浄空法師説法研究

浄空法師の説法に学びながら、日本語に翻訳して紹介しています。

『太上感応篇』

2014-09-06 | 参考資料

『太上感応篇』
『太上感応篇』は道教の勧善書。因果応報の教えです。

<第一段落 綱領>
  【太上曰】
  太上は言われた。

  【禍福無門。惟人自召。
  禍福はもともと定まっておらず、ただ人が自分自身で招くものである。

  【善惡之報。如影隨形。】
  善悪の果報は、影が形に随うようなものである。

<第二段落 警鐘>
2-1警鐘
  【是以天地有司過之神。依人所犯輕重。以奪人算。】
  天地には人間の行動を監視する司過神(しかしん)がいて、
  人が犯す罪業の軽重によって、人の算(寿命)を奪うのである。

  【算減則貧耗。】
  算を減らせば、貧窮し消耗してしまい、

  【多逢憂患。】
  多くの憂いと苦しみに見舞われ、

  【人皆惡之。】
  人々は皆その人を憎むようになり、

  【刑禍隨之。】
  さまざまな禍(わざわい)がその人に付きまとい、

  【吉慶避之。】
  吉慶(おめでたいこと)はその人を避けていき、

  【惡星災之。】
  不運の星はその人に災いし、

  【算盡則死。】
  算が尽きれば死んでしまう。

2-2監察
  【又有三台北斗神君。在人頭上。錄人罪惡。奪其紀算。】
  また(生死・福報・財産を管轄する)三台には北斗の神君がいる。
  人の頭上にいて、人の罪悪を記録し、その「紀」や「算」を奪うのである。

  【又有三尸神。在人身中。每到庚申日。輒上詣天曹。言人罪過。】
  また三尸(さんし)の神がいる。人の身体の中に住んでいて、60日に一度の庚申の日には、欲界の天曹(てんそう)に行って人の罪過を報告するのである。

  【月晦之日。灶神亦然。】
  月末の晦日(つごもり)には、灶神(そうしん=かまどの神)もまた同じように、

  【凡人有過。】
  人に過失があれば、

  【大則奪紀。】
  (その過失が)大きければ紀(十二年)を奪い、

  【小則奪算。】
  小さければ算(百日)を奪うのである。

  【其過大小。有數百事。】
  その過失には大小があり、数百もの種類がある。

  【欲求長生者。先須避之。】
  長生きしたいと思う者は、まずこのような過失を避けなければならない。

<第三段落 福報>
総括
  【是道則進。非道則退。
  正しい道であれば進み、非道であれば退く。

自己を修める
  【不履邪徑。不欺暗室。積累功。慈心於物。忠孝友悌。】
  誤った道を行かず、暗室においも欺くことなく、徳を積み功を重ね、衆生に対する慈悲の心をもち、忠・孝・友・悌を実行する。

人を教化する
  【正己化人。】
  自己を正して人を教化する。

人に身になって考える
  【矜孤恤寡。】
  孤児や寡婦を憐れみ助け、

  【敬老懷幼。】
  お年寄りを敬い、幼い子を懐かせ、

  【昆蟲草木。猶不可傷。】
  昆虫草木といえども、傷つけてはならない。

  【宜憫人之凶。】
  人が禍に見舞われるのを憐れみ、

  【樂人之善。】
  人の善を喜び、

  【濟人之急。】
  人の危急を助け、

  【救人之危。】
  人の危機を救う。

  【見人之得。如己之得。】
  人が得るのを見たなら、自分が得たようなものである。

  【見人之失。如己之失。】
  人が失うのを見たなら、自分が失ったようなものである。

  【不彰人短。】
  人の短所は明らかにせず、

  【不衒己長。】
  自己の長所をひけらかしてはならない。

  【遏惡揚善。】
  人の欠点をかばい、善い所を褒める。

不貪(貪らない)
  【推多取少。】
  人に多く譲って、自分は少なく取り、

不瞋(怒らない)
  【受辱不怨。】
  侮辱されても怨むことなく、

不痴(愚かでない)
  【受寵若驚。】
  恩寵を受ければ恐縮し、

  【施恩不求報。與人不追悔。】
  恩を施して報いを求めず、人に与えて後悔しない。

これらの善行の果報
  【所謂善人。人皆敬之。】
  このような善人であれば、誰もが尊敬するであろう。

  【天道佑之。福祿隨之。眾邪遠之。神靈衛之。
  天道はその人を助け、福禄はその人に随い、衆邪はその人から遠ざかり、神霊はその人をお護り下さる。

  【所作必成。神仙可冀。】
  行うことは必ず成就し、神仙もこいねがうほどである。

  【欲求天仙者。當立一千三百善。欲求地仙者。當立三百善。】
  天仙になろうとする者は、千三百の善を修めなければならない。
  地仙になろうとする者は、三百の善を修めなければならない。

