みなみけはファンタジー

2011-02-20 23:48:08 | 未解明
こないだから向こうみなみけとか桜場コハルのことばっかり考えている。

「みなみけ」は典型的なサザエさん方式である。何年経ってもチアキは5年生でカナは中学2年生、ハルカは高校2年。
こいつらに受験というものは存在しない。高3の保坂にも無い。
こいつらは働いておらず、まったく遠慮なく常に遊んでいる。お金がどこから出てくるのかなど誰も考えない。

みなみけの時空に若干特殊な点があるとすれば、藤岡のクリスマスイベントが少なくとも二回発生していることが挙げられる。
何年か前のクリスマスでふじおかをもらっているわけだが、しかしふじおかは夏にも春にも出てくるし、クリスマスにも出てくる。最初にもらったときは実はチアキが4年生のころだった、と解釈することも不可能。時系列に矛盾無く説明をつけることは絶望的となっている。
またこの方式を採用する作品は、時代が進むにつれて当初は戦前生まれだった人物が生年を言及しなくなったり、携帯電話を普通に使いこなすようになったりするが、今のところ「みなみけ」はあまり時間が経過していない印象を受ける。いちおう時代は平成のようだが、未来永劫ずっと平成のような気がする。
(たとえば五千円は樋口先生のようだ。どっかのCMではまだ夏目先生が現役であるな)

同じヤンマガで連載していた「でろでろ」はみなみけと類似したタイプのサザエさん時空だったが、これについては重大な仕掛けが用意されていた。本当に重大だった。
同じような日常ショートである「侵略!イカ娘」もまた特殊な時系列を採用しており、こちらはいつまで経っても夏休みが終わらない。この時間が異常であることは作中の人物も薄々気付いているが、漫画のお約束的な扱いとされて深く追求されない。たまに冬になったりするが、夏に戻っても時間が経過している様子は無い…(特に最近は単行本の発売時期に合わせて、描き下ろしで夏以外のエピソードを載せている)
「エンドレスエイト」もこういった作品の派生と言えるのかもしれない。見るほうにとってはたまったものではなかった。
いっぽう「よつばと」は夏休みが終わってしまった。それが最終話というわけでもなく普通に続いている。
エンドレスエイト方式(なんだそりゃ)のダークホースとされる「アカギ」は舞台が60年代なのにツイッターとか出てくるようになった。どうすんだあの漫画。
強烈だったのは「ピューと吹く!ジャガー」。ループに見せかけて……。これまでもマサルさんのように同じ学校に留年し続けるという設定の作品はあったのではあるが、ジャガーは十年連載した作品だけに許される最強の技だった。同時にいろいろ困った。読み返すのがつらくなるね!

「みなみけ」がどういう理由で時間経過しないのかは定かでない、というか理由などないのだろうが、でろでろに近い状況にあるように感じる。漫画だから…で済ませるよりも何らかのSF的理由があると考えたほうがしっくりくる。
みなみけは日常漫画に見せかけてそうでない部分がある。両親がいない三姉妹が住んでるマンションをはじめ、舞台設定がご都合主義というより、若干不自然である。日常と切り離せないはずの授業や部活動が恐ろしいほどに無視されている。あれはいつも家でダラダラやってる漫画で、常に遊んでいるシーンしかない。時間が経過しないのも不条理の一部ということ。
遊んでる漫画だから一番主人公に近いのは特に目立った能力を持たないバカ野郎の夏奈であり、次点が意外と遊んでる千秋であり、春香姉さまの影がときどき薄くなりがちなのは南家の家事等の暗黒面を引き受けているためなのだ。

しかしリアルが無いわけではない。むしろリアルだと感じるところがあるから読んでいて違和感が無い、読みやすい。ここで起こる遊びはリアルな遊びばかりだから、淡々としていて過度に期待はできないのだけど、疲れない。
嫌な未来が永遠に訪れない。この楽しさは危険なものかもしれない。
千秋には父親の記憶が無い。春香にはある。なぜだろう。