mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

曇りのち晴れ、誕生祝いの霧ヶ峰

2016-10-11 10:37:26 | 日記
 
 3連休の土曜日(10/8)朝、霧ヶ峰へ向けて出発した。高速道路渋滞情報をみると、朝7時ころから13時ころまで、関越道の高坂SAあたりも中央高速の八王子ジャンクションあたりも10㎞以上の渋滞。これは適わない。ゆっくり家を出るより、早く出て、のんびり行った方がいいと、朝6時に家を出た。そうすれば7時には花園あたりに行っているはずだと見込んだ。でも、違った。同じように考える人が多いのであろう。大井SAあたりから高坂を過ぎるところまで、止まりはしないものの走るというほどではなく、車列が続く。やっと高坂を過ぎて高速らしくなる。かといって、上田の方まで行って南下しても、霧ヶ峰に早く着きすぎる。そこで下仁田から高速を降り、内山峠を通って佐久に抜け、八ヶ岳中央部の麦草峠を越えて近づくことにした。面白い道であった。
 下仁田から佐久へ抜ける道は姫街道といって旧中山道のバイパスとされた。というだけあって、古びてはいるが集落が点在しよく開かれている。無住となった空き家もあるかもしれないが、外からはわからない。佐久に入ってからは、麦草峠を「目的地」に入れる。最短距離を目安に案内しているのであろうか、狭くて古い町中の道を走ったりもする。やがて山道に入り、高度を上げる。標高1600mの峠の茶屋で一休みしたころまでは、雨も降らず快適な走り。茶屋の駐車場に、若い衆がコーンを置き、ロープを張っている。何かあるのか? と聞くと、まもなくバイクが40台くらいやってくるので、駐車場所を確保している、という。三連休でもあるから、大型バイクに乗って峠越えをするライダーたちがいるのだね。
 雨が降り始めた。麦草峠を越えるころは土砂降りになり、八ヶ岳を越えてしまうとまた、小降りになった。白樺湖畔を通って車山の方へ向い、車山の肩のレストランで孫を連れた息子家族と合流する。嫁さんはネパールへ出張。だが母親のいない寂しさなんか微塵も感じさせない、元気の良さ。10カ月ぶりなのに一週間ぶりというような愛想の良さ。霧ヶ峰で3日間を過ごそうという息子のプランで、駆け付けたというわけ。
 風が強い。山は完全に雲の中。肩のレストランの中ではストーブが焚かれている。お客は少ない。お昼を食べて少し早いが宿へ行く。息子と一緒に13年前に南極観測隊に同行した南極料理人が経営するペンション。建物は古いが、料理はフランス料理の贅沢なもの。毎年1回、夏に使ってきたが、昨年と今年は私の方の法事があって、ご無沙汰していた。
 雨のペンションは、子どもたちにとっては、まったく不都合ではなかった。婆ちゃんとオセロをやる、UNOやトランプをやって遊ぶ。爺ちゃんの持ち込んだパソコンに搭載されているゲームをやって遊ぶ。ペンションの犬と戯れ、漫画を読みふける。なじみの客と何やら外交活動をしている。達者なものだ。
 そうして翌朝、雨の中、お客の誰かに誘われて茸取りに出かける。結構な収穫があったらしい。意気揚々と帰ってきて、翌日の朝の味噌汁に入れてもらうことにしていた。こちらは外に出かけることもできないから、せっせとブログの原稿を書いている。雨が上がったら、同宿の警察犬の訓練をするために来ている方の訓練の様子を見せてもらうことにして、寝転んで本を読む。
 予報通り、10時前に雨が上がった。警察犬の訓練士たちは、犬を積んで出かける。訓練場は(息子が)聴いているらしく、後から追いかける。霧ヶ峰のどこかの萱の原。ちょうど始めるところだった。訓練士が、細い金属製の棒の先にボンボンのようなものをつけて何本か持って歩きはじめる。シェパード犬は「ステイ」とか言われて、じっと伏せて待っている。右へ左へ10mごとに8本ほどの金竿を立て、元に戻ってシェパードを連れてスタート地点に行き、何かを嗅がせて紐を離す。シェパードは地面のにおいをかぎながらゆっくり進んで、金竿を順番通りに回っている。「臭いを嗅いで追跡する訓練です」と、後で話してくれた。この犬、民間人がボランティアで飼っているものを借用して訓練し、「御用」のときには警察に貸し出し、何もないときにだけ家に帰えされてペットになるのだそうだ。ご苦労なことです。4年ほどで百万単位のお金をかけるというから、金持ちのボランティア(節税)なのだそうだ。しかも犬種はシェパードに限ると(この方は)いう。犬の賢さも血統による、と。彼は今のシェパードの10世代くらいを見ているそうだが、シェパードほど血統をしっかりと(何世代にもわたってわかるように)受け継いできているのは、いないそうだ。何だか近頃の脳科学の研究成果を聞いているような気がした。
