沖縄の公認会計士佐藤晃史のブログ

沖縄で医療機関支援、事業承継、相続対策に強い会計事務所を経営している佐藤晃史のブログです

自社株評価額の引下げの必要性と引下げ方法(その2)

2013-07-02 13:29:57 | 事業承継
前回は自社株評価額引下げの必要性と評価額引き下げの方法について、説明しましたが、今回もその続きで会社の利益を一時的に圧縮して、株価を引き下げるために採られる手法について説明します。

(3)オペレーティングリースを活用する方法
オペレーティングリースとは、リース会社が実質的に運営する匿名組合に会社が出資することにより、匿名組合の損益をダイレクトに会社に取り込んで、利益を圧縮する方法です。
具体的には、航空会社や海運会社に飛行機や船舶をリースする目的の匿名組合をリース会社が設立し、その後、利益の圧縮(損金を前倒しで出したい)ニーズのある投資家を募って資金調達を行い、その投資資金にノンリコースローンで調達した借入金を合わせて、リース資産(飛行機や船舶)を購入し、その資産を航空会社や海運会社にリースする事業を行います。
匿名組合の損益は、当初は減価償却負担が大きく赤字になるため、当初2~3年で出資額全額の損金算入ができます。また、10年間の投資期間を通算すると8~10%程度の投資利回りが得られるケースが多いため、投資案件としての魅力も備えています。

ただし、オペレーティングリースは、途中解約が不可能であるため、出資後8年~10年後の満期時まで、資金が固定化してしまう点、元本保証がない点、ドルベースの投資案件が多い点等のデメリットもあるので、商品特性をよく理解した上で取り組む必要があります。
また、オペレーティングリース満期時には、出資額と同金額の益金が計上されるため、満期時に役員退縮金を支給するなどの対策をあらかじめ立てておく必要があります。

(4)有価証券や不動産の含み損を活用する方法
会社が保有する有価証券や不動産、ゴルフ会員権に含み損がある場合には、不要資産であれば外部に売却し、事業に必要な資産であれば関係会社や経営者個人に売却することにより、含み損を実現させることで、株価を引き下げることができます。

(5)即時償却や特別償却を活用する方法
取得年度において、取得金額全額を償却できる以下のような制度を活用することで、利益を圧縮し、株価を引き下げることができます。
①太陽光発電装置でその出力が10キロワット以上であるもの。
②風力発電装置でその出力が1万キロワット以上であるもの。
さらに、上記以外でも、特別償却費を計上できる資産を購入することで、通常の数倍の減価償却費を計上できます。

利益引下げによる株価対策はいかがでしたか。次回は、利益圧縮以外の方法で、オーナー保有の自社株の評価額を引き下げる以下の手法について説明したいと思います。
(1)従業員持株会の活用
(2)投資育成会社の活用
(3)高収益事業の分離
(4)資産管理会社の活用


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