折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

素晴らしき出会い

2007-04-11 | 友達・仲間
先日、静岡県Y市へ大学時代のサークル仲間4人とお花見を兼ねて本場の『ミナミマグロ』を食べに行って来た。

その時期、桜はまだ見頃にはなっていなかったが、ホテルで食した『ミナミマグロ』の味は、格別であった。

しかし、このミナミマグロに勝るとも劣らぬ『ご馳走』は、気の合った仲間同士が延々と繰り広げた『清談』ではなかったろうか。

時の過ぎるのも忘れて、7時に始まった宴会を皮切りに、深夜1時半頃まで、まるで物に憑かれたように話に熱中する姿は学生時代を髣髴とさせ、つかの間の時間一同を『青春時代』へと連れ戻してくれたのであった。

そもそも、この旅の発端は昨年の暮れ同じメンバーが集まって飲んでいる席で、H君から次回の集まりは、自分の地元のY市で本場の『ミナミマグロ』を食べながらやろうという提案によるものであった。そして、その席上彼から自分の「甥」と結婚することになっているベトナムの女性が、静岡でベトナム料理の店をやっていて、日本のことを勉強しているのでぜひ会って、色々と参考になる話しをして欲しいと言う話があったので、旅行の二日目に昼食を兼ねて彼女の経営する店を訪問する。

食事をしながら、主として日本とベトナムの文化論を中心に、それぞれ一家言を有する我々の仲間が自説を開陳し、それに彼女が打てば響くように反応し、そんなやりとりがとどまることなく続き、次第に共鳴、共感の輪が広がって行ったのであった。

H君が、会ってもらえばわかるよ、話してみればもっとよくわかるよと力説していたが、まさにその通りで、小柄で愛くるしく、優しい表情と美しい日本語と日本人以上に日本人の心を解する知的な受け答え(同行のO君、T君の感想)そして、瞬時に回る頭の回転の速さに一同すっかり魅了され、H君が自慢するのもむべなるかなと納得した次第である。
話の中で、彼女もブログを書いているというので、URLを交換し、帰宅後、早速彼女のブログを開いて見た。

ブログも、会話に負けず劣らず正確な美しい日本語で書かれていて、内容も実に素晴らしい。

ここでは、新婚生活を始めるためアパートに引っ越した後に書かれた、『家』と題するブログが特に印象的だったので、その一部を掲載させていただく。


『家』

(中略)

ところで、主人は『毎日朝から夜まで店に居て、アパートはただ寝る所だからこだわらなくてもいい』と言っていますが、私にとってはそれほどつらいことはないです。

たとえ毎日そこにいる時間がわずかであっても、家は最もくつろげる場所、最も食事を美味しく出来る場所、最も会話が出来る場所、最も本音を言える場所・・・・でなければならないと思います。ですから、家を大切にしたい、いくら粗末なアパートでもそこでちゃんと生活が出来るよう物を揃えたい。いつでも料理を作れるように台所をきれいに整理したい、好きな物を飾りたい、そして、何より夫婦の会話をいっぱいしたい。するつもりで頑張ります。


そうなのだ、ちょっと前まで日本の多くの家庭でも、こう言う考え方が暮らしの中に確かに存在していたのだ。

そして、このように人を、そして家庭を思いやる心があれば、今の世の中に横行している『子殺し』、『親殺し』、『熟年離婚』と言った現象など起こりえない話なのである。


今の日本人が失ってしまったもの、失いつつある人間として本来持つべき考え方をベトナムの女性がしっかりと自分のものとして持っていて、実践して行こうとしている姿に新鮮な驚きと感動を覚えると共に、これからの彼女の人生に心からのエールを送りたいと思った。