映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
時には新しい映画も…

(シネマ雑記帳) ( 75) 「恋におちて」

2006-03-06 00:02:07 | 映画
 「愛と哀しみの果て」と云う映画から私は、未知の世界として「アフリカ大陸」の新鮮な魅力を教えてられました。私のブログでも取り上げたこれらの一連の映画に登場する女性達に、共通するものはあらゆる困難に力強く立ち向かって行った、素晴らしい知性と実行力を備えた理想的な女性像でした。
 特に私は「愛と哀しみの果て」のカレン役で、女優としてのメリル・ストリーブに強い印象を受けました。彼女に対する評価はその後の作品で、ニューヨークのスラム街に住む子供達に、根気強くヴァイオリンを教える教師役を演じた「ミュージック・オブ・ハート」にも深い感銘を受けました。
 この「恋におちて」はタイトルは聞いた様な気もするけど‥と云う程度でメリル・ストリーブが出ていると云うだけの理由で「衝動借り」したため、全く先入観もなく結末が判らないまま観たので、最後まで気を抜かずに観ました。
 クリスマスの夜に子供への贈り物を、お互いに取り違えたことから知り合った二人‥それぞれの家庭の事情もあって接近していく二人‥押し流されそうな熱情と家族への愛、そして理性の谷間で迷い立ち止まる二人‥
 彼女との愛を清算して遠くへ旅立つと言う彼‥その前に一目だけでも‥と云う、彼の頼みと自らの熱情に駆られて彼の元へ必死に車を走らせる彼女‥踏み切りでの列車待ち‥無情に過ぎて行く時間‥でもそれが彼女に冷静な知性を甦らせます。別離‥‥時は流れ‥再び訪れたクリスマスの夜‥それは心に残る暖かいほのぼのとした感動的なラストでした。
 ラブ・ストリーの原点とも云うべき「哀愁」「旅愁」などに見られる少し古めかしい道徳観や倫理観とは、また別の現代的な視点から「愛」や「恋」の形を見つめたものとして、私達世代でも関心を持って観ることが出来ました。
 
 

〔映画音楽) またも「ムーン・リヴァー」

2006-03-05 00:09:39 | 映画音楽
 前回の続きです。
 探して見ると「ティフアニーで朝食を」のVTRはすぐに見つかりました。
 先ず冒頭の番組の司会者とゲスト歌手鈴木重子さんとの対談がありました。映画の中でA・ヘップバーンが歌う場面がありますが、鈴木さんは彼女の歌い方を評して,非常に丁寧に誠実に歌っていると云います。画面に出てくる彼女の歌はそう長いものではなかったと思いますが、窓辺でギターを抱えて歌う場面は印象に残りました。
 鈴木重子さんが歌った「ムーン・リヴァー」は英語で、画面に和英両方の字幕が映りました。だからと云って聴いて覚えられるわけでもなし、しょうがないのですが、とにかく歌を聴きながらその歌詞を辿っていくだけで、楽しい気分になるのですから不思議なものです。
 結局は鈴木さんの歌を含めて合計4種類の、「Moom river」を一晩かかって聴きまくることになりましたが、どれも優劣つけがたく‥と云うよりも、頭の中がごじゃごじゃになりました。どのヴァージョンも気分がよく出ていて良かったですが、どれでもいいからベストを選べ‥と云われたら、やっぱりA・ヘップバーンの歌の一番がいいと思います。
 CDの歌声はあの某国の王女さまの頃のイメージと、ちょっと違うような気がするんだけど‥まぁあれから長ーい年月が、たっているし許して上げましょう。それにしてもヘンリー・マンシーニは、あまり広くない彼女の音域に合わせて、作曲したと云われるだけに彼女にちょうどピッタリの歌でした。
 マンシーニとヘップバーンのお付き合いといえば「シャレード」がありますが、私が苦手のサスペンス風らしいのでまだ観てませんが、CDに入っている音楽も素敵なのでレンタルしなくては‥と思います。
 実はブログ作りの間、彼女の歌がPCから何回も繰り返し流れています。二十回ぐらいは休憩ヌキで歌ってくれたはずなので、王女さまもそろそろとお疲れのご様子のようですから、お休み戴くことにしましょう。私の頭の中の彼女は永遠のプリンセスでございます。
 あの頃の世界の恋人‥今でも我が憧れの恋人‥オードリー・ヘップバーンについては、いずれ原点の「ローマの休日」に戻ってでも‥また一晩かかってでも‥総括を書きたく思います。
 でも、その前にヘンリー・マンシーニの音楽「シャレード」ですが、CD聴くだけでなく映画も観なくてはね‥また宿題が出来ました、

