樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

「保全」か「改変」か

2019年04月11日 | 野鳥
調べたいことがあって府立図書館で資料を探していると、『絶滅できない動物たち』という本に目が止まりました。鳥の章だけを読んで驚きました。
北米に「世界でもっとも数が多い鳥」といわれたリョコウバトがいました。19世紀に活躍した鳥類研究者であり画家のオーデュボンは、その渡りを見て「空を覆い尽くすような群れが3日間途切れることなく飛び続けた」と日記に記しているそうです。そのオーデュボンが描いたリョコウバトが以下。


Public Domain

ところが、このハトは肉が美味だったために乱獲され、1890年代には激減。そして1914年、動物園で飼育されていた最後の1羽が死亡して絶滅します。下は、マーサ(初代大統領ワシントンの妻の名)と名付けられた最後の1羽の写真。


Public Domain

上記の『絶滅できない動物たち』には、そのリョコウバトのDNAを抽出して蘇らせるというプロジェクトが進行していると書いてあったのです。家に帰ってネットで調べてみると、『ナショナルジオグラフィック』の記事に具体的なことが書いてありました。
要約すると、博物館に保存されているリョコウバトの標本からDNAを抽出し、遺伝子操作によってリョコウバトの形質を持つ鳥を作成しようとしたものの、完全なゲノムの抽出が難しいので、現存する別の鳥のゲノムと入れ替えてリョコウバトを生み出すということのようです。
驚くとともに、「こんなことが許されるのか?」と疑問が湧いてきました。しかし、コウノトリやトキは人工繁殖によって絶滅を免れました。絶滅した動物をDNA操作で再生することと、絶滅寸前の動物を人工繁殖で増やすことにどれほどの違いがあるのでしょう。
人工的に動物を再生・調整することは、自然の保全なのか改変(もっといえば破壊)なのか、私には結論が出せません。
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2 コメント

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Unknown (kazuyoo60)
2019-04-11 10:12:22
先日はご馳走様でした。ありがとうございます。
>空を覆い尽くすような群れが3日間途切れることなく飛び続けた
生命材料が膨大なリョコウバト集まっても、他の生命体も共存で来ていたのですね。リョコウバトの悲劇、人が介在したからでしょう。救うのも人だとしても、自然状態での回復が望ましいですから。
DNAの抽出は氷が溶けて現れたマンモスの時にも話題になっていたのを覚えています。
新種誕生もあるようですが、地球上で絶滅した種、びっくりの数だと聞いています。
kazuyo様 (fagus06)
2019-04-12 17:18:57
こちらこそ、いつもいつも手間のかかるおいしものや美しい花をいただいて、ありがとうございます。
この絶滅した動物の再生の話のことを読んでいると、映画『ジェラシックパーク』の世界が現実のものになるかもしれないと思います。
私はちょっと抵抗がありますが…。

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