落武者の行方

09.02.02>>>迷走中?(since 04.09.13)

イイダ傘店「傘骨-Grave of umbrella-」

2008-07-29 | art
ざざっと行ったのをいくつかチョロッと記事にしてみる①



omoh gallery | Iida umbrella shop"Casahone"

omoh galleryで8月3日まで開催されている、イイダ傘店「傘骨」に行ってきました。

omoh galleryはまだ出来たばかりのギャラリーで、以前はファッションブランドのYAB YUMがブティックを開いていた場所です。
ブティックだった時に行ったことがあるので迷いませんでしたが、初めて行く人にはちょっと分かり辛い場所です。人様の敷地に入っているような気分の所に住宅に紛れて建っています。
1Fがショップ、2Fがギャラリーという構成です。とても小さくて、ブティックの時も知人の家に行ったような気分になる空間でしたが、今回も誰かの小さなアトリエに立ち寄った気分でした。

スタッフのお話によると、以前の木造建築が耐震問題で建替えになり今回鉄骨で新築、内装外装は自分たちの手で行ったとのこと。
「自分たち」というのは、YAB YUMのデザイナーであるパトリック・ライアン氏がムサビで教えたゼミの卒業生達で、運営しつつ彼らのクリエイションの発表と販売の場ともなっていく、とのことです。
実際1Fのショップではイイダさんの傘や、YAB YUMのモデルも勤めていた今日お相手してくださったスタッフの服、青山のラブレスのショウウィンドウを飾っていたぬいぐるみなど様々なものが置いてあります。
まだ数は少なかったですが、これから増えていくとのことでかなり楽しみ。


それで、イイダ傘店の「傘骨」。
イイダ傘店自体は、かなり前からなんでか知りませんが知っていて、最近ではドラマのおせんに提供したり、隈研吾氏と共同したりと色々なところでコラボレーションを行っており、だいぶ注目度が増しているようです。

ただ、今回の展示はイイダさんのつくる愛が溢れる新しい傘、ではなく、うち捨てられた傘の骨。
暴風にぶん殴られたのか、誰かをぶん殴る武器にされたのか、曲がった骨だけになった傘(だったもの?)が何本も吊り下げられている。

ただそれだけで、造形的な面白さ、こんなのわざわざつくろうとしてもなかなか造れない、ていう面白さは勿論あるのですが、それよりもイイダさんの通常のクリエイションである傘をそのあと1Fで手にとると、ビル風に敗れ去り亡くなっていった数々の500円のビニル傘の姿が走馬灯のように駆け巡り、「良い傘ってホント、なかなか無いですよねぇ」とか言いつつ結局安いビニル傘使うから何の愛着もなくて次から次へ自分の身代わり、盾となってお別れする。
そういうものを傘のつくり手であるイイダさんが拾いあげてこうして見せている、と思うと、やはりちょっと考えてしまう。

傘だったもの、であり、傘の骨であったもの、であってもう傘ではない。
それが結果的に造形的魅力があって吊るされて観る者の目を楽しませるとしてもやっぱりこんなものがいっぱい生まれるのは良くない。
単純だけれども、イイダ傘店飯田純久氏の傘への想いを感じてしまいました。




なかなか手に入らないので、一本買って帰りたかったけれど、財布がそれを許さず。