 
 

(映画音楽) 再び「ムーン・リヴァー」(映画「ティフアニーで朝食を」より)

2006-03-04 00:30:02 | 映画音楽
 CD音楽のPCへのインプット作業の際、CDの収録曲目を一枚づつ点検して今まで見落としていて判らなかった実態が、少しづつ判って来たのは大きな収穫でした。
 例えば軽音楽で今まで持ってない‥と思い込んでいた、「炎のワルツ」(Let me go lover)がちゃんと入っていたのは、大きな拾い物で感謝感激あるのみ‥歌っていたのはジョー・スタッフオードという女性歌手で、タイトルのように燃えるような激しい歌いっぷりが大いに気に入りました。パティ・ペイジのアルバムにこの歌が収録されているので、急に気になっていたのですが‥よかっね‥と一人で喜んでいます。
 もう一つの収穫は前にも書きましたが、このCDに入っている映画「ティフアニーで朝食を」の主題曲「ムーン・リヴァー」のCDに三種のバージョンが存在することを発見したことです。
 最初の一枚はパーシー・フエース・オーケストラのCDで、すべて映画音楽で構成され「夏の日の恋」〔避暑地の出来事〕「風のささやき」(華麗なる賭け)「魅惑の宵」〔南太平洋)などが入っています。非常に甘いストリングス演奏で、映画の場面が浮かんで来そうな感じです。A・ヘップバーンの映画主題曲は「ムーン・リヴァー」の外に、「マイ・フエア・レディ」の主題曲「踊り明かそう」なども収録され、ついでにもう一度映画が観たくなりそうな楽しいCDです。でも「華麗なる‥」と「避暑地の‥」は観てないので、レンタル屋で探そうかな‥
 その次が作曲者自身の楽団が演奏した「ヘンリー・マンシーニ・オーケストラ」のCDです。後半から混声コーラスが入って、これが綺麗でとても良いムードを出してます。フランシス・レイの作品よりですが「ある愛の詩」も収録されています。
 おや、こんなのいつの間に買ったのかな?と、今頃気がついたのが映画のサウンド・トラック盤です。
 ‥と云うことは主演のA・ヘップバーンが、窓辺でギターを抱えて歌う場面‥と云うことは‥これ彼女自身の声‥?少し低音で‥でもサントラ盤にしては長すぎるよ‥映画ではそんなに長く歌っていなかったような気がするんだけど‥?サントラとは云いながら、ついでにオリジナルで作ったのかな?まぁどちらでもいいけど‥
 間奏のギター演奏が印象的でオーケストラ演奏もいい気分だし‥それにこの歌詞が欲しくなって来たんだけど‥
 ここで思い出しましたよ‥去年、NHK-BS放送を観たとき、鈴木重子さんという美人歌手の方が歌った時のVTRが残っているはず‥これには和英両方の歌詞が写っていたはずだ‥あるかな? 探そう! (続く)
 

 


 

(CD雑記帳)「なごり雪」(イルカ)

