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基本高水流量にゲタを履かせたツケ?

2010-11-09 20:30:09 | 八ッ場ダム騒動
ダム関係で最近よく出てくる用語に『基本高水流量』なるものがある。
これは、日本全国の治水計画でダムなどを建設・整備するための根拠として使われてきた。
当然、これは八ッ場ダムの建設根拠の1つにもなってるが、計算根拠があいまいだったり計算過程が保存されてないなんて問題も・・・。
この辺は以下参照(手抜き)
・ダム計画を正当化してきた「基本高水」の虚構(2010年10月16日 八ッ場あしたの会)
(2010年10月 八ッ場あしたの会)

そんな基本高水流量に関して、蔵治 光一郎東京大学愛知演習林長(長い)が意味深な分析をしていたのだが・・・。
・ダムの根拠水増し? 想定流量、40年で1.5倍(2010年11月9日 TOKYO Web)

そもそも蔵治 光一郎氏って誰?
どうも、蔵治氏は昔から『緑のダム』に関する研究や提言を行ってる研究者らしい。
参考までに、2004年に開催された日中水フォーラムでの講演要旨のリンクを貼っておく。
・水フォーラムのご報告(2004年4月20日? 蔵冶研究室@東京大学;.pdfファイル)
・日中水フォーラム 講演要旨 森林の「緑のダム」機能の実態と将来展望(2004年4月21日 日中新世紀協会)

で、蔵冶氏は、全国109の一級河川のうち戦後の1946年~2006年までの基本高水流量などが残ってる水系についてその推移を調査したとか。
以下、2010年11月9日分 TOKYO Web『ダムの根拠水増し?~』から前半部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
 東京大学愛知演習林長の蔵治光一郎講師(森林水文学)が、全国百九の一級河川のうち、終戦後の四六年から二〇〇六年までの基本高水(六四年の前は計画高水も含む)が確認できた八十水系の推移を分析した。

その平均値は、六四年が毎秒(以下省略)五千百二十二立方メートルだったのが、〇六年には七千八百四十一立方メートルと約一・五倍に。
四六年からは約一・八倍に増えている。

 最も引き上げ幅が大きいのは、八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)建設事業がある関東の利根川で、治水基準地点の八斗島(やったじま)(同県伊勢崎市)の基本高水は四六年の一万立方メートルから、二万二千立方メートルと一万二千立方メートルも増加。
荒川(埼玉・東京)、紀ノ川(奈良・和歌山)、吉野川(高知・徳島)、淀川(滋賀・京都・大阪など)も一万立方メートル以上増えた。

 また、過去の洪水で流れた最大流量の実績と、基本高水との差が四千立方メートル以上ある水系が十八もあった。
(以下略)
---- 引用以上 ----

最大流量と基本高水流量のズレ、ね・・・。
このようなズレが生じたのは、実はそれなりの事情があったようで。
以下、2010年11月9日分 TOKYO Web『ダムの根拠水増し?~』から後半部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
 平均値は七〇~七五年を中心に大幅に引き上げられたが、国土交通省側は「流域の発展や出水特性を検討した結果」と説明する。

背景には高度成長時代、上流域の河川改修や開発が進み、川に流れ込む水量が増える考慮があったとされる。

 一方、多摩川水害(東京)や大東水害(大阪)などの被害も相次ぎ、国家賠償訴訟によって、国の河川管理責任が問われた時期と重なる。
さらに、過去の洪水実績から、百年や二百年に一度起こると想定する「確率洪水」を採用したことを指摘する専門家もいる。

 蔵治氏は「行政側が基本高水を高めに設定し、計画以上の洪水がくれば『想定以上だ』とし、想定内の洪水で被害が出れば『予算の制約で工事が完了しなかった』などと主張して、責任を回避しようと考えたのではないか」とみている。
---- 引用以上 ----

う~ん。
官僚ならではの発想って奴?(違
要は、誰も責任を取らないようにしたかった、って所だろうが・・・。
とはいえ、これを真に受けた人達がダム建設の根拠にした可能性を踏まえると、これはこれで結構性質が悪い気がする。

つーか、確率洪水って何?
雨量確率とも呼ばれるこの数値は、N 年間でどれくらい河川の容量を超える洪水が発生するのかを示す確率。
結局の所、『雨量確率=1/(洪水が起きるかどうかを想定した年数)』という計算式になるが・・・。

この辺は↓のコメント欄を参照(手n
・国交省による貯留関数法を用いた洪水流量過大計算のテクニック(2010年10月31日 代替案)

なんつーか。
国交相による「洪水が来る来る詐欺」って奴?(不謹慎)


もっとも、八ッ場ダムの建設中止か続行かについては、仮に流量計算が間違っていたとしてもダム建設予定の周辺工事が進んでいる、という本筋とずれた理由で判断される可能性はあるけど。
特に、下流域の都府県知事たちはどのような理由でもいいから八ッ場ダム(と水利権)が欲しいんだろうし・・・。
こういう状況だと、真っ当に流量計算を行って八ッ場ダムの建設根拠が崩れても焼け石に水というオチになる悪寒。


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