<第四段落 悪報>
①道理に背いた大悪
  【苟或非義而動。背理而行。以惡為能。忍作殘害。
  非義でありながら動き、理に背いて行い、悪い事を肯定し、人に知られずに殺生し、

  陰賊良善。暗侮君親。慢其先生。叛其所事。
  陰で善良な人を傷つけ、暗に君主や両親を侮り、その先生を侮り、それらの事を叛き、

  誑諸無識。謗諸同學。虛誣詐偽。攻訐宗親。剛強不仁。狠戾自用。
  見識のない者をたぶらかし、同学を騙し、偽りを言って人を騙し、親族の過失を暴いて攻撃し、不仁を無理強いし、欲深く独りよがりである。

②役人の悪行
  【是非不當。向背乖宜。虐下取功。諂上希旨。
  是非の分別は妥当でなく、趣向は正しい道に背き、部下を虐げて功積をあげ、上司に諂って迎合し、

  受恩不感。念怨不休。輕蔑天民。擾亂國政。
  恩を受けて感謝することなく、怨み言を言い続け、人々を軽蔑し、国政を乱す。

  賞及非義。刑及無辜。殺人取財。傾人取位。
  功なき者に褒美を与え、罪なき者を懲罰に科し、人を殺して財を貪り、人を押しのけて地位を奪い、

  誅降戮服。貶正排賢。凌孤逼寡。棄法受賂。
  降伏した者を殺し、正しく聡明な者を追い払い、孤児を侮辱し未亡人に無理強いし、法を犯して賄賂を受け取り、

  以直為曲。以曲為直。入輕為重。見殺加怒。】
  真っ直ぐなものを曲がっていることにし、曲がっているものを真っ直ぐだとし、軽い罪を重罪にしてしまい、死にそうな人を怒って罵る。

③世俗の悪行
  【知過不改。】
  誤りと知りながら改めず、

  【知善不為。】
  善と知りながら行わず、

  【自罪引他。】
  自分の過失に人を巻き込み、

  【壅塞方術。】
  価値ある学問や技術を(独占して)人に伝えず、

  【訕謗聖賢。侵凌道。】
  聖賢を誹謗し、道徳を侮辱する。

④殺生の悪行
  【射飛逐走。】
  飛ぶ鳥を射落とし走る獣を捕まえる。

  【發蟄驚棲。】
  土の中の虫を掘り起し、鳥を驚かせる。

  【填穴覆巢。傷胎破卵。】
  虫の巣穴を埋め、鳥の巣を覆い、身ごもっている動物に危害を加え、卵を破る。

⑤気の弱い者の悪行
  【願人有失。】
  人に過失があることを願い、

  【毀人成功。危人自安。減人自益。以惡易好。
  人の成功を誹謗し、人の安穏を危うくし、人の利益を減らし、悪い事を良い事とし、

  以私廢公。竊人之能。蔽人之善。形人之醜。
  私心によって公益を廃し、人の成果を盗み、人の善を覆い、人の醜聞を暴露し、

  訐人之私。耗人貨財。離人骨肉。侵人所愛。助人為非。】
  人の私事を暴き、人の財産を浪費し、肉親と離れるようにそそのかし、人が愛しているものを奪い、人が悪事を行うのを助ける。

⑥気の強い者の悪行
  【逞志作威。辱人求勝。敗人苗稼。破人婚姻。
  勝手気ままに威張り散らし、人を侮辱して自分の勝ち求め、農婦の再婚を失敗させ、人の婚姻生活を破たんさせ、

  苟富而驕。苟免無恥。認恩推過。】
  少々裕福になれば驕り高ぶり、その場だけ罪を免れて恥を知らず、恩を認めて過失は人に押し付ける。

  【嫁禍賣惡。沽買虛譽。包貯險心。挫人所長。
  過失を人に転嫁して悪を売り、虚栄を売り買いし、悪賢い心をもち、人の長所を挫き、

  護己所短。乘威迫脅。縱暴殺傷。】
  自分の短所を護り、勢力を笠に着て人をいじめ、我がままに暴力をふるい、殺したり傷つけたりする。

⑦物を大切にしない悪行
  【無故剪裁。非禮烹宰。散棄五榖。勞擾眾生。】
  理由なく衣類を裁断し、生き物を礼に反して料理し、五穀を無駄にし、衆生を働かせ混乱させる。

