自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆ジャーナリズムを守る国々

2018年10月22日 | ⇒メディア時評

        サウジアラビア人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害疑惑をようやくサウジアラビア政府は認めたものの、関連ニュースによると、トルコの総領事館内で口論から殴り合いによるものだったとして、あたかも偶然と過失が重なったと言わんばかりだ。無理した抗弁のような印象だ。取りざたされているムハンマド皇太子の関与もまったく認めていない。一つ言えることは、今回の公式発表でサウジに対する国際評価は明らかに下がった。

   国外での暗殺の場合はスナイパー(狙撃手)を雇って暗殺というケ-スは多々ある。総領事館にはトルコの警察権がおよばない治外法権があるので、周到に準備された殺害なのだろう。カショギ氏が総領事館に入ったのは今月10月2日、結婚届けが目的だったとされる。総領事館で待ち伏せていた「暗殺部隊」によって拘束された。「薬物を投与して無理やり本国(サウジ)に連れて行く」と脅されたカショギ氏は抵抗し、首を絞められて死亡したと発表されている。今後の事実解明の手がかりはカショギ氏の遺体の発見が鍵となるだろう。

    こうしたサウジの公式発表にフランス、ドイツ、イギリスの外務大臣が21日、事件のさらなる真相解明を求める共同声明を発表している。以下、在日フランス大使館のホームページ=写真=から引用する。

    「この殺人を正当化できるものは何一つなく、われわれは最も強い表現で断固非難します。表現の自由および報道の自由の擁護はフランス、ドイツ、イギリスにとって極めて重要な優先課題です。ジャーナリストに対する脅迫、襲撃、殺害行為はいかなる状況でも容認できず、われわれ3カ国にとって重大な懸念事項です」「われわれは予備的結論を発表したサウジアラビアの声明に留意します。しかしサウジアラビアの捜査で現在までに提起された仮説を超えて、10月2日に正確に何が起こったのかを明らかにすることが喫緊の課題です。これらの仮説は信頼に足ると判断された事実で裏打ちされなければなりません。われわれは徹底的かつ透明で信頼に足る真相究明のため、より一層の努力が必要であり、期待されていることを強調します。われわれは何が起こったかについて今後受ける追加的な説明の信頼性と、このような卑劣な事件が繰り返されることがないよう、今後二度と生じることがないようにするという信念に基づいて、最終的に決定を下します」

    3ヵ国は今月14日にも共同声明を発表し、「表現の自由や報道の自由を守ることは極めて重要な優先事項であり、いかなる状況下であっても、ジャーナリストを脅し、攻撃し、殺害することは受け入れられない」と強調している。そして今回は「われわれは責任者が明確に明らかにされるまで、事件の犯人が真の訴訟で責任を負うまで、捜査が徹底的に続けられるよう要求します」とまで言及している。ジャーナリズムを守るためにこれほど敏感に行動する3ヵ国。敬服に値する。

⇒22日(月)午後・金沢の天気   はれ


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