樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

街路樹の功罪

2009年11月26日 | 街路樹・庭木
大阪市のメインストリート・御堂筋のイチョウ並木が黄葉し、灰色のビル街に鮮やかな色を添えています。通行人も誇らしげに眺めて歩いて行きます。
でも、2週間ほど前までは路面に落ちた銀杏の臭いに眉をしかめながら、実を踏まないように注意して歩いていました。


(鮮やかに色づいた御堂筋のイチョウ並木)

以前はクレーン車が出動して枝を揺さぶって実を落とす「銀杏落とし」が秋の風物詩でした。傘を逆さに構えた人たちが落下する銀杏を争うように拾うシーンが毎年テレビで放映されたものです。でも大阪府の財政難で、数年前から中止。


(落下して踏み潰された銀杏)

しかも、通行人や周辺のお店から「落ちた実が臭い」と苦情が出たり、クルマが踏むとスリップして危ないという理由から、実をつけない雄木に順次切り替えているそうです。御堂筋のイチョウ約830本のうちの約400本が雌木ですが、その半分がすでに雄木に取り替えられたとか。
昔は御堂筋の銀杏は大阪市内の料亭で人気が高く、セリにかけられるほどだったそうですが、中国産の安価な銀杏が出回って需要がなくなったという事情もあるようです。


(吹き溜まったイチョウの落ち葉)

銀杏は確かに臭いですが、通行するのに我慢できないほどのものではないでしょうし、クルマがスリップすると言っても衝突事故が起こるほどとは思えません。こういう苦情が徐々にエスカレートして、そのうち「落ち葉はじゃまになるし、スリップして危ないから落葉樹を植えるな」という声になるのではないかと危惧します。
最近の都会の人間は少し過剰防衛というか、過敏になっていませんか。こういう意識の延長線上に、肩がちょっと触れたからと言って喧嘩する姿があるように思えます。もっと鷹揚になればいいのに…。
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4 コメント

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都会では (scops)
2009-11-27 10:25:38
葉っぱや実はゴミ扱いですからね…。
溜まったり臭ったりすると確かに不都合はありますが、もうちょっと余裕がほしいと言うのが実感ですね。

こちらでも、近くの京都府庁のケヤキ並木の枯葉がすごくて掃除も大変なんですけど、見事な秋色を楽しませてもらっているんだから、私個人は掃除が苦になることはありませんが。

一方、街路樹はまだ葉の付いているうちから、どんどんと切ってしまいますね。あれで木に影響はでないんでしょうかね。
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御堂筋でも (fagus06)
2009-11-28 08:08:37
毎日ではないものの、定期的に清掃していますし、それぞれのビルの管理者が掃き掃除していますから、全く放置されているわけではないのですが、気になる人は気になるんでしょうね。

街路樹の管理もご多分にもれず、予算縮小の中でコスト競争になり、業者の中には樹木の専門知識のないスタッフが作業に当たっているという話を聞きました。
そういうコストカットが強剪定を生み出しているのかも知れませんね。
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札幌に大阪の並木道 (guitarbird)
2009-11-29 19:01:49
こんばんわ
こちら、うちの前の通りの街路樹がイチョウで、
「大阪のの並木道」という名前がついていることが、
近くに石標が埋められていて分かったんです。
でも、なぜそうなのかはまだ調べがついていないのです。
こちらは街路樹はかなり雄の木の割合が高いと思います、
ギンナンが落ちているのや拾う人は道路ではあまり見ないです。
神社に大きなギンナンが成る木があります。
ちなみに私はギンナンは一度しか食べたことがないですが、
特に進んで食べたいというほどでもないです・・・
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大阪の並木道が (fagus06)
2009-11-30 08:23:26
札幌にもあるんですか。それはおもしろいですね。やっぱりイチョウ並木。

街路樹や公園の樹木では、そちらではポプラの綿毛が問題になっているようですね。洗濯物や干した布団にくっつくとか…。部屋の中まで入ってくると困りますね。

ギンナンは一度にたくさん食べるとよくない、と言いますね。子どもは何個までとか決まっていたようですよ。
私もたくさん食べたいとは思いませんが、茶碗蒸しなんかに1個入っていると、うれしいです。
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