mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

「少数意見を尊重する」とは?(2) 「初心忘るべからず」

2016-05-04 16:18:53 | 日記
 
 昨日のブログタイトルに大きな間違いがあることに気づいた。《「少数意見の尊重」とは権力家の警告である》ではなく、《「少数意見の尊重」とは権力への警告である》である。申し訳ない。こういうケアレスミスが、昔から多い。書き手がぼちぼち終幕を迎えているとは言え、たぶん読んでいる方は気持ちがいいものではあるまい。
 
 ところで、今朝方寝床の中で、思いついたことがある。「少数意見の尊重」というのは、個別性を個別性のままに受け止めよという、政治家への、あるいは政治的にモノゴトを処理する部署にいる方々への「警告」ではないか。昨日の論調では、「少数意見」は「意見の少数者」とか「(政治的に)弱い立場の人たちの意見」というニュアンスで考えていた。だがそうではない。政治的にモノゴトが取り扱われるとき、そのほとんどは最終的に「数」に還元されて、「決定」へと持ち込まれる。そのとき人間がしばしばおかす過ちは、その「意見」を一般化してしまうことである。具体的に考えてみればわかることだが、一般化して考えなければ、そもそも「集団における決定」にはならない。だから、政治家の役割というのは、個別の事例や事情を集約することにあり、すなわちそれは、ある程度一般化して「集団的意思」に変換する作業を担うことにある。だから「人間がおかす過ち」ですらない。その矛盾する作業が、政治家に委ねられている。つまり政治活動に伴う必須の振る舞いとさえいえる。それに対して「警告」を発してるのだ。「初心忘るべからず」と。
 
 つまり、「数に還元できないこと」がある、「数に還元してはならない」ことがあると。職業的な政治家は「奴は敵だ、敵を殺せ」という金科玉条をもっている。それは古今東西、政治体制が変わっても、少しも違わず引き継がれてきている。だが、私たちが敗戦によってうけいれた「民主主義」は、そこが違った。「少数意見を尊重せよ」というのは、「数で押し通して決定してはならない」ということであった。唯々諾々と多数意見に従って沈黙することも、ダメだということであった。それが、「最終的には数で決めるのも仕方がない」というように、コトの時間的制約によってまず変質し、その後に、「多数決で決定するもの」と、決定に伴う忸怩たる心情を排斥するように、機能的に変わっていったのだ。
 
 この段階的変質が大手を振って、「統治方法」として一般化してしまったのが、現代日本社会である。政治家は、多数を確保することに執心し、そこでモンダイにしていることの「意味」や「本質」をどこかへやってしまった。そもそも社会と政治の関係がどう想定されているかも、忘れられている。だから後ろめたさもなく、多数によって政権をとり、多数によって選出された者たちが、システムの間隙をついて「支配権」を確立すると、その支配権を振り回して「専横」に走る。多数の「数」を構成する人たちは、唯々諾々とそれに従うか、歯向かって排斥される憂き目にあうかしかない。小泉首相のときの自民党の「郵政選挙」がまさにそれであった。こうして、全体を見て見れば、「数」を操作する手練れたちが、「選挙」のマジックをフルに活用して政権をとることを最優先するとともに、それの障害になる「異論/異質な声」を聞こえなくすることに腐心している。党内の声はもちろん、メディアを統制し、論議を管制しようと異論を「場外」へ押し出す。
 
 彼ら支配権を握った人たちに、かつての初心にこめられた「(決定にともなう)忸怩たる思い」はかけらも見当たらない。政権をとったのものが、思いのままに権力を揮うのは当然であり、それができるように(少数意見を封殺して)ありとあらゆる手立てを講じるのは、当たり前だという「正当性の勢い」さえ感じさせる。つまり「支配の意志」が前面に打ち出され、数としての少数どころか、異論や従順でないものも、排斥されたり無視されたりしてしまうようになっている。
 
 唯一気を遣っているのは、「選挙」に影響する「世論」に対してである。メディアも、それ以外に自らの主張の拠り所を失ってしまってか、「世論調査」ばかりを公表して、そこに足場を築こうと考えているようだ。だが世論調査の結果というのは、「問い方」によって流動し、集約の仕方によっていかようにも動く。こうして、具体的な声の、かけがえのなさという個別性が忘れ去られ、あたかもないかのように、扱われている。そういうことが、「小学生の政治活動への指導」のモンダイになっていたのであった。
 
 ということは、小学生のモンダイではない。私たち大人のモンダイが問われていたのだ。
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