マジンガー通信

多分500万人に1人くらいの割合でしか役に立たないシトロエンC4にまつわるお話など。

F1は振り返っていない(その3)

2010年03月01日 | モータースポーツ
アブダビ(UAE)ではF1の為に島まで作ってしまった始末

F1には先進国での開催を取り止めて
新興国での開催を積極的に行なう傾向があります。
マレーシア、中国、バーレーン、シンガポール・・・
間もなくインドとロシアも加わるそうです。
これは新興国はF1開催を国起こしと捉えていて
国を挙げた大イベントとして運営しているからで、
例えばシンガポールは観光スポットである
ベイエリアを封鎖してサーキットを作ったので
マーライオンの横をF1が走り抜けるという
絵に描いた様なシーンが世界中に配信されました。
フランスグランプリがエトワール広場を封鎖して
凱旋門を回る様な事は多分出来ないので
(そもそも、フランスGPが無くなってしまいましたが)
よりインパクトの大きいレースが運営出来ます。

こんな様な事を世界中でやっている訳です。

F1には他のメジャースポーツとは違う特徴があります。
開催中のバンクーバーオリンピックもそうですが、
普通、大きなスポーツイベントは会場を何処かに設定して、
そこへ世界中の選手と観衆が集まる仕組みになっていますが、
F1はご存知の通り世界中を転戦して回ります。
そして、新興国では大イベントとして注目されます。
ここが非メーカー系チームが参戦する1つの動機になっています。
彼らはレースを本業としている訳ではなく、
車を作っている訳でもありません。
彼らの目的は会社の知名度を上げる事、広報です。
この先、世界経済は新興国が引っ張って行くと言われています。
当然、企業もかの地で一刻も早く成功して
ライバルを出し抜きたいと考えるでしょうが、
1からマーケティングしていくのは至難の業といえます。
そこで役に立つのが国を挙げて盛り上げているF1。
実際にその国で走るので注目度は満点。
何処かのチームにロゴを貼るスポンサーではなく
チームオーナですからPR活動の自由度も高くなります。
注目がある程度約束された場所で自由に企業をアピール出来る、
非メーカー系のオーナーは、そこに魅力を感じている様です。

彼らが演じるのは、ドン・キホーテかゴトーか・・・

もう1つは彼らが参加出来そうな程に
F1参戦にかかる予算が下がりそうだという動きです。
恐らくトップチームでも150億円程度で落ち着くだろう
という年間予算に対する指針が出ている様で、
慎ましく活動していれば100億円以下でも運営出来るでしょう。
清貧チームとして名高かったスーパーアグリですら
年間予算は250億円かかったと言われていますから
(その殆どをホンダが出していたとも言われていますが)
かなり現実的な線まで下がったと言えそうです。
これに出走する事で得られる放映権料と成績によって貰える賞金、
スポンサーを募って予算の足しにすれば、
十分に割に合う事業に成り得るという事の様です。
当然、知名度を得るのに5年も10年も時間は要らないので
この手のチームの寿命は短いでしょうが、
同じ目的を持った企業がチームを買うというサイクルが出来れば
F1にとっても良い刺激になるのではないかと思います。

F1は自動車メーカーが去る事で純粋なレースに先祖帰りする、
その様な夢想家の世界に戻る気は、やはり毛頭無い様で
鵜の目鷹の目が凌ぎを削る世界は相変わらずな様です。
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