⑧明らかな横暴の悪行
  【破人之家。取其財寶。決水放火。以害民居。
  人の家を破産させ、その財産を奪い、水を打ち火を放って民家に危害を加え、

  紊亂規模。以敗人功。損人器物。以窮人用。】
  秩序を乱し、人の功積を無にし、人の器物を損なって、使えないようにする。

⑨陰に隠された悪行
  【見他榮貴。願他流貶。】
  人の栄華を見て、その人が左遷させられることを願う。

  【見他富有。願他破散。見他色美。起心私之。
  人が裕福であるのを見て、その人が破産することを願い、美しい夫人を見れば、欲情を起こし、

  負他貨財。願他身死。】
  人に財産を借りていれば、その人の死を願う。

⑩陰のある悪行
  【干求不遂。便生咒恨。】
  求めたことが思い通りにならないと、恨みを抱く。

  【見他失便。便他過。】
  人の過失を見れば、その人の過失を言いふらし、

  【見他體相不具而笑之。】
  人の身体的な欠点を見れば、それをあざけり、

  【見他才能可稱而抑之。】
  人の才能を見れば、褒めることなくかえってさげすみ、

⑪理由のない悪行
  【埋蠱厭人。】
  証拠をでっちあげて人を陥れる。(虫を埋めて人に嫌がらせをする)

  【用藥殺樹。恚怒師傅。抵觸父兄。強取強求。好侵好奪。】
  薬を使って樹木を枯らし、教師を恨み、両親に反発し、力ずくで奪い取り、略奪することを好む。

⑫志を奪う悪行
  【擄掠致富。巧詐求遷。】
  略奪して金持ちになり、ずる賢い手段で昇進しようとする。

  【賞罰不平。逸樂過節。】
  褒賞や懲罰は不公平で、安逸な享受は節度を越えている。

  【苛虐其下。恐嚇於他。】
  自分の部下を虐げ、人を恐がらせる。

⑬忌諱(タブー)を無視する悪行
  【怨天尤人。訶風罵雨。鬥合爭訟。妄逐朋黨。
  天を怨み人を咎め、(思うようにならない)雨風を罵り、争いをそそのかして訴訟を起こさせ、みだりに徒党に加わり、

  用妻妾語。違父母訓。得新忘故。口是心非。
  妻や妾の道理に合わない話を鵜呑みにし、両親の教訓に背き、新しいものを好んで古いものを忘れ、言葉と本心が一致せず、

  貪冒於財。欺罔其上。造作惡語。讒毀平人。】
  不正な財産を貪り、上司を欺き、悪言をでっちあげ、無実の人を誹謗中傷する。

  【毀人稱直。罵神稱正。棄順效逆。背親向疏。
  人を謗って自らを正しいと思い、神明を罵って自らを公正だと思い、天理を棄てて天理に背いた行いをし、肉親に背いて他人に媚びへつらい、

  指天地以證鄙懷。引神明而鑑猥事。】
  天地を指さして自分の考えを正当化し、神明を引き合いにしながら猥らな事を手本としている。

⑭不仁なる者の悪
  【施與後悔。】
  施しを与えた後で悔いる。

  【假借不還。】
  借りたものを返さない。

  【分外營求。力上施設。淫慾過度。心毒貌慈。
  分不相応な物を求めて、力の限りを尽くし、淫欲は節度を越え、内心は陰険悪辣で外見だけは情け深く、

  穢食人。左道惑眾。短尺狹度。輕秤小升。
  汚れた食物を人に与え、邪道をもって人々を惑わし、標準より短い物差しで長さを狭く測り、標準でない秤で少なく量り、

  以偽雜真。採取奸利。壓良為賤。謾驀愚人。】
  まがい物を本物と混ぜてごまかし、善良な人を卑しい人とし、愚かな人をあざけり見くびる。

⑮家庭における悪行
  【貪婪無厭。咒詛求直。嗜酒悖亂。骨肉忿爭。
  飽くことを知らず欲を貪り、神を呪いながら道理に適うことを願い、酒を好んで心を乱し、肉親と言い争い、

