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化石賞争いに力を入れる日本 2

2009-04-02 21:02:20 | おかしな人たち
先月の30日から独のボン(Bonn)で始まった国連気候変動枠組み条約(COP)作業部会。
昨日になって、日本が「化石賞」の2位を見事(?)に受賞したらしいが・・・。
・温室ガス増加検討の日本に「化石賞」 国際NGO(2009年4月2日 asahi.com)

この作業部会の公式サイトは↓。
・Bonn Climate Change Talks - March 2009(unfccc.int)

実は、去年行なわれた COP14でも化石賞(1位から3位まで)を連日受賞していた日本。
これを踏まえれば、今回の化石賞受賞は当然とも言えるが・・・。
・化石賞争いに力を入れる日本(2008年12月11日 flagburner's blog(仮))

この作業部会では、今年末にコペンハーゲンで行なわれる COP15 の方向性について議論していたのだが・・・。
以下、化石賞受賞理由に関して asahi.com の記事を全文引用しておく(短いし)。

---- 以下引用 ----
【ボン(ドイツ)=山口智久】京都議定書に続く温暖化対策の国際枠組みを話し合う国連気候変動枠組み条約作業部会の会期中、環境NGOが交渉に最も後ろ向きな国に贈る「化石賞」に1日、日本が選ばれた。
2020年までに減らす温室効果ガスの中期目標を検討する政府の委員会が示した六つの選択肢に、「90年比4%増」を含めているのを批判した。

 京都議定書で日本は12年までに90年に比べて6%の削減を義務づけられている。
「授賞」の理由で「4%増では明らかに後退だ。幅広い技術があり、豊かな先進国としてより高い目標を掲げて先頭を走るべきだ」と指摘した。

---- 引用以上 ----

で、今回の作業部会で提案した(と思われる)中期目標の元ネタに関しては↓参照。
・資料1―1 中期目標の複数の選択肢について (2009年2月12日 kantei.go.jp;.pdfファイル)

この .pdfファイルは、2009年2月12日に行われた『地球温暖化問題に関する懇談会(第7回)』での配布資料。
3月27日に行われた地球温暖化問題に関する懇談会の「中期目標検討委員会」(後述)では、2月の懇談会での中期目標を偏向したとか。
おそらく、ボンで行われている作業部会で日本政府は、ここで変更した案を公表したかと思われる・・・。
一応、2009年2月12日の懇談会で配られた資料1-1 のP.3 から、6つの選択肢について引用しておく。

---- 以下引用 ----
本分析の対象とする「複数の選択肢」


中期目標(対象年2020年)の「複数の選択肢」については、上限が1990年比+5%・2005年比±0%程度、下限が1990年比-25%・
2005年比-30%程度の範囲内で、互いに比較可能な有意な差のあるものとして、以下の考え方を対象とし、今後、本格的な分析を行う。
([ ]内は、1月23日の第3回中期目標検討委員会における仮分析結果を、「2020年エネ起[エネルギー起源CO2排出量、の略]CO2-1990年(又は2005年)エネ起CO2)÷1990年(又は2005年)GHG」の形で表したもの。)

1. 既存技術の延長線上で機器・設備の効率が改善し、耐用年数を迎えた時点で機器等の入れ替わりが進むケース
[1990年比+6%、2005年比-5%]

2. 諸外国が発表している中期目標と限界削減費用が同等となるケース
[EU-20%(1/3がCDM[クリーン開発メカニズム])と同等: 1990年比±0%~+7%、2005年比-11%~-5%]
[米±0%と同等: 1990年比-2%~+7%、2005年比-13%~-5%]

3. 強制的な手法によらず実現可能な最先端技術の最大導入ケース
[1990年比-4%、2005年比-14%]

4. 先進国全体の温室効果ガス(GHG)削減率が1990年比-25%であって、先進各国が等しく削減努力を行うケース:

