いつもの年なら、必ず、この時期ふるさとにお墓参りかねて、お母ちゃんのとこに帰ってたんだけどね、今年は、帰れなかったから、いいかな~って選んできたTシャツと、カセットテープでも送ってあげようと思ったんよ
お母ちゃん、体が、前みたいに自由に動けないから、どうしてもベッドにいる時間が長いし、テープなら自分でいつでも聞いてもらえるかな、、、と思ってね
でも、我が家に、テープを吹き込めるデッキが、もう無くて、あったと思ったものは、もう壊れてて、電気やさんやいろいろ探した結果、一番安いのを買ってきた
何がいいかな~って考えて、夏だし、いつもこんなころは、子供たちに読んで聞かせてた『かわいそうなぞう』を吹き込むことにした
絵もコピーして、一緒に送ってあげたかったけど、ちょっと時間もなかったし、声のテープだけ送りことになったよ
「お母ちゃん、絵なくても、読み聞かせの声だけで、分かるかなぁ・・・」って、まさちゃん、ちょっと不安に思いながら、テープに吹き込んで行った
誰も居ない部屋で、デッキに向かって、子供たちに読み聞かせるように、読んでいった
だんだん、自分の気持ちも、お話に入っていって、読んでる声も力強くなっていったよ
『かわいそうなぞう』って、お話
みんな、もう知ってると思うけど、戦争で上野の動物園の動物だちを、爆弾が落ちてオリが壊れて動物が町に逃げ出すと危険だからって、ライオンも、トラも、ヒョウも、クマも大蛇も毒を飲ませて殺したんだってね
そのころ、上野の動物園には三頭のぞうがいて、ぞうも殺されることになったんだけど、、、、
毒を入れたじゃがいもを普通のじゃがいもに混ぜて食べさせようと思って利口なジョンは食べなかった
そこで、注射をしようとしてもぞうの皮に針も折れてしまって、食べ物をいっさいやらずに、とうとう十七日目に死んだんだって
続いてトンキーとワンリーも、毎日えさをもらえない日が続いて
「えさをください。」
「たべものをください。」と係りの人にせがみながら
最後には、お互いにぐったりとした体を背中でもたれあって、芸当をはじめました、、、
トンキーもワンリーも、よろけながら一生懸命に・・・
ぞうかかりの人はたまらなくなって、えさのある小屋へとびこみ、えさをかかえて、ぞうの足ものへ、ぶちまけました
どちらも、鉄のおりに、もたれながら、やせこけた鼻を高くのばして、ばんざいの芸当をしたまま、死んでしまいました。
ちょっと、中途半端な、お話の紹介だったけど、、、、
このぞうのお話は、実際にあった話で、今も上野の動物園にはお墓があるらしいよ
お母ちゃんに、テープ送って、感想を聞いてみた
「お母ちゃん、ちゃんと聞いてくれた?」
「あぁ、聞いたよ ぞうさんのこと、知らんかったわ~」
「ぞうさんまで、犠牲になって、、、、戦争はアカンなぁ・・・」
戦争の真っ最中に若いときを過ごしてきた母が、しみじみを電話の向こうで言ってたよ
パパさんが、二人でいつもよく行くスーパー銭湯で、お湯浮かべるこんな可愛いものを知らない間に買って来てた
なんだか、ペンギンさんのお腹が、パパさんそっくりだわ~
さ~ぁ今日も一日ガンバだよ~
元気出して、やるべきこと、ちゃんとしなくちゃね
いつもみんな、忙しいのに来てくれて、ありがとうね
ありがとう、ありがとう
コメントのお返事、少し遅くなるけど、ごめんね