自在コラム

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★茶道とアポロ11号の月面着陸

2019年09月08日 | ⇒トピック往来

  1969年7月21日(日本時間)、アポロ11号のアームストロング船長が月面に第一歩を記したとき、私は中学3年生だった。当時テレビは38万㌔先の月面の画像をリアルタイムに映し出していた。「偉大な一歩」の映像は脳裏に刻まれている。私の知り合いは、新聞の「地球人が月に立った」の見出しに衝撃を受け、それ以来、ずっと新聞の切り抜きを続けている。「地球人」という言葉の新鮮さと大局観に、「世界を読み解こう」という感性にスイッチが入った、と言っていた。月面の第一歩はさまざまな人と分野に波及した。きょう8日、金沢市宝町の曹洞宗「宝円(ほうえん)寺」で催された「月印(げついん)茶会」もその一つだ。

  茶会は午前7時から、表千家同門会石川県支部の主催で開かれた。アポロ11号が月面着陸したのを記念して、1969年のその年に始まり、毎年この時期に開催を重ねて半世紀、今回が第51回目となる。茶会発足の趣意に合わせ、月や宇宙にちなんだ茶道具が用意された。待ち合わせの場所である寄付(よりつき)の掛け軸は色紙「月知天下秋(月は天下の秋を知る)」=写真・上=が掲げられていた。禅語で、月は自らがもっとも美しく輝くことができる秋を知っている、と解釈している。太古より万物は少しも変わることなく絶えず働き続けている。ただ無心である、と。そのほか、茶席では月をイメージした茶碗もあった。

  では、茶道とアポロ11号の月面着陸はどんな関係があるのか。茶席には円相(えんそう)の掛け軸=写真・下=がよく用いられる。円相は絵なのか、それとも文字なのか分かりにくいが、禅宗の教えの一つとされる。円は欠けることのない無限を表現する、つまり宇宙を表している、と。茶の道も同じで、物事にとらわれず、純粋に精進することが茶の湯の道である、と。茶を点てるだけでなく、支度や片付け、掃除にいたるまでが一つの円のようにつながっている。

   千利休の口伝書とされる『南方録』には「水を運び、薪をとり、湯をわかし、茶を点てて仏に供え、人に施し、吾ものみ、花をたて香をたく、皆々仏祖の行いのあとを学ぶなり」とある。雑念を払い、ひたすら無限の境地で、自らの心を円相とせよ、それが茶の道の心得であると教えている。もちろん、ここで言う宇宙とは、互いに心の交わりを楽しむ「小宇宙」の空間ではある。その心の宇宙の象徴が満月、見事な円なのである。月印茶会の感想を取りとめもなく書いてしまった。

⇒8日(日)午後・金沢の天気     はれ


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