池田の街を見下ろす南側の山の中腹に、新四国曼荼羅霊場第64番札所
「七宝山・蓮華寺」があります。
池田の人たちは「蓮華寺さん」とか「上寺(うえでら)さん」と、敬意
を込めて寺の名を呼びます。
蓮華寺は、奈良時代の724年に行基が開創した歴史のあるお寺です。
池田の街は、周囲が山に囲まれていて、ちょっとそこらの山に登ってみ
ると、どこからでも街を見下ろせ、気持ちのよい景色を味わうことができ
ます。
ここ蓮華寺もそうした場所の一つですが、静けさの中に凛とした空気が
張っていて、他とはまた違った空間を味わうことができる場所です。
このお寺は、涔口先生の字をたくさん目にすることができます。
山門手前のちょっとした広場にある「永代供養塔」や「歴代尊師の碑」。
山門にある大きくりっぱな石柱に刻まれた文字。
そして、山門をくぐって参道を歩くと、「歌碑協賛者の芳名碑」や「大
師像の台座」に刻まれた文字、「参道修復記念碑」に刻まれている文字を
見つけることができます。
参道を登りきると、きれいに整備された石庭が目に入ります。
石庭の向こう側に池田の街が見下ろせ、その後ろには西山の遠景が広が
ります。何気ない風景ですが、池田育ちの私にとっては格別の景色です。
この方丈は昭和55年に手を入れたと「方丈修復寄付者芳名碑」(=素
水氏の字)に記されています。
石庭を眺めながら、蓮華寺第20代住職で、今は名誉住職をされている
石井教道さんに、お寺にある涔口先生の字が見える場所を教えていただき
ました。
ここ蓮華寺には、涔口先生以外にもたくさんの方々の字があるからです。
この名誉住職さん。
とても雰囲気のある方で、無駄のないそして誠実な話しぶりにはいつも
感心させられます。
話を伺うこちらも、不思議と純な気持ちになってしまう。そうした空間
を作り出してしまうパワーのようなものを感じます。
ここ蓮華寺では、楷書で書かれた涔口先生の字を見ることできます。
この「素水の素」のシリーズで紹介させていただく多くの字。
特に漢字は、涔口先生独特の隷書体で書いているものが多いのですが、
蓮華寺の入口の石柱や方丈修復の芳名碑は楷書で書かれています。
涔口先生のお話では、楷書でとの依頼があったとうかがっています。
方丈を後に、本堂へと階段を上ります。
本堂へは、涔口先生の字が彫られた少し控えめの石柱が案内してくれま
す。
この本堂のあるエリアでも、涔口先生の字を目にすることができます。
「本尊御和讃の碑」です。