樹木紹介・その6

2007年03月07日 | ミニ知識
 ユズリハ科・ユズリハ属は、日本には2種、1変種が野生するとあります。

 ユズリハ、ヒメユズリハの2種とエゾユズリハの1変種です。
 ユズリハ(Daphniphyllum macropodum Miq.)の属名Daphniphyllumはギリシャ語で「月桂樹の葉」という意味だそうです。なぜ、月桂樹か?は知りませんが。また、種小名macropodumは「長柄のまたは大柄の」意味だそうです。


 ユズリハは大方がご承知の樹種。注連縄には欠かせないものですね。和名ユズリハは譲葉の意で、この葉の新旧の入れ替わりが著しく目立つために名付けられています。この様子を旧年をおくり、新春を迎える意味になぞらえて正月にこの枝葉を玄関に飾り付ける風習となっているとのことですよ。


 沖村義人先生の著書「樹木の島根方言」の中に、隠岐地方ではユズリハの方言としてショウガツサン、ショウガツサンノハとあります。正にその名ズバリです。



 常緑高木で、通常樹高5~10m、胸高直径30~40cmですが、大きいものは樹高15m、胸高直径60cmに達するとあります。


  民家のウラにあったユズリハの全景


  ユズリハの近景




 中山間地域研究センターの試験林は下来島にあります。当科の学生・I原君の卒論作成時に現地調査を行った場所です。この折り、中山間地域研究センター・H先生のご指導を仰ぎましたが、ここに登場したのが写真のヒメユズリハ(Daphniphyllum teijsmannii Zoll.)です。

ヒメユズリハの近景・幹は直立




 ヒメユズリハの枝葉:葉柄が赤く鮮やか












 県有林内には、ユズリハの変種であるエゾユズリハ(Daphniphyllum macropdium Miq. var. humile(Maxim.)Rosenthal)のみ自生しているようです。
農業大学校で使用している教科書「図説 実用樹木学」の記述によりますと、本種の分布は北海道、本州(北・中部おもに日本海側)の温帯林に分布し、ふつう多雪地の林下に生える。南限は中国地方である。となっています。また、「山渓カラー名鑑・日本の樹木」には山口県滑山までとなっています。

 常緑の低木で、枝はよく分岐し、高さ1~3m。多雪地では幹が地をはう。葉は長さ10~15cm、倒卵状長楕円形、革質でユズリハよりやや小さく薄いようです。


 エゾユズリハ・幹は地面をはっている。



 その他にもいくつかの品種があるようです。「有用樹木図説」によりますとハチジョウユズリハ(form. insulare Hurusawa)、ニタリユズリハ(form. intermedium Hurusawa)、フイリユズリハ(form. variegatum(Bean) Rehd.)、アオジクユズリハ(イヌユズリハ)(form. viridipes(Nakai) Ohwi)があります。




 アオジクユズリハは葉柄が緑色のもの。母種と同地域に希に自生する。とあります。出雲地方でもユズリハには赤と白があると聞きます。勿論、葉柄の赤いユズリハが好まれ、白は嫌われているとのことです。これは、ユズリハとアオジクユズリハを指しているものと思われますが、いかがなものでしょうか?。

 

 前出の沖村先生の著書の中に「山陰地方には葉柄の赤くならないイヌユズリハ、葉の小さいヒメユズリハ、脊梁山脈の山地には幹が地上をはうエゾユズリハ等も分布している。」とあります。

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