折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

邦楽とジャズピアノの競演~東京邦楽合奏団定期演奏会

2010-06-15 | 音楽
幼なじみのKくんと一緒に行っているコンサート。
今年3回目になる6月例会は、これまでとちょっと趣向を変えて邦楽の世界をのぞいて見ることに。

先日、東京邦楽合奏団の定期演奏会に行って来た。

第1部は、尺八、筝、十七絃筝の織りなす純邦楽の世界。

邦楽演奏を聴くのは初体験と言うKくん。

『雅(みやび)と郷愁の響き、和の世界。癒されるね』

とはじめて耳にする和楽器の音色に興味津々の様子。


第2部は雰囲気を変えて、モーツアルトのメドレーで始まる。

和楽器が奏でるモーツアルトのメロディーにくつろいだ、おだやかな雰囲気が客席に広がる。(特にピアノ協奏曲第21番第2楽章が素晴らしかった。それにしても、演奏会の司会も兼ねている坂田誠山さんが、モーツアルトやビートルズを演奏するとお客さんが喜んでくれるんですよ、と苦笑いを浮かべて話す時の何とも複雑な表情が印象的であった。)

しかし、次からのプログラム、本演奏会の呼び物ジャズと邦楽の競演が始まると雰囲気が一変する。



ジャズピアニストケイコ女史と邦楽との異色の競演。


そして、エンディングの曲―Shu-Mo-Ku(シュモク・撞木)では、ジャズピアニスト ケイコ ボルジェソンさんと尺八の坂田誠山さんの競演という異色のコラボレーションが始まる。

彼女のきらめくようなピアノに誠山さんの尺八が呼応する。

火の出るような、息詰まるような両者の掛け合いが続いて行く。

わずか1尺8寸たらずの尺八がピアノの音と互角に競い合うこと自体容易でない筈だが、ケイコ女史の演奏に触発されて、誠山さんの演奏はあたかも尺八の神様が乗り移ったかのようである。

二人の音楽家のオーラが会場を包み込み、聴衆は魅入られたように聴き入り、演奏が終わると盛大な拍手が会場いっぱい響き渡った。



舞台と客席が一体となって盛り上がったエンディング。

そして、アンコールに応えてケイコ女史がピアノの弾き語りで「サマー・タイム」を熱唱すると、場内から期せずして手拍子がわき上がると言う異様な盛り上がりの中、『これ本当に邦楽演奏会なの』と目を疑いたくなるような興奮のエンディングとなった。