自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆世界経済の新たな火種

2018年12月18日 | ⇒メディア時評

  けさのテレビニュースは、週明け17日のニューヨークダウが大幅に続落し、508㌦安の2万3592㌦で取引を終え、9ヵ月ぶりの安値水準と伝えている。世界経済が減速する懸念が投資家の間で広がっているとも述べている。アメリカの経済紙「ウオールストリート・ジャーナル」も「Dow Industrials Fall 508 Points as Investors Fret Over Growth」と大きく報じている=写真=。

  その解説記事の中で、「U.S.-China tensions, plus worries about economic growth and the tech sector, spell more volatility ahead for investors. 」とある。直訳すれば、「アメリカと中国の緊張感と経済成長と技術分野の懸念は、投資家にとってより大きなボラティリティをもたらす」と。一般では聞き慣れないこのボラティリティ=volatilityとは何か。「証券用語解説集」(野村證券)によると、「証券などの価格の変動性のこと」とある。ボラティリティが高いということは、期待する収益率から大きく外れる可能性が高く、価格の変動性が大きいことを指す。

      では、ボラティリティのリスクを押し上げている要因は何か。おそらくこれしかない。中国通信機器メーカー「ファーウェイ」の製品を締め出す動きが、世界で広がっていることだろう。アメリカは国防権限法という法律をことし8月につくり、ファーウェイなど中国通信機器メーカーの製品を政府機関が使うことを禁止している。同社の製品を通じて政府機関や軍の情報が中国当局に流れる危険性があるとし、アメリカは日本など関係国にも働きかけも強めている。

   この動きに反発を強めているのは、中国政府なのだが、ファーウェイの副会長(CFO)がアメリカの要請によりカナダで逮捕された際に、カナダ人を逮捕するなど報復ともとれる行動に出ている。これがかえって、はやり中国政府はファーウェイと結託しているのではないかとの不信感を煽った。オーストラリアがいち早くアメリカに追随し、続いてドイツなどヨーロッパ各国、そして日本でも通信インフラを担う企業などが中国製品ボイコットの流れに乗った。

   問題はこの一件はこれが始まりだということだ。報道によると、先に述べたアメリカの国防権限法は第2弾として2019年8月から、政府機関や軍、政府所有企業がサーバーなどにファーウェイなど中国通信機器メーカーが製造した製品や部品を組み込んだ他社製品の調達を禁じている。さらに、第3弾として2020年8月からは、中国メーカーの製品を社内で利用しているだけで、その企業はいかなる取引もアメリカ政府機関とできなくなる。当然、日本企業も対象に含まれる。これが、世界経済の新たな火種になるとの所以であり、投資家に大きなボラティリティをもたらす結果になっているのではないか。

⇒18日(火)朝・金沢の天気    あめ


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