2006-03-03 00:05:17 | 音楽
 先日ののNHKラジオ「歌謡パレード」にイルカさんが久しぶりに出て、「なごり雪」を歌っていました。春はもうそこまで‥あっと云うまに過ぎていった二月のラスト・ディにふさわしい歌でした。
 フオーク系は若い頃の軽音楽程ものめり込みませんでしたが、それでもイルカさんのライヴを聴いたこともあり、日頃から尊敬する歌手の一人です。
 「暖かい福祉の町」を目指すという趣旨に賛同して、イルカさんが私が住む町でトーク&ライヴ・チャリティ・ショウを開いたのは三年程前のことでした。
 その頃私は勤務先で福利関連の業務にもかかわっていたので、仕事半分、趣味半分と云う立場でこのイベントに参加しました。
 第一部のトーク・タイムでのイルカさんの言葉の端々に、恵まれない人達への惜しみない理解と愛情に溢れていて、ぬくもりのある人柄が感じられました。自然や環境に対しても深い思いを持っていて、この道に関した著書や美大出身の腕を生かして子供向けの絵本の出版などにも取り組んでいることはよく知られています。
 第二部のライブでは登場するなり、「なごり雪」「雨の物語」「海岸通」とベスト・ヒットを全部歌い切って仕舞い、予想外の成り行きに呆然とする聴衆に「まだ始まったばかりですから‥歌はまだこれからですからね‥」と安心させる一幕も‥
 それからは依頼されて作曲した九州のある中学校の校歌の紹介や、韓国語の「なごり雪」を披露してくれました。
 今になって考えてみればあの頃すでに、イルカさんは今の韓国ブームを予見していたのかな‥と思うほどでしたが、彼女にはそんな野心は全くなくて純粋な気持ちで、日韓の橋渡しを努めていられたのだろうと思います。
 それから、「なごり雪」の歌唱指導でイルカさんと共に、参加者みんなが思いっきり熱唱して、大きな感動の渦の中でライブは終わりました。
 心残りは韓国語の「なごり雪」フロアで販売されていたのですが、欲しい人が殺到して買えなかったことは少し残念でした。
 「イルカ」のネームは学生時代のあだ名だったそうですが、「大洋を自由に泳ぐイルカは世界を結ぶ架け橋‥今はこのネームに運命的なものを感じる‥‥」と云うイルカさんは、国際自然保護連合(IUCN)の親善大使として、全世界を舞台として頑張っています。
 今後の益々の活躍を期待しましょう。
  
 

 
 

〔CD雑記帳)「あの日にかえりたい」 〔荒井由美)

2006-03-02 00:11:32 | 音楽
 CDアルバム「私の青春譜」より 作詞/作曲 荒井由美 編曲 松任谷正隆
 <悩みなき きのうのほほえみ
  わけもなく にくらしいのよ
  青春の後姿を 
  人はみな 忘れてしまう
  あの頃のわたしに戻って 
  あの人に会いたい>

 深夜放送に親しんでいた四十代の頃‥こんな歌に耳を傾けながら、もう返らない遠い時代に思いを馳せることがありました。
 のびのびと自由で何の心配もなかったあの頃‥青春の後姿‥そうかなぁ‥人はみんなそんなに簡単に、青春時代の軌跡を忘れてしまうものなのかなぁ‥
 私は今でも忘れていないけど‥今でもしっかり覚えているけど‥
 でもあの頃に戻って見たい‥出来るものなら‥そうして見たいです。
 
 忘れたい程つらい哀しい青春の記憶‥泣きながら写真を破って‥その後でそっとつなげてみる‥そんなロマンチックな恋を想像したり、憧れたことってあったのかなぁ‥ちょっぴりはあったかな‥でも本気で考えたことは、あんまり記憶にありませんでしたね‥
 あの頃は映画や音楽マニアの友達とそれらしき話題になっても、単に「映画」や「小説」の上での話題であって、直接「恋」とか「愛」とかにつながるものではなかったし、どうせ虚構の世界‥現実に起こり得るはずがない‥みんながお互いにそう思っていたから、なにも起こらないのが当たり前でした。
 あの頃私たちの憧れと云えば世界の恋人‥オードリー・ヘップバーンであり、グレゴリー・ペックでしたから‥最初から望みが高すぎて大物ばかりを狙っていた人ばかりでしから、永遠に噛み合う筈がありませんでした。
 「ローマの休日」みたいな世界にハマルことで、現実逃避したいと云う人間ばかりの集まりでしたから、リアリティの世界に戻るようなことは考えませんでした。
 それでも現実的なハードルをクリアして0.1%未満の確率で、仲間同士でゴールインしたカップルが出来ると、それはそれは大変でみんなの祝福の嵐に包まれて‥機関誌には第一面トップ記事の新居訪問と直撃インタビュー、それは現代の週刊誌かワイド・ショーなみの扱いでした。
 でも私たちの真実の気持ちは祝福と同時に羨望よりも、これで「二人の青春は終わった‥」と云う同情の気持ちもありました。
 現実的な悩みはいっぱい抱えながらも、シネマやミュージックの世界に浸ることで、その日その日をなんとか生きていたあの青春の日々‥ 

