映画と音楽そして旅

主に懐かしい映画や音楽について…
時には新しい映画も…

(バーチャル・ツアー)(25)「終着駅 松本」

2006-06-20 00:02:33 | 旅 おでかけ
 始発駅を出てからか一体…どのくらいの日が流れたのでしょうか。
 まぼろしの特急「あずさ2号」は、ひっそりと深夜の松本駅のプラット・ホームに入りました。そこには始発駅をスタートした時のあの華やかムードはもうありません。ホームはひっそりと静まり返って、聞こえるのはこの列車から降り立ったツアーの人たちの囁き声だけです。そしてなにかヒヤリとした冷気が吹き込んできました。
 
 どこからか聞き覚えのある歌声が…おお、あれは私が敬愛するペギー・リーおばさんの声ではありませんか…そうです…彼女が歌う「ローマの秋」です。
 時は1952年…舞台は夜のローマ駅…と云えば…オールド・フアンには懐かしいヴィトリオ・デ・シーカ監督のイタリア映画「終着駅」です。

 我が青春真っ只中…グラマー女優シルバーナ・マンガーノの、あの豊満なボリュームに圧倒されて、すっかり敬遠していたイタリア映画でした。
 その中で例外的に観たくて結局は観損なった映画…今でも心残りになっている映画…それはこの「終着駅」と「高校3年」の2本でした。
 
 「高校三年」は無名の女優ばかりでしたが若さと新鮮さに溢れた、イタリア映画らしからぬ明るい青春映画でした。特に主題曲の「デりカード」は私のお気に入りで、とても陽気で明るい軽快な曲ですが映画音楽の王者、パーシー・フエースの演奏で私のPCにも入力してありますので、今でもブログ作りをしながらしばしば聴いている名曲です。
 
 「終着駅」は{陽のあたる場所」{地上より永遠に」で、なにか陰影のある風貌のモンゴメリー・クリフト…それに私に海外への憧れを植え付けた「慕情」のジェニファー・ジョーンズ…この二大スター共演の大作でしたが、舞台を夜のローマ駅に限定したラブ・ロマンスでした。
 「お宝映像」は最近になって我が家の「ゴミ」の中から発掘された「第一級資料」?で、我が国での公開以前の紹介記事からですが、タイトルが「終点駅」となっているのにご注目下さい。
 もしこの題名だったら…この映画のヒット率はどうだったでしょうね。
 あなたは「終着駅」と「終点駅」…どちらのタイトルがいいですか。
 「終着駅」の方が旅の終わり…ほっとした安堵感と、ふと胸を横切る寂寥感 虚脱感…を実感するような余韻のある表現と思いますが…。
 
 …などと寝言みたいなことを云っているうちに、夜明けが近づいて来ました。
 空想と妄想で過ごした20日間…誇大妄想も益々エスカレートして、初夏の信州からいつの間にか秋色迫る夜のローマ駅に飛んでしまいました。
 残雪の北アルプスが眩いばかりの陽光に映える頃…中央本線松本駅には、爽やかな涼風を探して松本市あるいは上高地へ向かう人々で、いつもの雑踏が戻って来ることでしょう。
 まぼろしの特急「あずさ2号」は役目を終えて消えて行きますが、懐かしい想い出はみんなの心の中で永遠に残ることでしょう!
  このツアーに最後までお付き合い戴いて有難うございました。
    コメントなどで旅を楽しく盛り上げてくださった皆様に
      心から感謝致しますと共に、またの「ご利用」をお願い申し上げます。