自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

☆4K8K、テレビの未来か

2018年11月17日 | ⇒トレンド探査

      「マスメディアと現代を読み解く」という講義の中で、学生にマスメディアとの接触度を尋ねた。アンケート(2018年6月)の設問は「あなたは新聞を読みますか 1・毎日読む 2・週に2、3度 3・まったく読まない」「あなたはテレビを見ますか 1・毎日見る 2・週に2、3度 3・まったく見ない」の単純な設問だ。回答は102人で、新聞を「まったく読まない」75%、テレビを「まったく見ない」17%の結果だった。3年間同じ設問でアンケートをしている。推移をみると「新聞離れ」は下げ止まり。ところが、テレビは2016年12%、17年15%、18年17%と「まったく見ない」が増えている。「毎日見る」も16年65%、17年56%、18年49%と如実に減少している。「テレビ離れ」は加速しているのだ。

    テレビに未来はあるのだろうか。メディア論を講義しながら、そんなことを考えたりすることがある。ただ、上記のような数字にとらわれると暗いイメージになるのだが、テレビとは何だと問いかけると、まった別次元のイメージもわいてくる。それは、テレビの技術が新たな文化を生み出すということだ。

          1953年に日本でテレビ放送が始まり、白黒画面から相撲や野球の面白さを知るスポーツの大衆化という文化が始まる。1964年の東京オリンピックでは画面がカラー化し、スローVTR、そして通信衛星を通じて競技画像が世界へと配信され、放送のグローバル化が拓けていく。画質の高精彩化によって、家庭にシアター文化がもたらされ、CS放送やBS放送で多チャンネルが進展する。報道現場でもSNG(Satellite News Gathering) 車によって、災害現場からの生中継が可能になり、速報性がさらに高まった。

    次なるテレビの技術文化は何か。それは来月12月から始まる「4K」「8K」放送だろう。現在のフルハイビジョン(2K)と比べ、4Kはその4倍、8Kは16倍の画素数なので高精彩画像だ。4K8K放送は衛星放送で始まるが、手を挙げいるのがテレビショッピングの「QVC」だ。去年1月にBS4Kの基幹放送事業者の免許を取得し、来月から「4K QVCチャンネル」で24時間365日の放送をスタートさせる。同社のホームページでは「見つかるうれしさ、新次元」というキャッチコピー=写真=でPRしている。「4K QVC、それは想像を超えた、全く新しいショッピング体験。鮮やかでリアル。テレビをつけた瞬間、お部屋は一気に、新次元のショッピング空間に」と。

     では、4K8Kが生み出す文化とは何なのか。手短に表現するならば、「バーチャルリアリティ」ということになるだろうか。これまで距離感があった、映像空間とリアリティ空間の差が限りなく縮まる。人間の感性や購買意欲をさらに刺激する新領域の番組に踏み込むかもしれない。テレビ局側は「バーチャルなフィールド=映像」をリアリティ空間に見せる新たな技術(演出)開発に突き進むだろう。たとえば、テレショップだったら、「いいですよ。お安いですよ」の従来の演出よりも、対面型、あるいは対話型による追体験型の絵構成が主になるかもしれない。これは想像だが。

         4K8Kが生み出す新たな番組づくり、お手並み拝見である。一方で、放送局の番組を送り出すバックヤードでは「映像伝送のIP化」という革新が起きている。放送は時間的なディレイ(遅延)が許されないため、通信回線を使うことに抵抗感があった。それが技術革新で光ファイバーで遅延なく伝送できるようになった。4K8Kは番組だけでなく、技術革新をももたらしている。これが2020年に本格化していく、放送と通信による同時配信への技術インフラへと展開していく。

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