4-1. 限界削減費用が均等
[1990年比-12%~-1%、2005年比~-22%~-12%]
4-2. GDP当たりの対策費用が均等
[1990年比-17%~-16%、2005年比-27%~-26%]
4-3. 日本の削減率も1990年比-25%
[1990年比-25%、2005年比-30%](GHG全体の削減率)
---- 引用以上 ----

2020年と1990年の比較で CO2 排出増加をあえて認めてるってのはどういうこった?
なんか、京都議定書を遵守できなかったってのを白状してるように見えなくも無いが・・・。

ただ、この6案に関して、実行された場合において経済への悪影響(・・・)に関する調査も行なわれた。
・温室効果ガス削減の中期目標、20年までの累積で最大6%GDP押し下げ=検討委(2009年3月27日 jp.reuters.com)

以下、jp.reuters.com の記事から、その結果を伝えてる部分を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
同日の検討委では、6案のそれぞれがGDPに与える影響について複数の研究機関の分析結果が提出された。
6案のうち、削減目標が最大になるのは、1990年比25%減のケース(2005年比30%減)だが、これを実施した場合、2020年までの累積でGDPが3.2―6.0%押し下げられるという。
また、1990年比15―16%の削減(2005年比21―22%減)を実施した場合、GDPに与える影響は、累計0.8―2.1%の押し下げと試算された。
---- 引用以上 ----

随分無茶苦茶な経済に対する悪影響の試算だな(苦笑)。
意地の悪い見方をすれば、日本経済が当分の間低調に終わった際の逃げ道を政府が作ったとも言えなくもない。
要は、「経済が上手く行かないのは(できないのに)温室効果ガスを削減するなんて言い出したからだ」ってところだが・・・。

ともかく、昨日の中期目標検討委員会では、2009年2月に出された案を5案に絞り込んた。
・20年の温室ガス排出で政府検討委 中期目標5案に絞る 90年比 4%増~25%減(2009年4月1日 環境新聞)

以下、2009年4月1日の環境新聞より、問題の5案を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
1. 努力継続(日本エネルギー経済研究所、1990年比4%増)
2. 長期需給見通しの最大導入ケース(7%減)
3. ストック+フロー対策強化(日本エネルギー経済研究所、16%減)
4. ストック+フロー対策強化(国立環境研究所、15%減)
5. 先進国一律25%減

の5案で、これに対して経済成長に与える影響などを分析した。
6月までに策定する。

 4%増以外の4案の場合、いずれもGDPは減少すると予測されている。
特に5. の25%削減の場合、GDPは20年までの累積で最大6・0%減、
失業者も120万人に上ると予想されており、所得の減少や失業率の悪化が懸念されるとしている。
---- 引用以上 ----

10年で120万人(政策が実行されるのは2010年度からと推測したので・・・)ってことは、1年で12万人失業者が出るって事だろうか?
随分とまぁ、恐怖を煽る表現なこと・・・。

この委員会の(イカれた)結論に関して、日本国内の環境NGO から不満の声が出たのは言うまでもない。
・首相官邸の中期目標検討委員会のとりまとめに際し、環境NGOが一斉に批判(2009年3月27日 WWF Japan)

そりゃ化石賞も受賞するわな。


なお、昨日の化石賞で3位を見事(?)に受賞したのはニュージーランド(1位はサウジアラビア)。
この件について、greenpeace.org.nz のブログがニュージーランド政府を批判していたのだが・・・。
・NZ crowned fossil fool (2009年4月2日 weblog.greenpeace.org.nz)

以下、greenpeace.org.nz のブログからその部分を引用しておく。

---- 以下引用 ----
(中略)
So who beat New Zealand?
Japan came second for having a very weak proposed 2020 target for reducing emissions.
But to be fair to Japan, at least they’re proposing something.
New Zealand hasn’t even proposed a target, although they were supposed to come to Bonn with one.
Saudi Arabia won first prize. Saudi Arabia frequently gets a Fossil of the Day award.
It must be such a burden to be the world’s biggest source of liquid fossil fuels.
(以下略)
---- 引用以上 ----

いや、ろくな発言をしないニュージーランド政府の方が適当なことを言いふらす日本政府より全然マシだと思うぞ。


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