フランチャイズはなぜ事前に相談が必要か

　例えばの話。今手元に、独立開業やFC募集を扱う、唯一と言って良い大手の雑誌があります。ページをめくると、

1. 聞いたことのあるような大手チェーンや代理店の広告

2. 起業がいかに素晴らしいかを特集した記事、有名人インタビュー

3. 本編。ひたすらFCや代理店募集などの広告

という順番で構成されております。これだけを読み進めていくと、

1. 大手ブランドの安心感

2. 独立のサクセスストーリー。有名人の昔の苦労から、成功に至るまでのストーリー

という順番で頭に入ってきますので、いかにも「皆、苦労した結果、成功したんだな」という勇気のようなものが湧いてきます。そのまま次の広告を読んでいくと、「安心できる」「成功のチャンス」であるという感覚にとらわれます。

　しかし当たり前ですが、そこに登場している成功者は必ずしもその広告のシステムを使って成功した訳ではありませんし、雑誌ですから多少の脚色があることも加味しなくてはなりません。危険なのは、「苦労すれば報われる」という精神論が、本来考慮しなければならないリスクや各チェーンの不確実性を、皆さんの目から見えにくくしてしまうことです。ここで勘違いして有名なチェーン＝自分がやっても安心、という単純な考えにとらわれると失敗します。
　現に、2005年に大きなトラブルとなったラゴラは、雑誌の一番高いページに大きな広告を出して勧誘していましたが、結局は倒産、社長失踪、そしてビジネス自体も薬事法違反というとんでもない企業でした。

　では、ほかに何を調べ、誰に相談したら良いのでしょうか。雑誌類はそもそもあまりありませんし、インターネットでも広告や偏った意見しか入手できません。本部に問い合わせて営業マンに話を聞いても、当然それでは不十分です。親類はできる限りの協力はしてくれるでしょうが、客観性に欠けてしまい、なかなか広い視野で考えることができません。

　そのため、私たちも相談活動をしていますが、誰であれ必ず事前に相談してからの加盟をお勧めします。

これからFC加盟をする方へ

フランチャイズ加盟は、大きな決断ですから慎重に決めてください。

別のページでも触れましたが、FCについては、大手の発行する雑誌なども多くは客観性のない広告です。特にフランチャイズ関連雑誌にとって、FC本部は「顧客の購買単価が高く、広告費を取れる優良なお客さん」と化しています。雑誌に載っているから安心、などと思う人が今の時代にいるとは思いませんが、情報が少ないとついついメディアに頼りがちになります。株式投資のような「美人投票」の気持ちで、人生のかかった選択をすれば間違いなく後悔することになるでしょう。いま流行っている分野＝競争激化で廃業、と追い込まれる可能性も高いことを忘れないようにしてください。

特に、人生や社運をかけた大きな賭けに出ようという方は、「加盟金ゼロの新システム」「安心の○○グループ」などといった「目先の基準」だけで決めてはいけません。(「余剰資金で遊び気分で取り組んでみよう」という方はご自由にどうぞ。こちらのサイトも読まなくて良いと思います)。最近は低資本での開業をうたったり、既存店舗を格安で譲るなどのいろいろなパッケージが出てきていますが、どちらにしても入念な調査が必要です。

起業家には代理人が必要!?

　ご存知のとおり、日本のプロ野球選手も近年、弁護士などの代理人を同席させて球団と契約交渉する、という活動を進めています。プロ野球選手のような身ひとつで生計を立てているような人々は、密室での交渉は本来苦手なものです。彼らは何千万、あるいは億単位の報酬を決める大事な交渉にもかかわらず、交渉下手なために球団側に約束を破られたり、言いくるめられてしまうようなことがしばしば起こります。そこで、契約に長けた第三者を入れて交渉事はまかせてしまおう、ということです。これは「野球選手」という独立した存在にとっては、いわば当然の対策でしょう。
　私たちは同様に起業家にも代理人が必要ではないかと考えています。たとえばフランチャイズ契約をめぐるトラブルの多くは、契約時の本部の担当者、あるいは経営陣の発言に基づくものです。代理人がいれば、失敗を未然に防ぐことができ、また有利な条件を引き出せるかもしれません。今まではサラリーマンであってもひとたび独立すれば、周りは信用できる人ばかりではありません。
　フランチャイズアドバイスネットでは、そんな方々をサポートしています。

FC業界ってどんな業界?

