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奥野和彦

妄想鉄道 6

2012-02-24 23:19:48 | 写真
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我が社の鉄道建設は工事半ばにして
昨年の秋の終わりに台風45号が吹き荒れ、
現場は、非常に落胆し
以後、遅々としたペースになったが
車輌製造部門において大分遅れを取り戻して来た。

まだ、開業もしていないのにすでに
熱烈なファンがいて、冷真君と言うが
開業時には是非立ち会って頂きたく、
しかもお正月ぐらいには…と言っていたのを
春休みには… と延ばしているので
何とか、それまでに車輌の方を間に合わせたい。
多分、そのまま社員に登用される事だろう。

前にも書いたかもしれないが
機械に心や気持ちはないが、人は時として
機械にも擬人法を用いて、思い接する事がある。
もう10万キロを超えた愛車が、冬場はエンジンを
かけると暖まるまで軋むような音をさせるので
つい、大丈夫か? しっかりしろよな。
と心の中で思う。カメラ、ノートパソコン、
調子が悪いな、と思えば どうしたお前… となる。

バナナは有機物だが
収穫して流通経路にある間に、ファイトがでる曲を
聞かせてやると糖度が増す、というニュースをNHKが
していた。AKBのヘビーローテーションを聞かせると
聞かせないものより、甘くなったそうだ。

中学生の頃にしまってあった
機関車を出してきて、そのまま働いてもらおうと
思っていたが、あちこち塗装が剥げていて
それはそれで、貫禄があっていいのだが
禿げた所には真鍮の金色が出る。
実物は真鍮で出来てはいないので、金色の下地はない。
これから続々塗装作業にも入る為、この際こいつも
きれいにしてあげようと、シンナー風呂に入れて
ラッカーをきれいに落としてやる。
なくなっていた運転室後部の壁も真鍮板をハサミで切って
作っているからボコボコだけど、大抵の軽便の機関車なんて
こんなものだった。と思う。
ボコボコなれど、手入れの行き届いた可愛い機関車と
言えば、そう見えて来るでしょう?

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いつもは支線で働いている機関車が
今日は久司浦駅の本線上のホームに停まっている。
 おーい! と運転して来た運転手が駅事務室の中に
声をかける。

 今日テレビの取材来るんじゃろ。

 おぅ、ほじゃけどここまでは来んで。
 下弓削でしまカフェじゃ、商船学校じゃ取材してのぅ
 ウチとこの紹介も下弓削の構内でちょっと
 写すだけじゃろう。

 そうじゃろ?ほじゃけん、これ持ってっとこうか
 思うての。

 おお、そりゃええのぅ! 
 テレビに写しちゃろう。そりゃええ、そりゃええ。
 ほんなら、ちょっとお粧しせにゃいけんのぉ。

 ワシがか?

 アホか…お前は
 ロコじゃ、ロコ。

 分かっとるわ。じゃけん ちぃと洗うの手伝うてくれんか。
 給水塔のホースで水かけりゃえかろ?
 いっそ次の昇りをこれに客車引かせての。

 ほんだら、そうしようわい。
 客車も洗おう、一緒に。
 冷真がのぅ、さっきまで茶飲みよったんじゃが
 また機関庫行って運転席座りょんじゃろう。

 おーい! 冷真~… 。仕事じゃ、仕事ォ~。