  男不忠良。女不柔順。不和其室。】
  男性は忠義と善良さに欠け、女性は従順でなく、家族は仲が悪い。

  【不敬其夫。每好矜誇。】
  妻は夫を尊重せず、夫はいつも驕り高ぶっている。

  【常行妒忌。無行於妻子。失禮於舅姑。】
  常に寵愛を得ようと争って嫉妬し、妻に礼節を用いず、嫁は姑を敬わない。

  【輕慢先靈。】
  ご先祖様を侮る。

  【違逆上命。】
  年長者の命に逆らう。

  【作為無益。】
  無益なことを為す。

  【懷挾外心。】
  密かにふた心を懐く。

  【自咒咒他。偏憎偏愛。越井越灶。
  自分を呪い人を呪い、人の好き嫌いに偏りがあり、井戸やかまどを跨ぎ、

  跳食跳人。損子墮胎。行多隱僻。】
  食物や人を飛び越え、嬰児を堕胎し、行いはこそこそしている。

⑯天地神明を敬わない悪行
  【晦臘歌舞。】
  月末・年末に歌い踊る。

  【朔旦號怒。】
  月の初めの早朝に怒鳴り散らす。

  【對北涕唾及溺。】
  北を向いて鼻をかみ、痰を吐き、大小便をする。

  【對灶吟詠及哭。】
  かまどに向かって歌を歌ったり泣いたりする。

  【又以灶火燒香。穢柴作食。】
  かまどの火を使って線香をつけ、汚い柴を薪にして食事を作る。

  【夜起裸露。八節行刑。唾流星。
  夜起きだして丸裸になり、八節(立春、立夏、立秋、立冬、春分、秋分、夏至、冬至)に刑罰を執行し、流星に向かって唾を吐き、

  指虹霓。輒指三光。久視日月。】
  虹を指さし、三光(太陽・月・星)を指さし、太陽や月を長く注視する。

  【春月燎獵。】
  春に山林を焼いて猟をする。

  【對北惡罵。】
  北に向かって悪口を言う。

  【無故殺龜打蛇。】
  何の理由もなく亀や蛇を殺す。

これらの悪行の果報
  【如是等罪。】
  このようなものはすべて罪である。

  【司命隨其輕重。奪其紀算。算盡則死。】
  司命(寿命をつかさどる神)は罪の軽重に随って、その紀・算を奪い、算が尽きれば死ぬのである。

  【死有餘責。乃殃及子孫。】
  死んでも罪を帳消しにできなければ、子孫にまで災いが及ぶ。

  【又諸取人財者。乃計其妻子家口以當之。漸至死喪。
  人の財産を横取りして、妻子や家族の為に用いることを企て、少しずつ死に至らしめ、

  若不死喪。則有水火盜賊。遺亡器物。
  もし死ななければ、水害・火災・強盗・盗難に遭い、財産を失い、

  疾病口舌諸事。以當妄取之直。】
  病気になり、いろいろな訴訟を起こされて、奪い取った分は清算される。

  【又枉殺人者。是易刀兵而相殺也。】
  理由なく人を殺す者は、戦禍によって殺される。

  【取非義之財者。】
  非義の財(道義に反する財貨)を貪った者は、・・・

  【譬如漏脯救飢。鴆酒止渴。
  例えば腐った肉で飢えを満たし、鴆(ちん)という毒鳥の酒を飲んで渇きを癒そうとするようなもので、

  非不暫飽。死亦及之。】
  少しも空腹を満たせず、命を失うようなものである。

<第五段落 根本の追求>
「推本念初」(本を推し初を念ずる)
  【夫心起於善。善雖未為。而吉神已隨之。
  心に善の心が起これば、善の行いをまだしていなくても、吉の神はその心に感応して随う。

  或心起於惡。惡雖未為。而凶神已隨之。】
  また心に悪の心が起これば、悪の行いをまだしていなくても、凶の神はその心に感応して随う。

  【其有曾行惡事。】
  もしかつて悪事を働いたなら、

  【後自改悔。】
  後に自己を悔い改める。

<第六段落 究極の目標>
  【諸惡莫作。眾善奉行。久久必獲吉慶。所謂轉禍為福也。】
  諸悪を行うことなく、多くの善を行い、久しく行えば必ず吉慶を得る。いわゆる“禍(わざわい)を転じて福となす”である。

<第七段落 総括>
  【故吉人語善。視善。行善。】
  故に善人は言葉・見解・行為のすべてが善である。

  【一日有三善。三年天必降之福。】
  一日に三つの善行を積めば、三年で天は必ず福をもたらす。

  【凶人語惡。視惡。行惡。一日有三惡。】
  悪人は言葉・見解・行為のすべてが悪であり、一日に三つの悪行を犯す。

  【三年天必降之禍。】
  三年すれば天は必ず禍をもたらす。

太上の激励
  【胡不勉而行之。】
  どうして努めて善を行おうとしないのか。

初回更新 2012-06-30

<参考>
「太上感応篇大意」
http://blog.goo.ne.jp/fayuan/c/1bbd1274960a23e291067efeaa45473c

<読者の皆さまへ>

翻訳文には随時訂正を加えています。

日本語訳を国内外のネットサイトに転載することはご遠慮下さい。
訳は訂正を重ねているのが現状ですので、転載には向きません。


お読みいただくのは有り難い事ですが、
翻訳文は稚拙な部分が多々あります。どうぞご理解ください。 


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