落武者の行方

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「KIRIN ART PROJECT 2005」

2005-10-26 | art
TAMADA PROJECTS ART SPACE | "KIRIN ART PROJECT 2005"



KIRIN ART AWARDの次なる段階として始まった、KIRIN ART PROJECT。
今回は公募で選出されたのは4組の新進アーティスト、石上純也、大森隆義、カワイオカムラ、淀川テクニック。それぞれに五十嵐太郎、椹木野衣、後藤繁雄、ヤノベケンジのゲストキュレーター4氏がサポートとしてつき製作発表、これにゲストアーティスト束芋が加わる形式での展覧会となりました。


お目当ての石上純也のテーブル。
簡単にご本人について説明すると、石上さんは妹島和世建築設計事務所で妹島さんの重要なブレーンの一人として活躍、DIOR表参道なんかの担当だった気が・・・、2004年に独立し先日のミラノサローネに出展するなど今最も注目を集めている若手建築家の一人。
という感じでしょうか(雑誌のプロフィール欄みたいだな・・・)。
いや、凄いんですよ、もう板が浮いているというより線がそこにあるような感じで。その衝撃的な部分は凄く大事だと思うんで、あれで良いならよいと思うんですよね。ご本人が。
ただ、やはり鉄板が歪んでいたりとか、既に天板と脚の接点は90度でなかったりとか、「構造計算の上、あらかじめつけておいた反りが自重で戻って水平になる」はずが落ちすぎてしまったりとか、極めつけは同じ時にいた人が多分軽く触ったんだと思うんですけど、長手方向を軸としてもの凄いシーソーみたいに揺れてしまったり・・・「地震!?」みたいな勢いで。
色々欠点が目立つのも確かですが、定点カメラで撮影していたことからも更なる改善を試みようとしている、つまり当然のことながら石上さん自身全く満足していないんだと思います。そうであれば、とことんまでやって頂きたいな、と。現状では、アートとしてもメンテナンスに手間がかかりすぎて展示出来たものではないし、もちろん日常に入り込むなど不可能(サイズが小さくなれば別ですが)。でも、さらに凄いものになる可能性満載だと思うので、これからも期待しています。
なんだかこれでは、石上さんにテーブルだけ創ってください、と言っているみたいでなんとも(笑)建築家としても注目してます。妹島さんはもちろん、石上さんの考えって「すごい模型的なところがあるなぁ」と思っていたのですが、ご本人が実際そういったこと言われてますね、インタビューで。

それから大森隆義。
個人的に群像作品(タイトル忘れました)でされてるような人物表現があまり好きではないので、最初「・・・。」という感じだったのですが、観ているうちにそれなりに面白くなってきたり。でも何が面白いんだろう・・・と考えると出てこない。"女性像"や"確かなもの"なんかどうみても現代での焼き直しですよね、普通に観れば。でもイヤじゃかったんです。
選者の椹木さんもはっきり「賭けだ」と言って何が良いのかはっきりわからないようなのですが、まさにそれ。ただそこに次代をみたとのことで、こういうことになったようですが、今の僕にはそこまではわからない。そこがちょっとだけ悔しくて(笑)名前をしっかり覚えておこうと思いました。
大森隆義、おおもりたかよし・・・。

カワイオカムラの"ヘコヒョン"。
シーンごとに瞼に残るものはあっても、冗長というか観る気があまりおこりませんでした、失礼ですが・・・。
他の作品はどうなんだろうか。

淀川テクニック。
なんというか、遊びだとか楽しみの延長のような空気が最初感じられてそれがドド~ッとなだれ込むように展示されてるものだから少しだけひいたんですが、観ているうちに惹きこまれた。その理由が他でもない最初の印象だったんですね。
彼らには(おそらく)美術大学で学ぶような素養、はあまり無いのかもしれない。だからってそれが何。その代わりと言ってはなんですが、限りない感覚と自由を持っているのではないでしょうか。
廃材を離れた時、二人がどうなるのか予想はつきませんが珍しくストレートなパワーに見守りたい気分になってしまいました。

最後に束芋の"ギニョる"。
これまでどちらかといったら現実的なモチーフでわざわざ気持ちの悪いイメージを創りだしていたため苦手な人もいたようですが、今回はギャラリー小柳で発表した作品(観逃しましたが・・・)をベースに指生物というかなんというか、とにかく指がモニャモニャぐにょぐにょしている塊がいっぱいあって、たまにそれがキャタピラミシン(このミシンはおそらくタイトルのネタとなったフランス語、ギニョル=指人形、というところからきているのかと)で縫われていく。ところどころ血管のようなものが浮き出ることもあったりと、モチーフ自体が微妙に気持ち悪いので逆にいやな感じがしなかったのではないでしょうか。え、しますか・・・?
僕はと言えば、もともとそういったところに敏感には反応しないのでこの作品も楽しんで観られました。


さあ、どうなることやら、ですね。