折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

災いを転じる

2008-03-17 | 武道
現在小生が練習に通っている居合道・抜刀道の支部は、発足以来A先生(居合道7段、抜刀道範士8段)とB先生(居合道錬士6段、抜刀道教士7段)お二人の指導による体制で今日までやってきた。
 
そのお二人の先生方のうちB先生が脳梗塞で倒れ、半身不随、長期の療養が必要との知らせがもたらされたのは、1月半ば過ぎのことであった。

B先生は、支部の運営、各メンバーの指導等をほとんど一手に取り仕切ってきた当会のいわば『大黒柱』的存在の人で、われわれはこれまでそれこそ先生に『おんぶに抱っこ』、先生に頼りきってきた。

そんな状況下での『先生倒れる』の知らせにメンバー一同びっくり仰天、周章狼狽すると同時に、先生の後継者となるべき指導者はまだ全然育っていないだけに、先生の代わりを務まる人がいるのだろうか、これからどうなってしまうのだろうかと不安と動揺が走った。


急遽、A先生を中心に善後策が話し合われた結果、A先生はこれまでどおり居合、抜刀の両部門を総括的に見ることとし、日常の稽古の指導は居合はCさん(4段)、抜刀はDさん(5段)の二人が責任者としてA先生を補佐することが決まった。

      
      4月に行われる昇段審査を前に稽古に精進する受験者の皆さんと演武を
      見守るA先生(正面)


そして、新たな体制がスタートして2ヶ月。

当初の不安、動揺もどうにか収まってこれまでどおりの稽古が行われているが、これまでと違った新しい動きがいくつか見られるようになってきた。

抜刀部門の方は、新しく指導を託されたD5段が『水を得た魚』のように積極的にリーダーシップを発揮し、これまでの稽古方法を踏襲しつつ、Dさんがあちこちの支部に出かけて学び、吸収してきた技や練習方法を自分なりに工夫して新たにわれわれの練習に取り入れ始めたのである。

これまでDさんは日頃稽古には一切差し出がましい口を挟んだことがなかっただけに改めてDさんの抜刀道に対する姿勢、精進振りにわれわれも大いに共感し、新しい指導者の下稽古にも活気が出つつある。

一方、居合部門の方もやはりこれまで、余り差し出がましい口をはさまなかった段位の上位の中堅メンバーが、段位の下位の人たちへ技術的なアドバイスをする姿が見られるようになってきた。これまでのように、一方的に教えられるのではなく、意見交換をしながらお互いに切磋琢磨していこうという雰囲気が少し芽生えてきているのは1歩前進と言えるのではないだろうか。

まだ、まだ新体制になってから2ヶ月そこそこであり、これらの動きが定着していくのかどうかは、しばらく様子を見なければ何ともいえないが、少なくとも現時点では『B先生倒れる』という当支部発足以来最大のピンチをメンバーの結束で乗り越え、あわせて指導者の若返り、世代交代がはからずも行われることにもなった。
これこそ『災い転じて福となす』と言えるのではなかろうか。