妙な台風

　何日も前から警戒が報じられていた台風が通り過ぎた。TVの画面で見ていると、台風の中心は埼玉県の中央部を抜けて今、宇都宮の手前辺りにあるらしい。
　当初の予報では、水曜日から木曜日にかけてやってくるようであった。出発時点の埼玉は曇りか雨、合宿地の伊香保は両日とも雨。大きな傘を持っていった。ところが両日とも全く雨に出会さず、傘を忘れないようにもち歩くのに気を遣った。
　そして昨日、夜中から雨。午前中雨衣を着て歯医者に行く。降りは強くなかったのに、風に吹き付けられて、膝上から下のズボン前面がぐっしょりと濡れてしまった。歯医者の椅子に腰掛けるのに、手持ちのタオルを敷いておく必要があった。帰りには、膝上から下の後面が濡れそぼる態。ところがお昼のTVで、雨域と線状降水帯は千葉県に差しかかるというのに、台風の中心は200㌔も西にある。
　午後公民館のストレッチにいった。雨は小降りになっている。ストレッチの代表が「電話をした」という。
　あっ、あなたからだったのか。ちょうどは医者の治療を受けているときだったので、すぐにスイッチを切った、ごめんと謝る。でもなんで？
　あ、いや、台風が来るからこのストレッチを中止にするかどうか相談しようと思って、と言う。
　ははは、あなたそんな歳になったのねと、笑う。彼は私と同じ年の早生まれ。二人欠席していたが、後の人たちはやってきた。運動すると汗は掻いたが、涼しくて、いつもより快適だったくらいだ。
　でも、急遽休みにしたクラブが多かった。でもたいしたことなくて良かったと話すと、公民館の若い職員は、台風がやってくるのはこれからですよ、気をつけてお過ごし下さいと、敬老精神のお裾分けをしてくれた。
　なるほど、夕食時のTVでは、台風の中心はまだ静岡の辺り。でも線状降水帯は千葉県から茨城県に差しかかる。ところが静岡辺りに雨雲は、全くない。なんだこれは？　こういう台風も、百年に一度のなんとかの類いなのかと思ったが、TVはそんなことは解説しない。埼玉県の中央部を通過して宇都宮へ向かう経路を示す。雨雲は、その北東側を一緒に移動して、中心が通過するころには、雲はかかっていない。変なの。
　夜も大した降りにはならず、窓を開け、風を通して過ごした。22℃という気温が、湿っぽさはあったが気持ちよかった。
　今朝９時から自生地の植物案内があるカミサンは雨を心配していたが、局地予報は１日晴れ。TVの「関東大雨、被害甚大」というテロップが、どこの話か不思議に思うほどだ。
　昔、埼玉に住み始めたころ、埼玉って災害がないところ。いいところだから全国から流れ者がやってきて棲み着くんよと自慢して、流れ者の私に嫁を紹介しようかと持ちかけられたことがあった。埼玉は関東の局外地なのだろうか。