東京都南青山|おおした鍼灸院

勝利という麻薬(秀岳館の事件から考えたこと)

野球が上手な小学生がいました。本人は友達といるのがただ楽しかったので始めただけなのですが、何を勘違いしたか、コーチや親がああだこうだといじくり回し、あげく中学で入れさせられた硬式はすぐに辞めてしまいました。

秀岳館サッカー部のコーチや上級生による体罰やいじめを眺めて、勝利至上主義がもたらす歪なヒエラルキーの中、試合に出ることができない圧倒的多数の子ども達のことを思わないではいられなくなっております。彼らの事を思えば、居場所も競争社会のもと刃物の上を渡るかの如く危険で、その不安の吐け口を下級生へのいじめに見出すことを容易に想像できます。

この事件について、娘さんがシンクロをされていた患者さんと話をしました。シンクロは競技人口が少なくちょっと頑張れば全国大会にも手が届くので、勝ち始めると監督やコーチが勝利という麻薬に溺れ始めます。そして子どもを食い物にし始めます。物静かで反論しない娘さんはその餌食になってしまい、暴言や暴力で結局辞めざるを得なくなったとのことでした。チームで重要なポジションだったので、辞めるとなった時に手のひらを返したように引き止められたそうですがそれも後の祭り、やめて数年経ったというのにそのトラウマが今もあるみたいですが、あの時辞めることができて本当に良かったと言っておられました。

我が家の子ですが、部活をしてた子もしなかった子もいます。ラグビーやアメフトをしてた子もいますが、勝利というよりもプレーを楽しむ比較的のんびりした部活だったので最後まで楽しみながらやっていました。実際のところ上からの強制で動くような子ではありません。まぁ運動の才能は皆無なので強豪校から声をかけられないという現実はありますが、あったとしてもこんなところに入りたいとは思わないと思います。

それにしても200人いる部活、上手い下手で簡単に序列がつくスポーツ界において、その序列で永遠に試合に出られない子達のケアができる大人がどれくらいいるでしょうか。



厳しい部活で心を鍛える、という話をよく聞きます。でも心を鍛えるというのはどういうことをいうのでしょうか。水脈が無いところをどこまで掘っても水は出ません。その子にとっての水脈をまずは探すことから始めないと、ただの苦しみにだけが残るということは容易に想像できます。水脈が無いところを意味なく掘り続ける、それでも心は鍛えるという人もいるかもしれませんがはっきり言います、そんなことはありません。自分に合っていないところで無意味に頑張ることを強要されて、うまくいくわけがありません。

自分に合うものは自分しかわかりません。うちの子は飽きっぽい、何事も長続きしないダメな子、と評価し残念がる親が多いのですが、次から次へと色々な興味を許された子は、自分の好きを見つけるのが上手で、結局息抜きも上手になり、どんな仕事も飄々と長続きする、そんな感じの子は本当に多いです。

好きで就いた仕事でも、例えば治療が本当に好きな鍼灸師で天職に就けたと思っても、営業や帳簿管理等、色々な仕事をこなさないといけません。好きなことだけをして生きることはできないので、与えられたことをどれだけ好きになるかが大切になります。嫌な仕事を楽しむ工夫は、自分なりに工夫をしつつ生かされてきた人にだけ与えられるものです。


監督からコーチ、上級生から下級生へと負の連鎖は続きます。いじめはいじめる側の不安や不満、劣等感が大いに関係します。高校に入学する前に辞める子が続出するという体質はそう簡単に築き上げることができるものではありません。

優秀な子どもを集めその部活における強豪校になれば、学校の知名度が上がります。そうすれば生徒も集まやすくなり学校運営もうまく回り始めます。子どもがますます少なくなるこの時代に、勝利至上主義を是とした部活の在り方に一石を投じた今回の騒動、暴力だけでなく故障者が続出する部活の在り方を変える議論を期待したいと思っています。

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