樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

野菜と果物と木の実

2013年10月24日 | 木と飲食
10月3日の「柿食い」の記事のコメントで「スイカは野菜」と書きました。私の中では「草本の果実は野菜、木本の果実は果物」なのですが、「じゃあ、イチゴは野菜か?」と反論されると返答に困ります。
農林水産省のサイトで確認すると、「野菜」の定義は以下のとおり。
・田畑に栽培されること(山菜は野菜と区別する)
・副食物であること
・加工を前提としない
・草本性であること
その後に以下の但し書きがあります。
「しかし、どの定義も確固たるものではありません。 また、農林水産省では、果実を、生産や出荷の統計をとる上で果樹として分類しています。この果樹は、木本性などの永年作物のことをいいます。なお、いちご、メロン、すいかなどは野菜に分類されますが、果実的な利用をすることから果実的野菜として扱っています」。
バナナも草本ですから「果実的野菜」ということになります。結論的には、野菜と果物は厳密には線引きできないということです。


私は毎朝1本「果実的野菜」を食べます

「じゃあ、果物と木の実はどこで線引きするのだろう?」という新たな疑問がツリーウォッチャーの頭に中には湧いてきます。
「柿食い」の記事でご紹介した果物好きの正岡子規によると、次のとおり。
「くだもの、というのはくだすものという義で、くだすというのは腐ることである。果物は凡て熟するものであるから、それをくさるといったのである。大概の菓物はくだものに違いないが、栗、椎の実、胡桃、団栗などいうものは、くだものとはいえないだろう。さらばこれらのものを総称して何というかといえば、木の実というのである」。


栃の実も木の実(栃の森で撮影)

なるほど。要するに、柔らかい(つまり果汁を含んだ)実は「果物」、堅い実は「木の実」という線引きが成り立ちそうです。
「さすが、正岡子規!」と言いたいところですが、ツリーウォッチャーの頭の中にはさらに疑問が湧いてきます。「じゃあ、ブルーベリーは果物か?」


これは果物?

ブルーベリーだけでなく、前々回の記事で私が試食したような小さくて柔らかい実は、「果物」ではなく「木の実」と言うはずです。英語では木本の果実をFruit、Nut、Berryと言い分けますが、日本語にはBerryに当たる単語がないことに気づきました。
日本では野菜と果物と木の実の境界は曖昧ということですね。
コメント (2)
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