今日を遡ること40年前の1973年5月25日、リチャード・ブロンソン率いる新進気鋭の新レーベル、ヴァージン・レコードから1枚のLPレコードが発売された。それが、マイク・オールドフィールドのデビュー作「チューブラー・ベルズ」。(同時に発売されたアーティストはヘンリー・カウ、ファウスト、タンジェリン・ドリームの4アーティスト。)
一人で2400回ものオーバーダビングを駆使して製作された本作は映画「エクソシスト」のテーマにも使われ大ヒット(全英1位、全米3位)、今や巨大なヴァージン・グループの礎を築いた作品として知られているが、今、改めて聴きなおしてみると、そのような歴史的な意味合いだけでなく、純音楽的な素晴らしさに改めて驚かされる。(とても僅か19歳の作品とは思えない。)
このチューブラーベルズ、今に至るまで所謂プログレッシヴ・ロックの名盤として語り継がれている訳だが、実際の話、圧倒的に聴かれる頻度が高いのは、映画エクソシストにも使われた印象的なイントロ、それに様々な楽器がソロをとっていくパートⅠ(LP時代のA面)なのではないだろうか。
確かにパートⅠは素晴らしい出来なのだが、マイク・オールドファンとしてはパートⅡ(LP時代のB面)についても、もっと評価されてもらいたいし、聴かれて欲しいと思うのだ。
ストレンジな感覚の導入部からハード・ロックへと変化し、オルガンをバックに情緒的なギターが奏でられた後、トラッド・ナンバー「セイラーズ・ホーンパイプ」で幕となるパートⅡ、パートⅠほどドラマティクな展開ではないものの、一種独特、マイクならではの音宇宙が堪能できる。
やはり本作(に限らず初期のマイクの作品は全てそうだが)はパートⅠ、パートⅡとアルバムトータルで聴いて欲しい。
個人的には、マイク・オールドフィールドの純音楽的な最高傑作は4枚目の2枚組大作「呪文」、一番好きな作品は3枚目の「オマドーン」ではあるのだが、やはり、代表作ということになると「チューブラー・ベルズ」ということに異論はない。
発売40周年を迎えた永遠の名作「チューブラー・ベルズ」、より多くの方に聴いてもらいたい…と切に祈る次第である。