樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

一乗寺下り松

2008年09月01日 | 伝説の樹
京都市の北東部に、宮本武蔵と吉岡一門の決闘で有名な「一乗寺下り松」が今も残っているというので見てきました。

       
           (石垣で築いた塚の上に建つ顕彰碑とクロマツ)

その場所には「宮本 吉岡 決闘の地」と刻まれた石碑と4代目というクロマツが並んでいました。近くには、武蔵が決闘前に祈願したという八大神社や「武蔵羊羹」を売っているお店があり、ちょっとした観光スポットになっています。
しかも、八大神社には決闘当時の下り松の古木がご神木としてガラスケースに飾ってあるほか、宮本武蔵の銅像も建っています。さらに、中村錦之助が主演した映画『宮本武蔵 一乗寺の決闘』のポスターや写真の展示コーナーまで…。

             
       (ガラスの写り込みで見にくいですが、ご神木の松の古木)

ところが、京都のある樹木研究家は、決闘の地は別の場所だろうと推測しています。京都の北西部に七本松という場所がありますが、その付近の一条通りに「一条下り松」と呼ばれる名木があったそうで、決闘は「一乗寺下り松」ではなく「一条下り松」で行われたのではないかと言うのです。
そう言われれば、「一乗寺下り松」周辺は全体が斜面になっていて、決闘に適した場所とは思えません。どっちが正しいのか今となっては確かめようがないですが、関西弁の「言うたモン勝ち」で、石碑や銅像を建てれば既成事実になります。

             
                  (宮本武蔵の銅像)

その樹木研究家によると、下り松とは枝が垂れた松のことで、武蔵が活躍した江戸時代には京都にその名所が5つあり、最も古いのが一乗寺下り松。古来、京都から比叡山へ登る道の目印にされていて、『平家物語』にも登場するそうです。
コメント (2)
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