自在コラム

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★トランプ大統領の「漂着ゴミ」発言

2018年10月12日 | ⇒メディア時評

    きょう朝のテレビニュースで、アメリカのトランプ大統領が、アメリカに漂着するゴミが膨大な量にのぼり、アメリカが費用を負担するのは不公平だと不満を示し、対抗措置を取る考えを示したと報じている。トランプ氏としては環境問題に触れた意外な発言だと思い、ホワイトハウスのホームページなどをチェックした。

    トランプ氏は11日、ホワイトハウスで開かれた関連法署名式典で記者団に対して語った。中国や日本を含む多くの国から、毎年800万㌧以上のごみがカリフォルニア洲などの海岸に漂着していると述べ、海洋生物やアメリカの経済そのものを傷つけていると批判した。トランプ氏は「海洋ゴミの責任は各国にある」との認識を示し、対抗措置を取る考えを示した。ニュースでは日本に費用負担を求めてくる可能性などが伝えられているが、むしろこれを機会に海洋ゴミについての地球規模の海洋法をさらに整備すべきではないかと考える。

          海洋ゴミと生態系について知られた国際条約はバルセロナ条約(汚染に対する地中海の保護に関する条約)だろう。UNEP(国連環境計画)の主導で1976年に本条約が採択され、21ヵ国とEUが締約国が加盟している。特別保護地域などを特定し、海洋環境、生態系バランス、自然や文化遺産として重要な海洋や沿岸地域を保護するための対策が盛り込まれている。 

    現在UNEPで条約を担当しているアルフォンス・カンブ氏と能登の海岸をテーマに意見を交わしたことがある。カンプ氏とは彼が「いしかわ国際協力研究機構(IICRC)」の所長時代に金沢で知り合い、何度か能登視察に同行した。廃棄物が漂着した海岸を眺めながら、日本海は生け簀(いけす)のような小さな海域であり、このまま放置すれば大変なことになるとカンプ氏は危機感を抱いていた。そのとき、バルセロナ条約によって、地中海の海域が汚染されるのを何とか防いでいると教えてもらった。「日本海の環境を守る能登条約が必要ですね」とカンプ氏が語ったことが印象的だった。

    地球規模で海洋投棄を禁止する条約には「ロンドン条約」がある。各国の負担を要求する以前に、トランプ氏にはぜひロンドン条約の改正を主導して、魚類残さや魚類の産業上の加工作業によって生じる物質と天然に由来する有機物質以外はすべて海洋投棄を禁止すると改めてほしいものだ。

(※写真は奥能登国際芸術祭2017の深沢孝史作「神話の続き」。白い鳥居は能登の海岸の漂着ゴミであるボリタンクやペットボトル、漁具などでつくられた。ゴミにはハングル文字や中国語、ロシア語の表記のものが目立つ)

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