折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

生きた教訓~苦言を呈した居合の師

2009-09-09 | 武道
先日、仲間に連れられてS大学の武道場で行われている居合の月例稽古に行った時の話である。

この日は、「段位審査会」が間近に迫っているということもあって、30名を超える人が集まった。

そして、3時間たっぷりと汗をかき、稽古が終了。

               


全員が正座して、教えていただいたそれぞれの先生方から講評を拝聴する段になった時、或る先生から厳しい叱責の声が。


皆さんが、道場に入る時に履いてきた履物だが、脱ぎっぱなしで実に見苦しい。私が修業している頃だったら、みんな外に放り投げられていた。

あなた方は、居合の礼法は恭しく、それらしくやっているが、実際の生活では履き物の脱ぎ方一つまともにできなくて、何が礼儀作法か。そんなことで、本当に居合の心がわかっていると言えるのか、居合の精神が身についていると言えるのか。稽古の中でできていても、それが実生活の中で活かされなければ、本当に居合をやっているということにはならない。


それは、当日稽古に集まった全員に猛省を促す一喝であった。

道場内は静まり返り、皆、頭を垂れてうなだれている。

八段の先生が、「居合の精神を実生活に生かすための良い教訓となった、この教訓を忘れないように」と引き取って、その場を収めた。

小生も、その「履き物の脱ぎ方さえまともにできない」一人であり、顔から火が出るほど恥ずかしい思いでいっぱいであった。

そして、この教訓の中に今回の段位審査会の「学科問題」の一つである

武道を修練する心構えとそれを如何に日常生活に活かせるか、考えを述べてください。

という出題の解答を見つけたように思った次第である。

初めてのS大学での「月例稽古」、ほろ苦くも心に残る稽古となった。