私の研究日記(映画編)

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『マルタのやさしい刺繍』(Theater)

2009-01-10 21:00:27 | ま行
監督 ベティナ・オベルリ
出演 シュテファニー・グラーザー、アンネマリー・デューリンガー 、 ハイジ=マリア・グレスナー 、モニカ・グプサー
製作年 2006年
製作国 スイス
上映時間 89分

 シネスイッチ銀座にて鑑賞(12月21日)

 スイス・エメンタール地方の小さな村で暮らす80歳のマルタ(シュテファニー・グラーザー)は、長年連れ添った夫を失い、悲しみに打ちひしがれてながら暮らしている。ある日、村で開かれる合唱祭の旗の補修を依頼されたマルタは、補修に必要な布を手に入れるため、仲の良いリージ(ハイジ=マリア・グレスナー)やフリーダ(アンネマリー・デューリンガー)、ハンニ(モニカ・グプサー)と連れだってベルンの布屋を訪れる。そこで見つけたフリルの刺繍を手に取り心踊らせるマルタ。自分で刺繍したランジェリー・ショップをオープンさせるという若い頃の夢を思い出したのである。そしてその夢を実現するため、マルタは親友達の助けを借り、保守的な村の人々の嫌がらせにあいながらも奮闘していく。



 一般的には、人間は年を取るほど保守的な考えになっていくとされるが、この映画の面白いところは、そうした一般的な常識を逆転させたところ。80歳のマルタが若者のように夢を描き、彼女より若い人々が村の伝統や建前に固執している。中でも、マルタの息子や村の政治リーダーは、ランジェリーショップを開店するというマルタの夢を村の恥だと軽蔑し、あからさまな妨害を試みる。その嫌がらせたるや、映画だとは分かっているのに、なんて人たちなんだ!と怒りが込み上げ、思わずこぶしを握り締めてしまったほどである。

 そんな妨害にくじけそうになりがらも、心厚い親友の助けを借り、また心ある人たちからの協力を得ながら、自分の夢を何とか実現しようとするマルタがいじらしく、応援せずにはいられなかった。気落ちしているマルタのためにと、マルタを手助けするリージやフリーダ、ハンニら3人の友情も、押し付けがましくなく見ていて心温まる。そして、最後の合唱際の場面で村の政治リーダーをやりこめる逆転劇は、とても爽快である。

 もう一つ忘れてはならないのは、美しいスイスの風景。画面いっぱいに映し出される山々の大パノラマは、それだけをひたすら見ていても良いぐらいだった。他にも、ゲーテに「これほど美しい街を見たことがない」と言わしめたベルンの町並みなども映し出され(ほんのわずかしか登場しないので、ちょっぴり残念だが)、映像的に楽しめること請け合いである。

 爽やかな感動を得られ映像まで楽しめてしまうという良い作品。秀作だといえるだろう。それにしても、以前『ヤング@ハート』を見たときにも思ったが、年を取ってからも何かに打ち込める人生って、やはり素敵なことだ。


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1 コメント

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こんばんわ (maru♪)
2009-01-11 01:05:24
TBありがとうございました。
ちょうど2000カウント目のTBでした!

ホントに年を取ってからも打ち込める何かがあるのはいいですよね。
そしてその何かが人生を豊かにしてくれるんだと思います。

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