 晴れ間が広がり、上空の雲はやむを得ないとしても、山の上はかなり遠方まで見晴らせる天気になってきた。お昼を済ませ、御射山近くに車を置いて、歩きはじめる。まずは車山の方へ向かう。孫たちはおしゃべりをしながら、身軽に登る。すぐに汗ばむほどになり、上着を脱ぐ。婆ちゃんはえっちらおっちらついて登る。いいペースだ。山の上に上がると、八島湿原とその周辺の丘が見事にたおやかな緑の曲線を見せて、いい季節が来てことを示している。木道も乾いている。ただ、木道のないところは雨が溜まりぬかるみがあって、それを避けて歩くのに、孫たちは難儀している。そう大人たちが話していると「難儀ってなあに?」と孫娘が聞いてくる。ばあちゃんが応えている。こうして、2時間ほどの湿原巡りを終えて、宿に帰る。風呂が用意されていて、汗を流す。夕食までの時間、またゲームをしたり、傍らに漫画をもってきて読んだりして、遊んでいる。
 10月10日、みごとに晴れた。兄孫が手染めの手拭いをくれた。爺ちゃんの誕生日プレゼントだという。ほほう、これはうれしい。74歳。さっそく頭にまいて、薄くなった頭髪を隠す。朝食後、八島湿原の西側を限る鷲ヶ峰に上る。往復2時間半ほど。孫たちは先頭を奪い合って上る。兄孫が妹孫に気遣って先頭を譲るのが微笑ましくも、痛ましい。登りながらおしゃべりが続く。上から3人が降りてきた。振り返ると、登りはじめに見えていた車山に雲がかかりはじめている。第二のピークについたころには、八島湿原もすっかり雲の下。「雲海だね」と兄孫。見込みよりも5分早く山頂に着いた。婆ちゃんが用意したお菓子をほおばる。諏訪湖の湖岸がくっきりと見える。遠方の雲の間に槍ヶ岳の姿がわかりやすい。南には乗鞍岳が独特の姿を見せる。南アルプスは雲の中に隠れている。山頂へ一人の若い女の登山者がやってきた。車山から縦走してきたそうだ。こうやって晴れ間を縫って歩きに歩いている人がいるんだ。いいねえ。
 9時半、下山していると、次々と登ってくる人がいる。小さな子ども連れも、何組かいる。「ボクがんばってるね」と声をかけると「ボクじゃない、ワタシだよ」と応える。ごめん、ごめん。なんと2歳という子も、自分の脚で歩いている。同行の親も爺婆も、こうして元気な子どもたちと一緒にいるだけで、にこやかになる。やはり予想より5分早く下山した。
 宿に帰り、ご主人にご挨拶して出発しようとするが、その間にも孫たちは宿の犬を連れて散歩に出かけ、車の通り抜け禁止のロープを、くぐるか犬と踏み越える孫とが齟齬して、ワイワイと面白がっている。「とびこえるんだよ」と犬に命じるが、犬はくぐってしまう。ある瞬間に、綱をもった妹孫がとびこえるタイミングで犬もとびこえた。「できたら、頭をなでてやらないと」と兄孫がいう。頭を撫でようとする妹孫に、犬は構わずじゃれつく。
 帰路、昨日警察犬の訓練をしていたところを通って、茅野の方へ向かう。警察犬の訓練は今日も行われていて、飼い主もやってきて訓練の様子を見学している。naviに導かれて下るばかり、どこを走っているか考えなくなった。naviがコーランのような役目を果たしていて、それを守っていれば、何も考えなくてよい。ということは、だんだん人間も動物に近くなっていっているのだ。とすると、近々本格的に登場することになるAIというものが、いまの人間の「知性」の役割をして、人間はすっかり動物化してお気楽になるのかもしれない。全人間の、ムスリム化が完成するということか。それも困ったことかもしれないと思う。
 ペンションで紹介されたうまい蕎麦屋に寄る。連休だから混んでるかもと言われていたが、そうでもない。注文してすぐにそばが茹で上がった。孫たちも蕎麦好き、一人前をぺろりと腹に入れる。ここで、息子家族と別れ、私たちは中央高速を八王子方面へ、息子たちは名古屋方面へ向かう。「バイバ~イ」と孫は陽気にハイタッチ。2週間後にばあちゃんは名古屋を訪ねることにしている。
 naviによれば15時41分に「自宅」に帰着することになっていたが、今日の混雑ぶりからすると、6時に帰り着ければ良しとしようと、ハンドルを握る。その予想通り、事故渋滞にはじまり、連休帰省ラッシュ。ラジオの放送を聞いていると私たちは、40㎞渋滞ラッシュの前の方にいるようだ。後ろの方が渋滞区間が長くなる。小仏トンネルを抜けた辺りから車の流れはスムーズになり、八王子方面は再びラッシュ区間。私たちは圏央道に入り、鶴ヶ島方面へ向かう。ところが関越道がまた「事故渋滞」と表示され、圏央道を桶川へ抜ける。桶川から上尾道を抜けて大宮へ向かうが、この道はまだ新しく、私のnaviに入っていない。20kmほど走ったところで、naviは回復するが、私の経験値の方がスムーズ。そういうわけで、買い物をして、6時半に帰着。いい誕生祝の霧ヶ峰であった。