うさこさんと映画

映画のノートです。
目標の五百本に到達、少し休憩。
ありがとうございました。
筋や結末を記していることがあります。

0245. 殯の森 (2007)

2008年01月16日 | カンヌ映画祭審査員大賞

Mogari no Mori aka. The Mourning Forest / Naomi Kawase
97 min Japan

殯の森 (2007)
監督・脚本・制作:河瀬直美、撮影:中野英世、照明:井村正美、録音:阿尾茂毅、美術:磯見俊裕、音楽:茂野雅道、演奏:坂牧春佳、出演:うだしげき、尾野真千子、渡辺真起子


ううむ。感性はわかるし、この監督が見ようとしているものはとても好きです。森も風も好きです。

ただそれだけに、映像制作にまつわる基本について、もっともっと経験をつんでいってほしい。増水した川のカットが、川べりの二人の構図に全然つながらなかったり、寒いはずのシーンがまったく寒そうにみえなかったり、どしゃ降りのはずなのに陽差しが明るかったり、迷いこんだ山中で暗くなっていく不安が描かれていなかったり、映像でものごとを表現するうえではかなり素朴な弱点が多い。予算の問題もあったろうけれど技術的にアマチュアというか、そういう意味では、まだまだ、これで満足してはもったいない。

とくに編集が気になった。この編集者はテレビかビデオのひとでは? ちいさい画面で編集していて、その見た目に馴れてしまっている切り方にみえる。根本的に間合いが短いため、観るがわが対象に集中しきった瞬間にぶつりと切れる。劇場スクリーンのサイズで考えた場合、あと最低一秒はひっぱって切ってほしいと思うカットが多かった。

これが映像学科の卒業制作であれば、ナイーフ(すなおすぎて無防備)ながらすばらしい感性、今後に期待、というところだろう。こういうひとこそ、ハリウッドでもイギリスでもどこにでも行って、大監督に師事するといいのかもしれない。2007年カンヌ映画祭審査員グランプリ(Grand Prize of the Jury)。河瀬さん、賞のことは忘れて、ちやほやする世間も遠ざけて、技術と才能を磨いてください。

追記:同年のパルムドールはクリスティアン・ムンジウ『4ヶ月、3週と2日』、審査員長はスティーヴン・フリアーズ(Stephen Frears)。『マイ・ビューティフル・ランドレット』(1985)、『危険な関係』(1988)、『クィーン』(2006)などを撮っているイギリスの監督で、作品によって大きくスタイルを変えるタイプにみえる。腕はいい。いっそこの人に師事しては?


メモリータグ■ひとは死にたいときに死ねるものではない。あっさり死ねない苦痛を見すえて、いつかそのさきを見せてほしい。



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