　日本にフランチャイズチェーンという概念がもたらされたのは、30年以上前にさかのぼり、日本の経済にも少なからず影響を及ぼしました。またその後、何度か「フランチャイズブーム」が訪れ、そのたびに大手のチェーンが現れたり消えたりしています。今や最大手となった吉野家でさえ、25年前には倒産の憂き目にあっているのですから、いかに栄枯盛衰の激しい業界かがわかります。(詳しくは関連の書籍や団体、サイトを研究してみてください)

そして最近のフランチャイズ業界は、不透明感を増しています。赤字の店舗が採算を合わせるためにＦＣに走るケースや、ギャンブルや無許可ビジネスをＦＣにするなど、リスクの高すぎるものが増えています。訴訟・裁判も年々増加し、水面下ではトラブル処理にまわらざるを得ない本部スタッフも多くなっています。

公になっている訴訟事例については、近々紹介予定ですが、加盟店募集の広告からは読み取れない数々のトラブルが発生しているのが現状です。加盟店による集団訴訟や、ひどい場合は本部の計画倒産などのきな臭い話もあります。大手のコンビニエンスストアでさえ、ロイヤリティー契約や売上予測などをめぐっていくつもトラブルがあるのですから、雨後の筍のように出てくるFC本部にまつわるトラブルは、今後とも増えることは間違いないでしょう。FC=簡単に成功する、というイメージは幻想なのです。

長年フランチャイズ業界に携わった私たちにとって、トラブルや訴訟が増えることは心の痛むことです。実際に裁判まで発展してしまうと、残念ながら私たちにできることはあまりありません。いかに事前に対策を講じておくかです。

業界やFC契約について良く知らない方は、今からでも遅くありませんので、しっかりとした事前勉強をおこなってください。

フランチャイズアドバイスネット(FAN) とは?

　フランチャイズアドバイスネット(FAN)は、各分野で今までフランチャイズビジネスに関わってきたメンバーが、疑問に思ってきたことを解決すべく立ち上げたサイトです。私たちは今までさまざまな形でフランチャイズビジネスに携わり、多くの加盟希望者と一緒にフランチャイズビジネスに取り組んでまいりました。

しかし現場で常に感じていたのは、「人生をかけた大きな投資である」にも関わらず、加盟希望者の多くは必要な情報を調べないまま意思決定しているということです。たいていはイメージや企業規模、開業資金の安さなど、一瞬の曖昧なものに頼って意思決定しています。そして後で「こんなはずではなかった」となるケースが多いのです。日本ではまだフランチャイズビジネス自体が新しいものであることと、訴訟などで大きく報道されたことが少ないため、「まあ、大丈夫だろう」となるのでしょう。無防備に何千万円という虎の子の大金を投じてしまう人が後を絶ちません。そんな状況を見て、私たちは社会におけるFCビジネスのあり方について行動するようになりました。

　またもうひとつ大きなきっかけとなったのが、2005年に起きた、株式会社ラゴラ(当時)が展開していた「薬のビンセント」という薬局FCチェーンによる事件です。リクルートの月刊誌「アントレ」でも大々的に広告を打っていたチェーンが、実体がないに等しいビジネスをやっており、資金だけ集めて倒産。多くの被害者を出してしまいました。

　耐震偽装問題ではありませんが、どんなに注意していても、素人判断だけでは限界がある問題点が、この業界のあちこちに隠されています。表面に出てこない問題を知らないまま検討を重ねたところで、個人が正確な判断をくだすのは難しいでしょう。私たちは特定のフランチャイズ本部と結びつかない、中立的な組織であり、それぞれ専門分野を持ったメンバーです。あなたの側に立ったブレーンとなることができます。
　またFANはフランチャイズビジネスに対する単なる批判が目的ではありません。現にFCで大成功した方々や、十分満足して取り組んでいらっしゃるオーナーもたくさん知っております。私たちはフランチャイズビジネスの本質を、そして独立することの意義を、加盟者の立場から一緒に考えたいと願っています。



・2006年6月23日放送、テレビ東京系「ワールドビジネスサテライト」人材不足特集にて、FANが取材協力した店舗が取り上げられました。役に立つ番組なのでぜひWBSも見てください(^^;)。

ワールドビジネスサテライト

エクセルを使った店舗向けシフト作成ソフト、簡単＠シフトの試用版をアップロードしました

前回記事に書いた簡単＠シフトですが、ようやくwebに試用版をアップロードできましたので、下記サイトからダウンロードしてお使いください
簡単＠シフト試用版ダウンロード

10日分シフトが作成できます。。完成版はもちろん1ヶ月単位で使えます。

メールで1つ1つ対応していたら、時間がかかってしまいました。ふぅ