いただけないでしょうか。
それで、以下仮定の話ですが。
もしもGPJが不起訴後に法的対応を取らずにいるのなら、検察の言い分を、つまり不起訴を受け入れたということですよね?
不起訴になったものを推定有罪とマインドコントロールするかのようなやり方を、もしもしているのなら、GPJに対し違和感を覚えます。

以上、思うところ発言させていただきました。
ありがとうございました。
 
 
 
ちょっとその視点はいただけないな (初心者)
2009-02-27 04:48:49
>やっぱ報道各社は Greenpeace の行動(鯨肉横領をバラしたこと)が気に入らなかったのかもな。

そりゃあ気にいらんでしょう。

 ジャーナリスト達の活動は多くの制約、規制が付きまとい、またそれに多くの義務や責任が伴うのです。
 日本のメディアがそういったマナー、モラルに関して及第点を取っているとは思いませんが、常に社会的責務を要求されている彼らから見ればGPJの法も責任も無視したやり方は許せないはずだ。

 メディアがGPJを妬んでいるなどという見方は、はっきり言って馬鹿馬鹿しい。ジャーナリスト達にとっては、あんな行為が自分たちが行っている取材、報道と同一視される事の方が、憤慨すべき、そして迷惑きわまりないことだろう。
 
 
 
 
赤坂さんへ (flagburner)
2009-02-27 20:48:01
コメントありがとうございます。

>~GPJは、どのような法的対応を行っているのでしょう。
確か、Greenpeace はこの件について反ソもとい反訴してないと思います。
これは私の推測ですが、Greenpeace が反訴しなかった理由としては2人の裁判の結果に悪影響を及ぼすのを避けるためというのがあります。
また、訴訟合戦に陥るのを避けるという別の可能性もあるでしょうが・・・。
 
 
 
初心者さんへ (flagburner)
2009-02-27 21:00:13
コメントありがとうございます。

>ジャーナリスト達にとっては~
実際に現場で働いているジャーナリスト達の意見も聞かないと、単純に判断できないと思います。
もっとも、Greenpeace のメンバーがジャーナリストとして必要な取材や調査手法を学び実践できてたかどうかについては、議論の余地が相当ありそうですが・・・。
 
 
 
レスポンス、ありがとうございました (赤坂)
2009-02-28 18:54:28
やはり反訴していませんよね。
私は捕鯨推進派に近い立場ですが
この件のGPJ2名の被告について
判決がでるまでは
むやみに犯罪者扱いするような言動は
差し控えたいと考えています。
それは立場を超えて、なにより
「推定無罪」という考え方を守ることが、
この法治国家において
大切なことだと信じるからです。

ですから、反訴せずに、
リリースの上では、さも横領があった、
あるいは、その不正を暴いたかのごとく
受け取られかねない物言いをする
GPJのやり方には、
これまた捕鯨の是非を超えて、
胡散臭い印象を抱かずにはおれません。
横領を確信し、自らの行いに正義を
見出している者が取る態度として、
不適切というか、単純に理解に苦しむのです。

あくまで推測ということだとは思いますが、flagburnerさんが示唆される、
その理由も、ちょっと理解できません。


反訴することが、
2人の裁判に悪影響を与えるのでしょうか。
法律にはまったく素人ですが。
横領の事実を法的に証明する、
万が一、検察の悪意ゆえに
やはり横領の事実が無かった
という結果になったとしても、
反訴することで、少なくとも、
2人の被告は「不正」があると信じていることを、
今回の件はそれを糺そうと思って行ったことを
証明し、被告にとっては
良い材料なんじゃないでしょうか。
そういうものでもないのでしょうかね。

また、
> 訴訟合戦に陥るのを避ける
と言いますが、
これまで必死に反捕鯨の運動に従事し、
横領の事実に確信を持つ団体の言い分としたら、
ちょっと弱腰に過ぎませんかね。
世界中に支援者がいるわけだし。

実はGPJに同様の質問をメールしましたが、
その後、沙汰ありませんでした。

捕鯨推進派の取り組みにも、
正しくない、と思える「戦法」が
度々あると思います。
日本政府やマスメディアにも
大いに問題があると思います。
しかし、反捕鯨の、個人はともかく、
特に大きな団体、
また欧米諸国とそのメディアにも
同様の問題はあるように感じます。

長々と失礼しました。
ありがとうございました。
 
 
 
赤坂さんへ (flagburner)
2009-03-01 21:31:05
コメントありがとうございます。


>反訴することが、2人の裁判に悪影響を与えるのでしょうか。
少なくても、2人の裁判に関わる裁判官や検察側の心象に悪影響を及ぼす可能性は否定できません。
法律や判例に沿って判決を下すのが基本とはいえ、その際裁判官個人の感情を完全に排除するのは無理だと思いますから・・・。

>~ちょっと弱腰に過ぎませんかね。
この辺りは推測になってしまうのですが、裁判に向ける力を分散させないという意味もあると思われます。
むしろ、赤坂さんの「~弱腰に~」という指摘に関しては、今シーズン「調査捕鯨」団への抗議活動として船を送り込まなかったことの方が大きいと思います。
実際、Greenpeace International の blog にはこの決定への批判書き込みがありましたし・・・。

>特に大きな団体また欧米諸国とそのメディアにも同様の問題はあるように感じます。
これも難しい問題ですね・・・。
思い当たる点としては、何故日本で捕鯨支持の意見が多いのかについての報道や分析が足りないところでしょうか。
ただ、こういう報道は読者からのウケが悪そうですが・・・。
 
 
 
ありがとうございました (赤坂)
2009-03-02 23:09:07
うーん。やっぱり、いまひとつ合点はいきません。

> 裁判官や検察側の心象に悪影響
というのは、まあ本来、おっしゃるように、
そんなことがあってはいけないと思うのですが
(裁判以外の情報に左右される、ということ)
そんな理想はおいて、万が一、影響されるとしても、
反訴したくらいで悪影響なら、
反訴しないで横領があったかのような言い方や
検察を批判するGPJの広報活動の方が
よっぽど心象悪いんじゃないでしょうか。

> 訴訟合戦に陥るのを避ける
についても、弱腰云々という言い方をしましたが
やはり、根本的に釈然としないんですよね。
なんというか、横領の確証があるのなら
まずは、その告発・反訴で横領を実証することが
2名の裁判含め、
すべての解決につながると思えて仕方ありません。
単純に横領の確証がないんじゃないでしょうか。
そんな風にも思っちゃいます。

日本も含め世界中のあらゆるメディア、
また各国政府やNGOについて、等しく思うのですが。
それらが、
ある程度以上の大きさを持つ組織となったとき
捕鯨問題についても、それ以外の問題についても、
背景を持たない完全に公平な態度で臨む、
ということは、ありえない。
と、直感的に思っちゃいます。
だから、なにも信用するな、とか、
そういう気持ちではないのですが。
なんというか。
あらゆるメディアに対して、
それはあくまで自分の立ち位置を確認する為の
補助線以上の意味は持たせずに接したい
と願っています。
もちろん、国内メディアの
捕鯨問題に関する報道についてもです。

なんだか私見を長々と申し訳ありませんでした。
この件、flagburnerさんに
議論を吹っかけようとか
そういう事ではありませんので
とりあえず、これまでとさせていただきます。

万が一、失礼な表現やお気に触る言葉使いが
ありましたら、お詫びいたします。

場を拝借しました。ありがとうございました。
 
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