今回は、利益圧縮以外の方法による株価対策の2回目として、(3)高収益事業の分離について説明します。
(3)高収益事業の分離
オーナー企業の自社株評価額が上昇するプロセスは、収益性の高い事業を持っている⇒毎年高収益を計上⇒会社の純資産が蓄積であり、高い株価を生む原因となっている高収益事業を当該企業から分離して、別のグループ企業に移すことができれば、当該企業の株価を引き下げることもできます。
高収益事業を分離する代表的な手法は以下の2つですが、それぞれにメリットとデメリットが存在するために、具体的な適用にあたっては、専門家とよく相談して、どの手法が有利かを慎重に見極める必要があります。
①高収益事業を後継者が設立した会社に事業譲渡する方法
後継者が100%出資して設立した会社に、当該企業の高収益事業を事業譲渡する方法です。この方法により、従来、当該企業に高収益をもたらしていた事業が後継者が設立した新会社に移転するために、当該企業の収益力は低下し、結果として株価も引き下げることができます。
本事業譲渡により、後継者が設立した新会社の株価は高くなりますが、新会社の事業承継までには数十年の時間がありますので、事業承継対策を行うことができます。
本手法は、一見、素晴らしい手法のように見えますが、以下のようなデメリットもありますので、注意が必要です。
・高収益事業を事業譲渡する場合、必ず「営業権」の問題が発生します。つまり、事業譲渡の際、当該企業側では、売却価格が簿価(譲渡資産簿価-譲渡負債簿価)の上回るため、多額の譲渡益が計上される。
⇒上記の問題は、完全支配関係ののある100%グループ法人間での事業譲渡とすることで、回避可能です。
・移転資産の所有権移転手続きに多額のコストと煩雑な手続きが必要になる。
そこで、実務上は、上記デメリットを回避することができる以下で説明する「会社分割」を利用するケースが多いと思います。
②高収益事業を会社分割により子会社に移転する方法
分社型新設分割(100%子会社を新設する分割)により、当該企業の100%子会社を設立することで高収益事業を子会社に移転することでも、当該企業の株価を引き下げることができます。
つまり、従来の会社は持株会社となり、100%子会社が事業会社になるとイメージです。
このような組織形態にすることで、子会社は株価が上昇しますが、親会社は直接収益の出る事業を保有しているわけではないので、株価は従来より低下します。
また、分社型新設分割では、子会社へ移転する資産・負債は原則簿価移転ですので、親会社側で譲渡損益を認識する必要がなく、さらには不動産の所有権移転に係る税金も優遇措置があるため、税務コストを気にすることなく、組織再編を行うことができるのもメリットです。
実際に株価がどの程度下がるのか検証するには、自社株評価額計算のプロセスを詳しく説明する必要があるため、ここでは割愛しますが、イメージととしては、これまでは高収益事業の毎年の利益が直接当該企業に蓄積されることで毎年株価が上昇してきましたが、本手法採用後は、利益は子会社に蓄積されることになり、当該企業(親会社)側では、子会社株式の含み益が増加する構造に変化することにより、当該企業(親会社)の株価上昇を抑えることができるということになります。
(3)高収益事業の分離
オーナー企業の自社株評価額が上昇するプロセスは、収益性の高い事業を持っている⇒毎年高収益を計上⇒会社の純資産が蓄積であり、高い株価を生む原因となっている高収益事業を当該企業から分離して、別のグループ企業に移すことができれば、当該企業の株価を引き下げることもできます。
高収益事業を分離する代表的な手法は以下の2つですが、それぞれにメリットとデメリットが存在するために、具体的な適用にあたっては、専門家とよく相談して、どの手法が有利かを慎重に見極める必要があります。
①高収益事業を後継者が設立した会社に事業譲渡する方法
後継者が100%出資して設立した会社に、当該企業の高収益事業を事業譲渡する方法です。この方法により、従来、当該企業に高収益をもたらしていた事業が後継者が設立した新会社に移転するために、当該企業の収益力は低下し、結果として株価も引き下げることができます。
本事業譲渡により、後継者が設立した新会社の株価は高くなりますが、新会社の事業承継までには数十年の時間がありますので、事業承継対策を行うことができます。
本手法は、一見、素晴らしい手法のように見えますが、以下のようなデメリットもありますので、注意が必要です。
・高収益事業を事業譲渡する場合、必ず「営業権」の問題が発生します。つまり、事業譲渡の際、当該企業側では、売却価格が簿価(譲渡資産簿価-譲渡負債簿価)の上回るため、多額の譲渡益が計上される。
⇒上記の問題は、完全支配関係ののある100%グループ法人間での事業譲渡とすることで、回避可能です。
・移転資産の所有権移転手続きに多額のコストと煩雑な手続きが必要になる。
そこで、実務上は、上記デメリットを回避することができる以下で説明する「会社分割」を利用するケースが多いと思います。
②高収益事業を会社分割により子会社に移転する方法
分社型新設分割(100%子会社を新設する分割)により、当該企業の100%子会社を設立することで高収益事業を子会社に移転することでも、当該企業の株価を引き下げることができます。
つまり、従来の会社は持株会社となり、100%子会社が事業会社になるとイメージです。
このような組織形態にすることで、子会社は株価が上昇しますが、親会社は直接収益の出る事業を保有しているわけではないので、株価は従来より低下します。
また、分社型新設分割では、子会社へ移転する資産・負債は原則簿価移転ですので、親会社側で譲渡損益を認識する必要がなく、さらには不動産の所有権移転に係る税金も優遇措置があるため、税務コストを気にすることなく、組織再編を行うことができるのもメリットです。
実際に株価がどの程度下がるのか検証するには、自社株評価額計算のプロセスを詳しく説明する必要があるため、ここでは割愛しますが、イメージととしては、これまでは高収益事業の毎年の利益が直接当該企業に蓄積されることで毎年株価が上昇してきましたが、本手法採用後は、利益は子会社に蓄積されることになり、当該企業(親会社)側では、子会社株式の含み益が増加する構造に変化することにより、当該企業(親会社)の株価上昇を抑えることができるということになります。