goo

[186]ファミプロエッセイ「息子への手紙」

 息子が夏休みの研修に出かけた時、手紙をもらったことがある。日頃見ている姿よりも少しばかり大人びた文面に、嬉しく思ったものだ。しかし、その感動と喜びを素直に本人に伝えていなかった。だから、その後の彼との関わりも余り変わらなかった。

 秋になって、文化発表会に、息子たちが仲間と親孝行をテーマにした劇を発表すると聞いた。この機に息子に返礼の手紙を書いてあげたらどうかと、指導者からのアドバイスもあって、筆を執ってみた。

 静かに記憶をたどると、生まれる前のことから今日までの彼の姿が走馬灯のごとく浮かんできた。誕生の瞬間に立ち会い、この世での第一声も聞いた。「嬉しかった」と書いてから、その後のことをつらつら綴っていくうちに便箋の枚数が何枚も重なっていった。

 なんだか遺言でも書いている気になってきた。今しか伝えられない気持ちを記しておこう、そう思って、「愛している」と結んだ。

 息子はどう受け止めるのだろうか。いつかゆっくり聞いてみようと思う。

(I)
 
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« [185]ファミプ... [187]ファミプ... »