更年期を調べてみると「卵巣の機能が衰え始め、最終的にその機能が停止する時期」ということだそうです。
簡潔に言えば「妊娠可能な期間を終える」ということですね。
この時期、加齢に伴い急速に性腺機能が低下し、特に卵巣では卵胞発育・排卵・黄体形成の一連の機能が停止し委縮します。これに伴い卵胞ホルモンであるエストロゲン分泌が低下し、様々な症状が出現します。これが更年期の症状を引き起こし、その症状は多岐にわたります。
余談ですが、日本人の平均閉経年齢は50歳だということです。
思春期や成熟期などと同じように、誰もが通る道なのですが、症状がきついと精神的にも参ってしまいますし、更年期症状を放っておくと脳血管のトラブルや骨粗しょう症を招きやすくなります。
とりあえず時期が来れば必ずよくなるのですが、単に通り過ぎるのを待つだけだと、上にも書いた「脳血管疾患」や骨粗しょう症を招き、それが災いして寝たきり状態になることがとても恐ろしいですね。高齢になって入院生活が続くと極端に筋力や意欲が落ちてしまい、痴呆への階段を駆け上ることにつながります。早め早めの処置でQOL(Quality of Life、生活の質)を落とさないようにしたいものです。
更年期症状としてうつ的な症状が出ることはしばしばありますが、病的な「うつ病」とはちゃんと区別しないといけないので、専門医にみてもらいましょう。
東洋医学的に考えると、このウツ的な症状が強い更年期症状は肺経のチカラが弱い場合が多いようです。あとで少し考えてみます。
「うつ的な症状」は、何かをするための気力がなくなる状態ですから、病的な状態にまでに落ち込んでしまうと、悪循環に陥って、自力では状況を改善することができなくなることが本当に多いです。
東洋医学的にはこれらの症状を踏まえていろんな処方が考えられます。
例えば……
肝経
肝の病症によるものであれば頭痛やめまいイライラして怒りっぽい、ヒステリーや不眠症などが主症状の場合が多いようです。
脾経
これが脾経の場合、体が重く、ふしぶしが痛くなったり、とにかくだるいとか、下痢や便秘に苦しむことが多いです。
肺経
肺の場合だとウツ的な場合が多いですね。精神症状に来る場合は肺経をしっかりさせるようにします。
心経
心経だと、手足がほてるとか、口が渇くといった症状が出ます。後微熱が続くような場合もあります。
先日の7回目の40代後半の女性患者さんは、更年期の不定愁訴で肩凝り、頭痛、閉所の恐怖感で来院されてますが、異常に手足がほてって気になっていました。このほてり感が6回目までの治療でかなり軽減し、先回聞いてみると頭痛が無かったとのこと。電車に乗ると呼吸が浅くなり、パニック的な症状がでていたのですが、これも本当によくなったと喜んでました。
ほてり感は冷えの亢進した状態と考えるのですが、これは腎水経と心火経のバランスが崩れている事が非常に多いですね。このあたりのバランスを調整する事を主眼において治療をすすめるとよいですね。
このような不定愁訴と呼ばれるものでも、よく観察すればどこかに反応点が見つかります。
これを探してじっくりゆっくり治療していく事が結局のところ治療の近道となります。