自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★吉か凶かTPPの行方

2013年10月07日 | ⇒トピック往来

  TPP「聖域」撤廃。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉で、政府・自民党が農業の重要5分野の関税を維持する従来方針から転換したと新聞・テレビディアが一斉に伝えている。これが、今後の日本の政治や政治にどのような影響を及ぼすのか。

  
  自民党の西川公也TPP対策委員長は、TPP交渉が開かれているバリ島で記者団に対し、「聖域」として関税維持を求めてきたコメなど農産物の重要5品目について、関税撤廃できるかどうかを党内で検討することを明らかにしたのだ。自民は前回の衆院選で、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」との公約を掲げていた。こうした公約を放棄したともいえる。

  前回の「自在コラム」では、以下記した。「著者は着想はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とEUを比較して、日本に警鐘を鳴らしている。それは、TPPでは共通の通貨は持たないが、人と金、モノ、サービスの自由な流通を共通理念としている。これはEUと原則的に同じで、アメリカが主導するTPPはそういうことだったのかと気づかされる。」、「TPPでは不都合なところがあれば、今後の交渉で解決すればよいというが日本はドイツ並みに外交交渉が上手かとなるといささか疑問だ。2020年のオリンピック招致ではなんとかうまくやり遂げたが、国際舞台の交渉の場ではどうだろう。メルケル首相のような手腕を安倍首相に期待できるのだろうか。」、「EUの中のドイツと、TPPの中の日本は同じ役回りだとの下りは身につまされる。『ドイツから搾り取れるだけ取ってやれ』と思っている国はEUで多い。表現は露骨だが、「日本からいけだけるものはドンドンといただく」くらに思っている加盟国もいるのではないか、いや国とというもの大抵そうだと思った方がよいのかもしれない。」と。

  TPP交渉は、いわば共通通貨のない「太平洋版EU」を目指すものだ。もともと、そんな交渉だ。したがって、農業分野での関税障壁などもともと念頭にないだろう。おそらく安倍首相もそこを理解していて、オバマ大統領が不在時に一気にTPPの主導権をとったのだ、と解釈した方がよい。うがった見方をすれば、すでにオバマとは連絡をとっていて、アメリカの「不在」を助けたことになる。ここから後には引けない。TPPのリーダーシップをいかに取るか、だろう。安倍政権の正念場だろう。

⇒7日(月)昼・金沢の天気   はれ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする