彼女の勤務先があるビルに到着したのは、勤務終了時間の15分後。
「まずいなあ。この時間じゃあ、もう帰っちゃってるかも知れないな・・・・。」
そう、香港では、それこそ5時のチャイムと同時に帰宅の途につくお嬢さん達の多いこと、多いこと。ちょっとコピーを頼もうと思っても、デスクはもぬけの殻ということが圧倒的に多いのであります。
駄目もとで、来ては見たものの、やはりそこはそれ。ストーカーのようで、何となく嫌な感じで出口の近所でたばこなど吸いつつ、ぼんやりと出口のほうを見ていたのだけれど、いっこうに出てくる気配はない。
「やっぱり、もう、帰っちゃってるんだろうなあ・・・・。」と考えながら、2本目のたばこを吸い始めた時。
ポン、と横から肩を叩かれた。
「んっ?」叩かれた肩のほうを見ると・・・、あらあ!
「お久しぶり。」仲間由紀絵ちゃんがニコニコしながら立っている。
「やあ。あれっ?だけど、何で?ここから出てくるんじゃないの?」
「セクションが変わったので、こっちなのよ。」と待っていた後ろ側のドアを指差す。
「そうかあ。てっきり帰ったかと思ったよ。たばこ吸い終わったら帰ろうかと思って。」
「電話くれればいいのに。」
「携帯を忘れてきちゃったんだよ。」
「間抜けねえ。いいわ、元気だった?わざわざ来てくれたの?」
「ここに居るって事は、そうさ。電話もないし、4ヶ月ぶりだしね。元気だったかい?」
「元気、元気。セクションが変わってからは、仕事もそんなに忙しくないの。」
「そっか。食事でもしようか?時間は?」
「大丈夫。あと、1時間位待っててくれる?」
「いいけど、何で?」
「一度、家に戻ってくる。今回は何日いるの?」
「3泊だな。週末はシンセンで人に会うことになってるけど。」
「じゃあ、また一緒にいてもいい?」
「大歓迎さ!」
毎回密度の濃い時間を過ごしていると、しばらく時間があいても全然問題ないんだなあ。
とっくに、新しい彼氏でも作っていて、軽くあしらわれると思っていたのに。なんというラッキー。
ホテルで待ち合わせることに決まり、一人で一旦ホテルに戻る。カードキーをもう一枚作っておいてもらわないと。
いつも有難うございます。
よろしければ、クリックしてやって下さい。
Copyright © 2005,2006 Ta-san, All rights reserved