自在コラム

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★能登は再生可能エネルギーのショールーム

2018年11月12日 | ⇒トレンド探査

   能登半島に木質バイオマス発電の施設が完成し、きょう(12日)火入れ式が執り行われた。地域の資源でもある間伐材を活用する。太陽光発電はもちろん、半島という地の利を活かした風力発電も数多く立地していて、まさに能登は再生可能エネルギーのショールームではないだろうか。

   発電所は輪島市三井町の山中にある。スギや能登ヒバが植林された里山に囲まれている。木質バイオマス発電は、間伐材などの木材を熱分解してできる水素などのガスでタービンエンジンを駆動させる。石炭など化石燃料を使った火力発電より二酸化炭素の排出量が少ない。発電量は一般家庭で2千5百世帯分に相当する2000KW(㌔㍗)時。エンジンを駆動させるために必要な木材は一日66㌧、年間2万4千㌧もの間伐材を調達することになる。(※写真・上は2017年5月撮影)

   発電所を運営する株式会社「輪島バイオマス発電所」に大下泰宏社長を訪ね、会社設立の話をうかがったことがある。大下氏はもともと行政マンで同市の副市長もつとめ、能登の里山に愛着とこだわりを持っている。インタビュー(2013年8月)ではこう語っていた。「能登の里山を再生するために、間伐材をどうしたら有効利用できるかを考えていたら、バイオマス発電が浮かんだ。そこから夢も膨らみ、地産地消のエネルギーで地域の活性化に貢献したいと思い、会社をつくったのです」

   そのことは、同社のホームページでの設立主旨からも読める。「(能登の)多くの木々は、今から50〜60年前に植林されたものです。以来、大切に育てられながら、太く大きく成長して、今まさに利用に適した成熟期を迎えています。しかし現在、森林維持には欠かせない間材で生じた木材のうち丸太材やバルブ材等に利用されているのは70%程度に過ぎないのです。残りの端材や曲がり杉は、利用されずに林地残材という形で山の中にそのまま残されているのが現状です。これではもったいない。カスケード利用(多段的利用)しない手はありません。」。里山のもったいない精神から発想された再生可能エネルギーなのだ。

    能登半島の尖端、珠洲市には30基の大型風車がある。2008年から稼働し、発電規模が45MW(㍋㍗)にもなる国内でも有数の風力発電所だ。発電所を管理する株式会社「イオスエンジニアリング&サービス」珠洲事務所長、中川真明氏のガイドで見学させていただいたことがある。ブレイドの長さは34㍍で、1500KWの発電ができる。風速3㍍でブレイドが回りはじめ、風速13㍍/秒で最高出力1500KWが出る。風速が25㍍/秒を超えると自動停止する仕組みなっている。(※写真・下は珠洲市提供)

   では、なぜ能登半島の尖端に立地したのか。「風力発電で重要なのは風況なんです」と中川氏。強い風が安定して吹く場所であれば、年間を通じて大きな発電量が期待できる。中でも一番の要素は平均風速が大きいことで、秒速6㍍を超えることがの目安になる。その点で能登半島の沿岸部、特に北側と西側は年間の平均風速が秒速6㍍秒を超え、一部には平均8㍍の風が吹く場所もあり、風力発電には最適の立地条件なのだ。風車1基の発電量は年間300万KW。これは一般家庭の8百から1千世帯で使用する電力使用量に相当という。珠洲市には1500KWが30基あるので、珠洲市内6000世帯を使用量を十分上回る。

   いいことづくめではない。怖いのは冬の雷。「ギリシアなどと並んで能登の雷は手ごわいと国際的にも有名ですよ」と中川氏。全国では2200基本余り、石川県では71基が稼働している。最近では東北や北海道で風力発電所の建設ラッシュなのだそうだ。

⇒12日(月)夜・金沢の天気    くもり


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