広東省の工場を巡っていると、ときどきワーカーさん達に混じって、ちょっと毛色が変わった女の子がいることがあります。
これが日系の工場だと、みなさんきっちりユニフォームで決めていますが、台湾系だと
二線級や、今日入ったばかりの新人はユニフォームを着ていなかったりします。
はたまた爪が極彩色だったりして。
他にも理由があるのかなあ・・・・、などと考えていたのが、現実だった瞬間。
「たーさん、あっち側で仕事している子どう思う?」
「どう思うって・・・・」
「今夜どう?一緒に?」
「なぬっ!おまいのところは昼・夜違う仕事を斡旋してるのか?」
「ちがう、ちがう。 あいつ、夜は街のほうのカラオケでバイトしてるんだよ。面白いから
ママに電話しといて、キープしといてもらおう。」
「趣味わりイなあ・・・」
「で、どうする?」
「面白いからやろう!」
「そうこなくちゃ!」
でっ、食事を手早く済ませてカラオケに繰り出す。
何度か顔を合わせたことのあるママが出てきたが、「本当にいいの?」的な顔をしている。
同行はといえば、没関係を連呼しているので、やっぱりそういった会話なのね。
あっしのほうはと言うと、ママと一緒に女の子が溜まっているところへ行って、先にご指名し、くだんの女の子の隣に立つようにママが指示する。
さて!中国カラオケ恒例の顔見せ。
女の子10人セットで一列に並ぶと、くだんの女の子は髪型も変わっているが、ちょっと
驚いた顔をしている。同行の老板と顔を見合わせクスクス笑いあうが、すぐに真顔に
戻ると、さっき指名しておいた女の子を指差す。
その瞬間に、老板が、
「よし、そこの2人、彼の隣に座ってくれ。」と声をかける。
かくして、彼の工場でワーカーをしている女の子とあっしの指名の二人があっしの両側に
ひとりずつ。(ワーカーさんは老板側だ。)
表情を見た限りでは、どうやら覚悟を決めたもののごとく、もうどうにでもなれという顔を
している。
早速、自己紹介がてら乾杯となるのだが・・・。
「あのっ、」
「んっ?」
「えーと・・・」
「何?」
「だから・・・」
老板と目があって、ついにいたずらバラす時が来たことを目で告げる。
大きくうなずく老板。
「○○有限公司の Cラインの○○ちゃん、なにを聞きたいの?!」
「きゃーっ!!!やっぱり。」
「おまえ、アルバイトはいいけど、他の子をスカウトするなよ。」
「親せきが多いんで、稼がないと・・・」
「ま、俺は工場の仕事をしっかりやってくれれば、文句はないさ。」
「有難うございます。サービスしちゃおっと。」
「俺はいいから、お客様にサービスしてくれよ。チップはちゃんと払うから。」
あとはワイワイガヤガヤ、サイコロゲームなどもやってみると、
話好きな子で、頭も悪くない様子。
頭の具合は、ゲームをやるとすぐわかってしまうからだ。
「ワーカーにしては、結構頭いいんじゃないの?気も効くし。」
「うん、俺もそう思う。明日履歴書をもう一度見てみるよ。総務のほうで使えるかも。
たーさんが日本語でも仕込んでくれりゃあ、ばっちりだけどな。」
「遠慮しとこ。でも総務に移すとなると、この稼業はまずいよなあ。」
「給料はあがるだろ?それでダメならこのままだな。」
「まあね。」
老板も話は聞いていたものの、本人と直接話したことはなく、意外な側面を見て
見直したようだ。
ママにも聞いてみたところ、身持ちは堅いらしい。(ホントかね?)
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