 やがて迎えた中年時代‥家族たちの生活を守るために、一転して「働き蜂」一筋に大変身‥転んでも只では起きない私は、そこで深夜放送に出会いました。
 でも若い頃ほどはハマリこめませんでした。それは大人としての分別が出来てきたことと、年齢のせいか‥なによりも「睡魔」には勝てず、夢うつつで聴いていたからです。
 それがまた勤務中と云うことを忘れるぐらい、夢幻的な雰囲気で‥それであの頃の音楽にはやはり思い出が多いのです。

 
 
 

 

〔シネマ〕(74)またも見ました「めぐり逢い」(リメイク版)

2006-03-01 00:15:29 | 映画
 ストリーもラストもが判っているリメイク版と云うものは、大体退屈なもの‥と思いこんでいた私は、今まであまり観たことがありませんでした。しかしこの映画に限っては、最後まで楽しんで見る事が出来ました。
 ストリーは1957年の旧作と大きく変わりませんが、この映画の見所はストリーがどうの‥と云うよりも、随所に見られるマイク(ウオーレン・ベイティ)とテリー(アネット・ベニング)の軽妙な言葉のやり取りでしょう。
 冒頭の二人の会話を聞いて安心したことが一つありました。それは「記憶の減退」についてですが、テリーの説によると、これは「年齢」は関係なく「ストレスの集積」が原因だ‥そうです。
 最近はよく物忘れしたり物覚えが悪くなりましたが、これは「年齢のせいじゃないよ‥情報過多の日常のせい」で、ちょっと脳内パソコンが‥という事にして置きましょう。〔とりあえず‥気休めですが)
 
 最も期待した場面は寄港した島に住んでいる、ジニー叔母さん(キャサリン・ヘップバーン)を訪問するところですね。叔母さんは彼女が気に入ってマイクのことをいろいろと話します。そしてピアノを弾いて‥旧作ではここでテリー(デボラ・カー)が歌うのですが‥リメイク版では、何故か歌はありませんでしたね。
 地中海に面した南フランスの風光も素敵でしたが、新作の牧歌的な田園風景も落ち着いて良い雰囲気でした。初対面から心が通じ合った二人の女性の別れの情景は、新旧どちらも良かったです。
 ラストの会話はどちらもほぼ同じような感じに思いました。待ち合わせ場所のエンパイヤ・ステート・ビルに来られなかった理由について‥どちらもが意地を張って遠回しの言い方をします。
 会話が噛み合わないまま‥サヨナラになりそうになった時‥始めて彼が知った彼女の真実‥結末が判っていても、やっぱりドキドキするしハッピーなラストが見えて来た時は、ホッとしてほのぼのと心が暖かくなりました。

 水の都ヴェニスを舞台に繰り広げられたラヴ・ロマンス‥「旅情」あれからご無沙汰のキャサリン・ヘップバーンでしたが、彼女はこの作品で名言を残しました。
 叔母さんは今幸せ?と云う問いに対して次のように語ります。
 「幸せを得ることはそれ程難しいことではない‥その幸せをいつまでも持ち続けていくことの方が難しいのよ‥」
 ほんとにその通り‥人生経験豊かな、彼女の言うことですから間違いありませんよ。
 「今、生きている幸せと充実感‥これを心豊かな未来に向けて、いつまでも大切にして行こうね‥」と云っているように感じました。これはマイクとテリーに対する、叔母としてのメッセージだったのかも‥
 この大女優もすでに他界して、オールド・フアンは尚一層寂しくなりました。
 
 マイクとテリー役のスターたちも良かったですね。旧作もリメイク版も一見コミカルなようで適度におセンチなムードも醸し出して、さりげない会話の中にちりばめられたユーモアとウイットを楽しむ映画のようでした。
 前のブログで触れた「めぐり逢えたら」の中で、旧作「めぐり逢い」にハマリこんでいたサニー(メグ・ライアン)が、このリメイク版を見ていればどんな風に感じたでしょうか‥などと俄かに気になってきました。。
 いずれにしてもあまり頭を使わずに、二人の会話を聴きながら気分よく観られた楽しーい映画でした。

 57年の「めぐり逢い」やっぱりもう一度‥じゃない‥新旧合わせて四度目‥を観たくなりました‥