mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

権現堂堤の桜に浸る

2015-04-01 14:08:36 | 日記

 昨日はまた、気温の高い晴天。29日の見沼用水西縁と東縁のサクラ見物に続いて、幸手市の権現堂桜堤へ足を延ばした。

 

 なぜこの、利根川の支流になる中川沿いの堤防が権現堂堤と呼ばれるのかはわからない。近くに「権現堂」と呼ばれる建物があるわけでもない。そもそもこの土地が、「県営権現堂公園」と名づけられているから、古くからの地名なのであろう。そういえば、権現様の名を冠したサクラはあちこちにあった気がする。ネットで調べてみると、「中曽根の権現桜」(長野県上伊那郡箕輪町大字中曽根、樹齢1000年)、「瀧蔵神社の権現桜」( 奈良県桜井市滝倉、シダレザクラ、樹齢400年とある)、「静岡県熱海市の伊豆山神社の権現桜」(宮宿栄町の伊豆大権現神社には、樹齢およそ700年とされるご神木のエドヒガン桜)、「上山の権現桜」(山形市霞城公園しだれ桜――ふりそで桜と別称)と、いくつも出てくる。桜の種類はエドヒガンであったりシダレザクラであったりする。むしろ、樹齢の大きいものを権現と呼んでいるようだ。「権現様」というのは、菩薩がこの世に姿を変えて現れたものを呼称してきたから、たぶん、樹齢の大きいのを畏敬し尊称して、権現桜と呼んでいるのであろう。家康の東照権現様よりも、こちらの方が普遍性がある。

 

 だが幸手の権現堂堤の桜は、何百年という樹齢にはみえない。たしかに年は取っているが、花の勢いからすると、まだ壮年期という気がする。権現堂堤の桜は「約1km・1000本もの桜の堤と広大な菜の花畑」と「第85回桜まつり」のチラシにある。だが、中川の上流の行幸湖沿いをさかのぼると、さらに6kmにわたって桜が植えられている。そのスケールの大きさが、「権現様」につながるのかもしれない。

 

 「サクラ7分咲き 菜の花7分咲き」と手書きの看板がある。土手の上下に沿って3列、ところによっては4列に、桜が並び、みごとにサクラの回廊をつくっている。「名所」であり「満開」とあって、何か所もの駐車場は一杯。ウィークデイだよ。3月末日、そうか、春休みか。

 

 私はカミサンと電車で行った。東武線・幸手の駅を降りて、桜まつりのチラシと地図をもらう。バスもあるが、この土地は初めて訪れたから、権現堂公園まで2kmを歩く。できるだけ車の通らない道を歩いたのだが、これといった風情があるようにも思えない。ごく普通の町並みがつづき、大きな国道が町の中央部を貫いている。その北端に公園があった。

 

 土手下の桜並木に沿って屋台が店を並べる。焼きそば、たこ焼き、ビールなどなど、お弁当を持ってこなくても困らない。人の波が向こうからも来る、こちらからも行く。車椅子の人もいる。小さい子どもを抱いたり肩車したりしている人もいる。ところどころで立ち止まって、ケイタイを自分に向けてシャッターを押している、若いお二人さんもいる。川の方の土手下では草地にシートを敷いてお昼を広げている人たちが、これまたたくさんいる。桜の花の色で噎せ返りそうになりながら、その気配にゆっくりと身を浸す。サクラの花越しに土手から見下ろした川辺のところに菜の花の畑がある。サクラの色と菜の花の色がモザイクになって気分が浮き立つ。

 

 権現堂堤の末端まで行ってから、川縁の方へ降りる。河原はもう一段下にあって水が流れているが、中段の川縁が広く、一面の菜の花畑。その中を散策する人の姿が、絵の中の人物のように点景になる。そこから眺める菜の花とサクラが、一幅の絵のように左右に広がり、春爛漫に浸っている気になる。そこにもまた、ポツンポツンと桜が植えられていて、木札がついている。各都府県から贈られた桜の木を記念植樹しているようだ。オオシマザクラやエドヒガン、ヤマザクラといった原種から、ソメイヨシノやマメザクラ、冬桜やシダレザクラなどもある。一渡り見てから川に架かる橋を渡ると、中川へ流れ込む一部をせき止めてつくられている行幸湖岸に出る。

 

 それを東側へ回り込んでつづくサクラ並木に沿ってすすみ、湖の対岸に腰を下ろしてお弁当を広げる。こちらは静かだ。湖の中央にしつらえられた噴水が、ちょうど正午に吹き上がり、10分ほどの水の立体をみせる。お昼を済ませ、東岸を歩き、船渡橋で西岸にわたって、さらに上流へつづく湖岸の桜並木の花の下をぶらりぶらりと行く。ところどころにシートを敷いてお弁当を広げている家族連れやお二人様がいる。湖には、コガモ、ヒドリガモ、オオバン、バン、カンムリカイツブリ、カワウ、カルガモがいる。左側には広いグランドが現れ、公園があり、明るい陽ざしを受けて子どもたちが遊んでいる。はて、東武線の南栗橋駅へはどういったらいいのだろう? 傍らにいた人に尋ねるが、彼もまた、わからない。ままよこの並木の終わるところまでとすすむと、国道と交差するところで「←南栗橋駅 1.5km」の道路標識があった。道路をくぐる通路も設えられている。

 

 別れた道沿いに畑のつづく道を西へ向かうと、遠くに電車の走るのが見える。ああ、あの辺りだと見当をつけてゆくと、ぴたりと南栗橋駅に出た。なんと、効率のいい歩き方よ。この駅始発の急行が出ていて、1時間かからずに帰宅した。約17000歩、13kim余の桜見物であった。