自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆箸袋から見える知事選

2018年03月01日 | ⇒ニュース走査

     きょうから3月。朝から風が吹き荒れている。テレビのニュースによると、台風並みの強い風で、加賀・能登ともに瞬間最大風速は陸上で30㍍だ。落雷や竜巻への注意も必要と呼びかけている。この強風で、JR北陸線では大阪方面の特急サンダーバードと名古屋方面の特急しらさぎを全て運休するようだ。

     この冬の雪も異常だった。金沢市内の自宅周辺でも一時積雪量が150㌢になった。この豪雪で、せっかく雪吊りを施したのに、五葉松の枝が一本折れたほどだった。先日、関西に住む知人から大雪見舞いの電話があった。積雪150㌢の話をすると、知人は「金沢の積雪は最大86㌢と報道されていたよ。金沢でも場所によっては、福井よりすごいところもあったんだね」と驚いた。

     知人には「一里一尺」という言葉で説明した。金沢地方気象台が発表する積雪量は、金沢の海側に近いところにある同気象台での観測、山側にある自宅周辺とでは積雪の数値が異なる。山側へ一里(4㌔)行けば、雪は一尺(30㌢)多くなる、と。そして付け加えた。「3月になると雪が降らないと思ったら大間違い。きついダメ押しがある」と言うと、知人は「私は雪国には住めないな」と苦笑した。ただ、ダメ押しの雪を「名残り雪」と表現すれば、少し文学的にもなる。

     外は「豪雪、のち暴風」なのだが、静かなのが今月11日に投開票の石川県知事選挙だ。先月22日告示され、共産党推薦で元石川県労連議長の女性新人候補(65)と、社民党のほか自民、公明、民進各党の県組織から推薦を受け7選を目指す現職(72)の一騎打ちの構図。ただ、自宅周辺には選挙カーが回って来ていないのか選挙ムードが盛り上がっていない。

     ちょっとした話題はある。動画サイト「ユーチューブ」への投稿で広告収入を得る「ユーチューバー」が石川県知事選の選挙掲示板に自分の顔写真を貼った様子を撮影し投稿していたことがネットで炎上し、公職選挙違反違法や軽犯罪法違反の可能性もあると新聞やテレビでも報道された。この動画はすでに先月26日に削除された。ただ、顔写真は掲示板の候補者ポスターが掲示されていない枠内に貼られていたので、県選挙管理委員会は特定の候補者を妨害するものではないとしている。このユーチューバーは県内に住む19歳の男性で、なんとチャンネル登録者216万人を有するプロだ。

     もう一つ選挙関連ネタを。きのう(28日)、自宅周辺のコンビニ「セブンイレブン」でおにぎりや野菜サラダを買った。箸がついてきた。その箸袋にはなんと「石川県知事選挙 投票日 3月11日」と書いてあった=写真=。選挙権は18歳からある。若者に投票を呼びかけようと選挙管理委員会がアイデアを凝らしたに違いないと想像を膨らませた。

     そこで県の選管に電話で尋ねた。「コンビニで知事選挙の投票日を記した箸がありました。石川県内の全部のコンビニで配布されているのですか」と。すると担当と名乗る職員は「こちら(県選管)でお願いして、箸をつけてもらっているのですが、セブンイレブンさんだけが引き受けてくれました」と。「なぜですか」と再度尋ねる。「ほかのコンビニさんは、つまようじがついていないからダメだとか言われまして…」と。確かに箸袋にはつまようじが入っていなかった。

     メディアでは「多選の是非が主要な争点」と知事選の特集を組んでいるが、対抗馬は共産の新人のみだ。選挙は盛り上がっていない。このままだと投票率は前回44.98%(2014年3月16日)を大きく下回ることは想像に難くない。むしろ「多選で必死なのは選管」、そんな現状が箸袋から見えてきた。

1日(木)朝・金沢の天気  風雨
     

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