mukan's blog

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シルクロードの旅(2)衣食足りて礼節を知る

2018-05-18 11:35:07 | 日記
 
 中国が大きく変容していると感じたことを、もう少し付け加えておこう。

 町や街に、ゴミが落ちていない。十年前に行った四川省の成都もそうだったが、昨年行った大連や瀋陽などでも、紙のゴミが散らばり、程度の差はあるが、あまり政経つとは言えなかった。ところが今回、蘭州などの都会はもちろん敦煌などの町も、陽関という辺境の地でも、ゴミが落ちているという印象がなかった。肝入りの観光地である莫高窟などではディズニーランドのようにゴミを拾って歩く人がいて、始終片づけている。新幹線もそうだ。車掌とは別の清掃係が手早く(私たちの使った紙やプラスティックなどを)袋に入れて回る。何度も床をモップで拭いて廻っていた。
 
 甘粛省という土地全体が「今まさに開発途上」という風情、道路の工事も、建物も、観光地も「工事中」の気配で一杯であった。第一日目に泊まった蘭州の夕食は、街に出て餐庁と記された小さな食堂に入った。開放的なつくりで、若い女性二人連れの客もいた。30歳代の若い男がにこにこしながら声をかけてきた。むろん中国語で。とりあえずビールを注文したら、常温のまま出てきた。冷たいのはないのかとジェスチャーを交えて尋ねる。ない。メニュをみながら料理を注文する。茄子炒めや青椒肉絲、麻婆豆腐などは字面をみても分かる。肉も味付けは辛いがまずいわけではない。勤め帰りらしい若い女性二人連れが食べていた鍋様のものも見た目に上手そうだというので、追加した。こいつはうまいことはうまかったが、とても辛くて口がひりひりする。五人でもずいぶんと残してしまった。食べながら30歳代の男店員に聞いたら、日本人客は初めてだという。こちらが紙をとりだして筆談にしたら、どうにかやりとりできる。むこうさんは簡体字を書く。ジェスチャーで補いながら意を伝えると、考えながら応答が返ってくる。彼は興が乗ってきて、座り込んで話す。彼のカミサンらしい女性店員がやってきて、肩をつついて「ほら、仕事をしなさい」と促すが、彼はこちらの方に夢中になる。アルコール度が43度という稗の蒸留酒があったので、ひと瓶注文して口にする。何だか化粧水のような味がする。ひょっとすると芋焼酎をはじめて口にする人もこんな気分を味わうのかもしれない。慣れれば、それなりに呑めるのだろうが、半分ほどを残してしまった。でも気分良く過ごすことができて、私たちのツアーリーダーが50元のチップをはずんだ。食事代そのものは120元ほどだったから、ちょっと多いんじゃないのと言ったが、「(手持ちに)小さいお金がないんだよ」というわけだ。それが奏功したのかどうかわからないが、彼のカミサンの態度も変わり、彼を交えて記念写真を撮るシャッターを押してくれたりした。お酒はおいしくなかったが、人々はフレンドリーで面白かった。
 
 以前の中国の旅では、食堂の机の下に骨や食べかすや紙屑などをポンポンと投げ捨てる人々に驚き、同席していること自体が嫌になってしまったことを、思い出した。そんな気配を微塵も感じなかったのは、やはり「開発途上」にあって「変化」を感じる身体そのものが、振る舞い方として変わりつつあるからではないか。
 
 服装も、日本の若い人たちとそう変わらない。スマホを手にして歩く姿も、まさにモダンのさなか。ちょうど日本の1960年代の後半から70年代前半のような気分だろうか。中国経済全体は高度成長期を過ぎて安定成長に入ろうとしている(とあまり信用ならない統計を見て)思っているが、甘粛省はこれからが高度成長の真っ盛りになるという様子であった。衣食足りて礼節を知る。その衣食の段階を踏み越えて次のステップに入り込んでいるようであった。
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