自在コラム

⇒ 日常で観察したことや環境問題、金沢大学での見聞、マスメディアとインターネットについての考察を紹介する宇野文夫のコラム

★静かなる大衆の反逆

2007年07月29日 | ⇒トピック往来

 きょう(29日)夕方に投票を終え、午後8時ごろからNHKや民放各局の選挙特番をモニターした。これまでメディアが選挙情勢で伝えてきた通り、自民の大敗である。

  なるほどと思ったのは、石川選挙区(定員1人)の自民選対の責任者がインタビューに応えて話した言葉だった。「東京から吹いてくる得体の知れない風に、地方が右往左往した選挙戦だった」と。公的年金保険料の納付記録漏れ問題や閣僚の「政治とカネ」に絡む疑惑、失言などを背景に、選挙戦を通じて与党には逆風が目立った。

  今回の選挙の最大の特徴は、有権者がさめていたことではないだろうか。熱くならない。「ぜひ自民に」とか「今度は民主に」とか、「一票入れてやる」という強い動機付けが有権者にあっただろうか。選挙の時期になると、候補者の話題の一つや二つは必ず周囲と話すものだが、今回はそれすらなかった。

  一つ言えば、メディアが何度も選挙の情勢調査を繰り返し、いったん与党の過半数割れが伝わると、その「アナウンス効果」が増幅されてしまったとも分析できる。オルテガ・イ・ガゼットの名著「大衆の反逆」によれば、人は善い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊な価値を認めるより、「大勢の人」と同じ考えであると感じる方が心地よいのである。「先の衆院選では自民が取り過ぎた。バラスが必要だとみんな同じこと考えているんだ」といった同調心かもしれない。静かなる同調による大衆の反逆といえるかもしれない。

  もう一つ。番組を見て、「出口調査が完璧すぎる」との印象だ。選挙の出口調査がより精度の高い予想が瞬時に出て、今回は選挙結果があっという間に分かってしまった。最初の20分で大方の情勢はつかめた。番組を見続ける必要がなくなり、途中でインターネットに切り替えた。選挙特番の視聴率は案外低いのではないだろうか。

  さて、安倍政権のレームダック化は避けられない。参院での与野党逆転に成功した民主が参院議長と主要な常任委員長を取りるだろう。さらに、野党が首相問責決議案を提出すれば可決されるのは確実だ。法的拘束力はないとはいえ政治的には重い決議で、首相は総辞職か衆院解散の二者択一を余儀なくされる展開も読めてくる。安倍政権は年内まで持つか、どうか。

⇒29日(日)夜・金沢の天気   くもり


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